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ヒアルロン酸とは?ヒアルロン酸の基礎知識と関節での機能をわかりやすく解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2026/03/10

ヒアルロン酸は、水分を豊富に蓄えて肌の潤いやハリを支えることで有名な物質ですが、関節の潤滑剤として働く関節液の主成分でもあり、滑らかな関節の動きを支える重要な役割も果たしています。しかし、年齢を重ねると、軟骨組織やヒアルロン酸の維持が難しくなり、関節のこわばりや痛みなどのトラブルが起きやすくなると考えられています。健康長寿を伸ばすうえでの関節機能の重要性が広く知られる近年、関節の健康維持に欠かせない働きをするヒアルロン酸は高い関心を集めています。

この記事では、ヒアルロン酸の基本情報から、関節での機能、摂取する際のポイントなどを解説していき、皆さんの健康をサポートする情報をお届けします!

 

ヒアルロン酸とはどんなもの?

 

ヒアルロン酸の基本情報

ヒアルロン酸は、私たちの皮膚や関節、目の硝子体などに含まれている成分で、糖が連なってできるグリコサミノグリカンという多糖の一種です。その保水性の高さが特徴的で、自身の重さの最大10,000倍もの水分を保持することができると考えられており、さまざまな組織を支える重要な成分として注目されています(1)

 

体重70kgの成人の場合、体内に約15gほど含まれており、そのうちの約50%が皮膚に、約25%が骨格や関節に分布していると考えられています。また、皮膚や関節以外にも全身の組織に含まれており、私たちの健康維持に不可欠な働きをしていると考えられています(2)

 

ヒアルロン酸の機能

ヒアルロン酸は、皮膚や関節をはじめとした全身の組織で水分保持を担うことで、各組織の潤いを支えています。ヒアルロン酸の機能はそれだけではなく、細胞外マトリックスの構成に関わることで、細胞のさまざまな活動を支える役割も果たしています。

 

細胞外マトリックスとは、コラーゲンやプロテオグリカン、ヒアルロン酸などが複雑に組み合わさってできる複合体で、細胞の周りを取り囲むように存在し、細胞と細胞の隙間を埋める役割を果たしています。また、細胞外マトリックスはただ細胞の隙間を埋めるだけではなく、栄養の補給や成長因子の伝達、細胞分化の調節など、細胞機能を制御する情報伝達の場としても非常に重要な役割を果たしています。

 

ヒアルロン酸は、関節や皮膚などさまざまな結合組織で細胞外マトリックスの形成に関わっており、特に細胞表面に近い部分でさまざまな分子と相互作用することで、細胞機能と流動的な組織を支えています(3)

 

関節の健康とヒアルロン酸

 

関節の健康の重要性

超高齢化社会を迎えた日本では、平均寿命と健康寿命の差が大きいことが懸念されており、どのように健康な状態を維持するかに高い関心が寄せられています。そのなかでも、関節の健康によって支えられる運動機能は、健康寿命を伸ばすうえで非常に重要で、要介護状態となる主な原因のうち、約25%を骨折・転倒や関節疾患などの運動器の障害が占めるとされています(4)

 

こうした背景から近年、「運動器の障害のために移動機能が低下した状態」として「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」が定義されており、食習慣や運動習慣を中心とした生活習慣の改善によるロコモ予防が広く推奨されています。

 

ロコモ予防の重要性が広く知られるようになったことで、関節の健康を支えるヒアルロン酸にもさらに高い関心が集まるようになってきています。

 

関節の構造とヒアルロン酸

私たちの関節は、骨が直接擦り合わないよう軟骨組織が関節面を覆うとともに、骨と骨の間を関節液という潤滑剤が満たすことで、骨の保護と滑らかな動きが実現されています。

 

軟骨組織は、わずか数%の軟骨細胞と90%以上の細胞外マトリックスで構成されています。軟骨の90%以上を占める細胞外マトリックスでは、骨組みのような役割を果たすコラーゲン線維が網目構造を形成しており、網目の中に緩衝材のような役割を果たすプロテオグリカンとヒアルロン酸が詰まった構造となっています。ヒアルロン酸は、自身で水分を豊富に蓄えるとともに、同様に高い保水性を持つプロテオグリカンの凝集を促進することで、密度の高い緩衝材を形成し、軟骨組織のクッション性の維持に貢献しています。

 

また、ヒアルロン酸は関節液にも豊富に含まれており、摩擦を少なくする潤滑剤としての役割を担うことで、滑らかな関節の動きも支えています(5)

 

年齢による関節機能の衰え

私たちの健康を支える関節機能は、加齢に伴いさまざまな要因で衰えていってしまうことが知られています。

 

たとえば軟骨組織は、軟骨細胞による軟骨の分解と合成のバランスが整うことで維持されていますが、加齢に伴い軟骨の分解に合成が追いつかなくなり、健常な組織の維持が難しくなると考えられています。軟骨の代謝バランスの崩壊には、軟骨細胞自体の老化だけでなく、細胞外マトリックスが加齢に伴い硬くなることも深く関わると考えられており、軟骨細胞と細胞外マトリックスの劣化が互いに影響を及ぼす悪循環が生まれることで、軟骨組織の劣化につながると考えられています(6)

 

また、潤滑剤として働く関節液のヒアルロン酸も、加齢に伴って濃度が低下することが示唆されており、加齢による関節機能のトラブルに深く関わると考えられています(3)

 

細胞外マトリックスと関節液の両方に関わるヒアルロン酸は、関節機能の維持に重要な存在であることが示唆され、さまざまな研究で注目されてきました。

 

ヒアルロン酸の研究情報

この項目では、関節へのヒアルロン酸の影響を調べた研究報告をご紹介します。

 

ヒアルロン酸は、膝や肩への関節内注射について保険の適用が認められており、主に変形性膝関節症の治療としてヒアルロン酸注射が活用されています。経口摂取するヒアルロン酸は医薬品としては認可されていませんが、健康をサポートする食品成分として、さまざまな研究で関節への影響が調べられてきました。

 

運動とヒアルロン酸摂取の組み合わせ

ヒアルロン酸を豊富に含む鶏冠抽出物を食事として摂取した場合の影響を調べた研究では、運動療法の有無との組み合わせにより、膝関節の違和感や運動機能へどのような影響があるかが比較されました。

 

その結果、ヒアルロン酸を豊富に含む鶏冠抽出物の摂取と運動療法を併用したグループで、痛みや歩行機能が大きく改善したことが報告されています。この研究では、軟骨のⅡ型コラーゲンの合成と分解のバランスにも影響を与える結果が報告されており、運動療法とヒアルロン酸摂取の組み合わせによる関節の健康維持への影響が示唆されています(7)

 

また、より長期間のヒアルロン酸摂取の影響を調べた別の研究では、ヒアルロン酸の経口摂取と大腿四頭筋のトレーニングを12ヶ月間継続した場合の膝関節への影響が評価されました。

 

その結果、ヒアルロン酸摂取の有無に関わらず、トレーニングを継続した両方のグループで膝関節の状態は改善されましたが、特に70代以下のヒアルロン酸を摂取したグループで、改善の傾向がより顕著だったことが報告されています(8)

 

ただし、これらの結果はすべての人に当てはまるものではなく、個人差があります。

 

ヒアルロン酸の経口摂取については、医薬品ではないため治療や予防などを期待することはできませんが、健康な関節の維持をサポートする可能性が示唆されており、さらなる研究によるデータの蓄積が期待されています。

 

ヒアルロン酸摂取のポイント

 

ヒアルロン酸が豊富な食材

ヒアルロン酸は、さまざまな動物で細胞外マトリックスの構成に関わっており、さまざまな食材から摂取することができます。

 

鶏の皮や軟骨、豚足、鰻やドジョウといった食材に比較的多く含まれていると考えられており、山芋やオクラなどにも豊富だと考えられています。これらの食材を食生活へ取り入れると、ヒアルロン酸を日常的に摂取することにつながると考えられます。

 

また、市場では鶏冠抽出物や微生物の発酵から得られるヒアルロン酸を活用した健康食品も、摂取源として流通しています。ヒアルロン酸を意識的に摂取する場合は、継続的に一定量を摂取しやすいこれらの健康食品を活用することも、選択肢のひとつになると考えられます。

 

摂取を注意すべき人

すでに薬を服用している方や、妊婦・授乳中の方は、どのような影響があるかが不透明なため、医師に相談のうえ摂取することを推奨します。

 

また、ヒアルロン酸と一緒に含有されることが多いグルコサミン塩酸塩は、エビやカニの殻に含まれるキチンという成分から作られています。そのため、甲殻類のアレルギーがある方は、グルコサミン塩酸塩との組み合わせを避けるとより安全です。

 

まとめ

ヒアルロン酸は、その高い保水性を活かして皮膚や関節の健康を支えている物質で、細胞活動を調節する細胞外マトリックスの形成にも深く関わる重要な物質です。特に、ヒアルロン酸は滑らかな関節の動きを支える関節液の主成分であり、加齢に伴いヒアルロン酸濃度が減少してしまうことからも、関節の健康維持への影響に高い関心が寄せられています。ヒアルロン酸の経口摂取による影響に関しては、さまざまな研究報告があり、今後もその働きについての理解が進むことが期待されています。

 

ただし、食品成分として用いられるヒアルロン酸は、医薬品のような治療効果や即効性を保証するものではありません。

 

関節の健康を維持するためには、適度な運動などのロコモ予防の基本を押さえるとともに、必要な場合は適切な治療を優先しながら、ご自身の体調や生活スタイルにあわせてヒアルロン酸を上手に取り入れていくことが大切です。


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