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脳卒中は食生活が原因?予防するための食事についても解説
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/18
最終更新日 2024/08/28
脳卒中の原因をご存じでしょうか?脳卒中は糖尿病や喫煙などがきっかけとなり発症します。そのため、食生活を見直すことが脳卒中の予防には大切です。
そこで、この記事では脳卒中の原因となる食事習慣や予防するための食事について解説します。食生活や栄養に関して不安がある方は、ぜひご覧ください。
脳卒中の原因
脳卒中の原因として主に3つが考えられます。
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食生活の偏り
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生活習慣の乱れ
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運動習慣の欠如
それぞれ具体的に解説していきます。
食生活の偏り
脳卒中の主要な原因の一つに、食生活の偏りがあります。高塩分・高脂肪食は血圧上昇や動脈硬化を促進し、脳卒中リスクを高めます(1)。一方で、カリウム、ビタミンC、カルシウムなどの不足も脳卒中のリスクを高めます(2)。また、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取は、悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化を進行させます。
反対に、不飽和脂肪酸は、血圧をサラサラにし、血圧を下げる効果があり、血管の健康に良い影響を与えます(3)。
生活習慣
不健康な生活習慣は脳卒中のリスク要因です。喫煙は最大のリスク因子の一つで、脳卒中のリスクを1.5倍、脳梗塞のリスクを2倍、くも膜下出血のリスクを3倍に高めます(4)。タバコの煙はさまざまな有害物質が含まれており、血圧上昇、血栓形成の促進、血管内皮の組織障害を引き起こします。
過度の飲酒もリスク要因の一つです。アルコールは交感神経系の活性化、末梢血管抵抗の増加などにより高血圧を引き起こします。1日20gの適量の飲酒はむしろ脳卒中リスクを低下させますが、過度の飲酒は脳出血のリスクです(4)。
これらの生活習慣は相互に影響し合い、複合的に脳卒中リスクを高めます。健康的な生活習慣の維持が脳卒中予防の鍵となります。
運動習慣
適切な運動習慣の欠如は、脳卒中リスクを高める重要な要因です。定期的な運動は、血圧管理、体重コントロール、血糖値の安定に効果があり、脳卒中予防に直接的に関与します。有酸素運動は血管内皮機能の改善に効果的です(5)。
また、筋力トレーニングは代謝を活性化し、インスリン感受性を高めます。これは糖尿病予防につながり、間接的に脳卒中リスクを下げます。さらに、運動は血管内皮機能を改善し、動脈硬化の進行を抑制します。WHO(世界保健機関)は、週150〜300分の中強度有酸素運動または75〜150分の高強度有酸素運動を推奨しています(6)。ただし、急激な運動は逆効果の可能性があるため、徐々に強度を上げていくことが重要です。
脳卒中の初期症状
脳卒中の初期症状には主に6つが挙げられます。
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異常感覚がある
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言葉がはっきりしない
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視野が欠けている
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四肢の脱力感がある
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激しい頭痛やめまい、嘔吐
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性格の急変
それぞれ具体的に解説していきます。
異常感覚がある
脳卒中の初期症状の一つに、身体の一部に異常感覚が現れることがあります(4)。これは、特定の脳領域が血流不足や損傷を受けることで生じます。具体的には、顔、腕、脚の片側のしびれです。この感覚は、ピリピリとした電気が走るような感じや、虫が這うような感覚として感じられます。
これらの症状は、一時的なものもあれば持続するものもあり、症状の程度も様々です。重要なのは、これらの異常感覚が突然現れ、説明のつかない原因で起こる点です。特に、身体の片側だけに現れる場合は注意しましょう。
言葉がはっきりしない
言語機能の変化は、脳卒中の重要な初期症状の一つです。これは、脳の言語中枢が影響を受けることで起こります。具体的には、ろれつが回らない、言葉が出てこない、理解できない言葉を話すなどです(4)。患者自身は正常に話しているつもりでも、周囲には意味不明な言葉として聞こえることがあります。また、相手の言葉が理解できなくなる、読み書きが困難になるといった症状も含まれます。
これらの症状は、一時的なものもあれば持続するものもあり、その程度も軽度から重度まで様々です。言語障害は、脳の左半球(多くの人の言語中枢がある部位)が影響を受けた場合に特に顕著に出現します。突然の言語機能の変化は、たとえ一時的であっても、即座に医療機関を受診する必要があります。
視野が欠けている
視覚の突然の変化、特に視野の一部が欠ける症状は、脳卒中の重要な初期症状の一つです。これは、脳の視覚を処理する領域が損傷を受けることで起こります。具体的には、片目または両目の視野の一部が突然見えなくなる、または暗くなるなどの症状です。また、物が二重に見える(複視)、視界がぼやける、視力が急激に低下するといった症状も含まれます。
これらの症状は、一過性脳虚血発作(TIA)の場合、数分から数時間で回復することがありますが、完全な脳卒中の場合は持続します。視覚の変化は突然起こり、痛みを伴わないのが特徴です。視覚に関する突然の変化を感じた場合、それが一時的なものであっても、直ちに医療機関を受診することが重要です。
四肢の脱力感がある
突然の四肢の脱力感は、脳卒中の典型的な初期症状の一つです(4)。これは、脳の運動制御領域が影響を受けることで生じます。例えば、片方の腕が上がらなくなる、歩行時に片足を引きずる、顔の片側がたるむなどの症状が見られます。この脱力感は、軽度のものから完全な麻痺まで、程度は様々です。また、細かい動作が困難になる、バランスを失いやすくなるといった症状も含まれます。これらの症状は突然現れ、通常は身体の片側だけに影響を与えるのが特徴的です。
激しい頭痛やめまい、嘔吐
激しい頭痛やめまい、嘔吐は、脳卒中の初期症状として重要です。これらの症状は、脳内の血圧上昇や脳幹部位の損傷によって引き起こされます。頭痛は、突然始まり、経験したことのない激痛であることが特徴です。
めまいは、回転性めまい(周囲が回っているように感じる)や浮動性めまい(ふらつき感)として現れ、しばしば吐き気や嘔吐を伴います。これらの症状は単独で、あるいは組み合わせて現れることがあります。頭痛やめまいなどの症状が現れたら脳卒中の危険も考えて医療機関を受診しましょう。
性格の急変
性格の急変は、一般的にはあまり知られていませんが、脳卒中の重要な初期症状の一つです。これは、脳の感情や行動を制御する領域が損傷を受けることで起こります。具体的には、突然の攻撃性の増加、無関心さの出現、感情の起伏の激しさ、判断力の低下などが見られます。例えば、普段は穏やかな人が突然怒りっぽくなったり、活発な人が急に無気力になったりします。また、不適切な言動、衝動的な行動、社会的規範を無視するような行動も現れることがあります。これらの変化は、患者本人よりも周囲の人が気づきやすい特徴があります。
これらの性格変化が突然現れ、以前の性格とは明らかに異なる点が特徴的です。ただし、これらの症状は他の疾患でも起こり得るため、他の脳卒中症状(麻痺、言語障害など)とあわせてせて評価することが重要です。突然の説明のつかない性格変化を認めた場合は、脳卒中の可能性を考慮し、医療機関を受診することが推奨されます。
脳卒中を予防するための食事
脳卒中を予防するための食事は、バランスの取れた栄養摂取と生活習慣の改善が重要です。具体的には以下のポイントに注目しましょう。
塩分制限 |
1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが理想的です(7)。 |
カリウム摂取 |
バナナ、ほうれん草、じゃがいもなどのカリウムが豊富な食品を積極的に取り入れましょう。 |
魚介類の摂取 |
不飽和脂肪酸を含む青魚を摂取することで、血管や血液への健康効果が期待できます。 |
食物繊維の摂取 |
野菜、果物、全粒穀物を積極的に摂取することで、脳卒中に関連する糖尿病の予防につながります。 |
アルコールの摂取制限 |
過度な飲酒は脳卒中のリスクを高めるため、適度な飲酒(1日20g)が大切です(4)。 |
抗酸化物質の摂取 |
ビタミンC、Eを含む果物や野菜を積極的に摂取するのが大切です。 |
これらの食事習慣を継続することで、脳卒中のリスクを低減させることができます。また、定期的な運動や禁煙もあわせて実践することで、さらに効果的な予防が可能となります。
まとめ
脳卒中は深刻な問題ですが、適切な予防策と早期発見によって多くのケースを防ぐことができます。その原因は多岐にわたり、食事、生活習慣、運動習慣など、日常生活のあらゆる面が関係しています。不適切な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒などが主要なリスク因子です。
脳卒中の初期症状は多様で、突然の麻痺や脱力感、言語障害、視覚の変化、激しい頭痛などが含まれます。これらの症状を素早く認識し、迅速に医療機関を受診することが、後遺症を最小限に抑えるカギとなります。
予防においては、バランスの取れた食事、定期的な運動、などが重要です。脳卒中は突然起こりますが、その多くは日々の生活習慣の改善によって予防可能です。生活習慣を見直して脳卒中を予防しましょう。