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ビタミンDが花粉症対策に重要?免疫機能の維持と花粉症対策に貢献するビタミンDの働きを解説!

健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2025/04/02

ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収をサポートする働きにより、健康な骨の維持に重要な役割を果たす栄養素として広く知られているビタミンの一種です。また近年、ビタミンDは正常な免疫機能の維持にも重要な働きをしていることが研究で示唆されており、過剰な免疫反応が引き起こす、花粉症などのアレルギー疾患への働きにも期待を集めています。
この記事では、ビタミンDのさまざまな働きを紹介しながら、免疫機能や花粉症に関する近年の研究報告を解説していき、花粉症対策とビタミンD活用のポイントを解説します!
ビタミンDの基本情報
ビタミンDはどんな栄養素?
ビタミンDは、私たちの骨の健康を支えるカルシウムの機能に深く関わり、カルシウムを体内利用するうえで不可欠な働きをしている重要なビタミンです。またビタミンDは、食品から摂取できると同時に、私たちが日光に含まれる紫外線を浴びることで皮膚で合成することもできる、特殊なビタミンの一種です。
ビタミンDとして働く物質にはいくつか種類がありますが、食品から摂取できて高い生理活性を示すビタミンD2とビタミンD3が、代表的なビタミンDとして知られています。ビタミンD2はキノコ類に豊富に含まれており、ビタミンD3は魚肉や魚類の肝臓に豊富に含まれていることが知られています。
私たちの体は、日光を浴びることによって皮膚でビタミンDを合成することもでき、適度に日光を浴びることはビタミンD不足を防ぐうえで重要視されています(1)。
ビタミンD不足は、特に日光を浴びる時間の不足が原因となると考えられており、近年世界中でみられているとされています(2)。
ビタミンDの骨の健康を支える働き
ビタミンDの主な働きは、腸からのカルシウムの吸収を助け、体内でのカルシウムの循環をサポートする働きです。
食品から摂取したビタミンD2とビタミンD3は、どちらも肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDに変換されたのち、小腸でカルシウムの吸収を促進します。
カルシウムは骨を強くして骨密度を高くする重要なミネラルで、カルシウムの吸収に必要なビタミンDも骨の形成、成長、修復に必要不可欠です。重度のビタミンD欠乏症は骨軟化症を引き起こすほか、軽度のビタミンD不足でも骨折や転倒のリスクを高めるため、特に骨折のリスクや影響が大きい高齢の方にとって、ビタミンDは重要な栄養素となります(3)。
ビタミンDの免疫機能への働き
ビタミンDが正常な免疫機能をサポート!
ビタミンDは近年の研究で、カルシウムの吸収だけではなく、さまざまな免疫細胞に働きかけることにより、正常な免疫機能の維持にも貢献していることが明らかにされ、注目を集めています(4)。
ビタミンDは、「自然免疫」という私たちが生まれつき備えている免疫の第一防衛ラインと、「獲得免疫」という後天的に備える免疫の第二防衛ラインの両方に対して働きかけ、これらの適切な機能をサポートすると考えられています。
ビタミンDは、自然免疫を担うマクロファージなどの免疫細胞を活性化することで、細菌やウイルスの侵入から身を守る最も基本的な免疫機能を増強します。またそれと同時に、獲得免疫を担う免疫細胞に対しては抑制的に働きかけて、過剰な免疫反応を防ぐなど、適切な免疫機能のコントロールにおいて重要な役割を果たしています(5)。
その免疫のコントロールに重要な働きから、ビタミンD不足はアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの、免疫機能の失調が関わる疾患の発症や進行に影響を与えると考えられています。
たとえば、アトピー性皮膚炎患者を対象としたさまざまな研究結果を網羅的に分析した研究では、ビタミンDの補給によりアトピー性皮膚炎の重症度が改善することが示唆されています(6)。
ビタミンDは、以前から知られてきたカルシウムの体内循環だけでなく、花粉症など多くの疾患に関わる免疫機能の維持にも貢献することが知られるようになり、さらにその重要性が高まっています。
ビタミンDは腸内環境のバランス維持にも貢献!
ビタミンDは、私たちの免疫機能に対して大きな影響力を持つことで知られる腸内環境の維持もサポートすることが示唆されており、その幅広い働きに注目を集めています。
私たちと共生している無数の腸内細菌は、消化物を代謝することで、さまざまな物質を作り出しています。私たちの免疫系を担う細胞は、全体の約6割が腸に集中しているとされており、腸内細菌が多くの免疫細胞に対して影響を与えるため、腸内環境の乱れは免疫機能の不調と密接な関係にあることが多くの研究で示唆されてきました(7)。そのため、近年は善玉菌を活用した花粉症対策にも期待が集まっており、さまざまな研究でその効果が報告されています。
ビタミンDは、腸の内側のバリア機能の維持や、腸内細菌の構成に働きかけることで、健康な腸内環境のバランスを保つうえでも重要な役割を果たすことが示唆されています(8)。そのため、ビタミンD不足は免疫機能と腸内環境の両方に悪影響を与え、さまざまな疾患に関わると考えられています。
ビタミンDの花粉症対策への働き
花粉症と免疫機能の関係
花粉症は、体に侵入してきた異物を撃退する免疫機能が、花粉の侵入に対して過剰に働くことで発症してしまう、アレルギー疾患のひとつです。
私たちの体内に花粉が侵入すると、私たちの体は花粉を排除するとともに、侵入してきた異物を記憶するうえで必要となる、花粉に特異的な抗体を産生します。
ある程度の抗体量までは症状を引き起こすには至りませんが、何度も花粉が侵入して抗体が増加していくと、免疫機能が花粉に対して「体を守るためにアレルギー反応を起こす必要があるものだ」と判断してしまいます。数年から数十年にかけて花粉が何度も侵入し、抗体が一定以上作られるようになってしまうと、花粉の侵入に対して抗体がヒスタミンなどの物質産生を促すようになり、花粉症が発症してしまいます(9)。
過剰な免疫反応による症状を防ぐためには、花粉を避けることで抗体が増えないようにすることが最も重要ですが、日頃から免疫機能を正常に保つことも重要だと考えられています(10)。そのうえで、さまざまな研究により、健康な免疫機能の維持に貢献するビタミンDの重要性も示唆されてきました。
ビタミンDの欠乏と花粉症
ビタミンDの欠乏は、花粉症の発症リスクを高めることがさまざまな研究で示唆されています。
たとえば、3,000人以上の日本人妊婦を対象とした大規模なコホート研究では、ビタミンDが欠乏状態の人は、ビタミンDが欠乏していない人に比べて花粉曝露時のアレルギー発症リスクが有意に高かったという報告がされています(11)。
ビタミンDは免疫機能への貢献が示唆されていることからも、ビタミンDの補給が花粉症対策に役立つと期待されています。
ビタミンD補給による花粉症への効果に関する報告
実際に、アレルギー疾患を抱える人を対象にビタミンDを補給した研究で、ビタミンDが花粉症の症状の緩和に貢献することが示唆されています。
雑草の花粉に対してアレルギー反応を示す花粉症の子供を対象に、ビタミンD補給によりアレルギー性鼻炎が改善するかを調べた研究では、ビタミンDサプリメントを摂取したグループで、プラセボグループと比べて症状が大幅に軽減されたことが報告されています(12)。
また、さまざまな食品成分のアレルギー性鼻炎への効果を確かめた研究結果を、網羅的に分析してまとめた研究では、ビタミンD単独の摂取でもアレルギー性鼻炎への効果が示されています。さらに、ビタミンD3・ケルセチン・エゴマの組み合わせや、ビタミンD3と乳酸菌の一種Limosilactobacillus reuteriの組み合わせも有益である可能性が示唆されています(13)。
花粉症対策のポイントとビタミンDの活用
花粉症対策の最も重要なポイントは「花粉を避けること」で、症状が酷くなる前に薬物療法やアレルゲン免疫療法などを受ける「初期療法」もポイントのひとつです。
また、日頃から腸内環境や免疫機能を整えて健康な状態を維持することも重要で、これらに関わる食品成分を花粉シーズンの前から日常的に摂取することで、重症化が緩和される可能性があると考えられています(14)。そのため、花粉症対策のポイントを意識しながら、腸内環境や免疫機能を整えるために、これらの両方を調整する働きが示唆されているビタミンDを活用すると、効果的だと考えられます。
ビタミンDは、日焼けしない程度に日光を浴びることで補えるほか、きのこ類や魚類などの食事やサプリメントから摂取することもできます。花粉飛散量予報などを活用して花粉曝露に注意しながら日光を浴びることを意識しつつ、日照不足が気になる際はサプリメントから摂取するなど、ビタミンDを意識的に摂取すると効果的だと考えられます。
ビタミンDは骨の健康だけでなく、免疫機能にも重要な働きをしている大事な栄養素であり、日光を浴びる機会が少ない方は、特に意識して摂取することが推奨されます。日頃からビタミンD摂取を意識することは、花粉症などのアレルギー疾患のケアにも繋がることが期待でき、健康を保つうえでも効果的だと言えます。