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大動脈解離の予防方法とは?摂取するべき栄養素や食べ物について解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/18
最終更新日 2024/09/12
大動脈解離の予防方法をご存じでしょうか?大動脈解離は前兆なく、突然発症します。そのため、普段の生活から血管にとって健康な生活を送ることが大切です。
この記事では、大動脈解離を予防するための方法について解説します。特に、栄養素や食事に関して詳しく解説している記事です。血管の状態に不安がある方は、ぜひご覧ください。
大動脈解離の原因
大動脈解離は血管中膜に亀裂が生じ、膜が乖離する疾患です。その原因は、高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、結合織障害などです。高血圧は血管病変の代表的な要因と知られており、大動脈解離においても血圧による血管へのストレスが発症の引き金となります(1)。発症は冬に多く、夏に少ない傾向です(2)。これは冬に血圧が上がりやすいことが関与していると考えられます。
また、マルファン症候群などの遺伝子異常による結合織障害も原因になるため、遺伝的要因も関与していると考えられます。
大動脈解離の初期症状
大動脈解離の症状は、主に4つが挙げられます。
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急性の激痛
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脈拍の減弱
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低血圧
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腹痛や腰痛
以下に、大動脈解離の主要な初期症状について詳しく解説します。
急性の激痛
大動脈解離では、突然、胸や背中に激痛が走るのが特徴的です。かなりの痛みで、引き裂かれるような痛みを感じます。この痛みは「経験したことがないような痛み」「バットで殴られたような痛み」などと表されます。
痛みの強さは、多くの場合、これまで経験したことのないほどの激痛で、息を吸うのも困難なほどです。痛みの位置は、解離が進行するにつれて移動することがあり、例えば胸部から腹部や背中へと広がることもあります。この激痛は、大動脈壁の層が裂けることで引き起こされ、周囲の神経を刺激することが原因です。痛みの突然の出現と激しさは、大動脈解離を他の心臓疾患や胸痛の原因と区別する重要な指標となります。
脈拍の減弱
大動脈解離のもう一つの重要な初期症状は、脈拍の減弱または消失です。これは、解離によって大動脈の血流が妨げられることで起こります。特に、左右の腕や脚の脈拍に差が生じることがあり、これは診断の手がかりとなります。
例えば、片方の腕の脈が反対よりも弱く感じられたり、まったく触知できなくなったりするなどです。この症状は、大動脈解離が大動脈弓やその主要な分枝に及んでいることを示しています。脈拍の減弱は、血流の減少を意味し、それに伴って該当部位の皮膚の色が変化したり、冷たくなったりすることもあります。患者自身が脈拍の変化に気づくことは難しいですが、医療従事者による検査で発見されることが多いです。
低血圧
大動脈解離に伴う低血圧は、生命を脅かす可能性のある初期症状の一つです。低血圧は、大動脈壁の裂け目から大量の血液が漏れ出すことで引き起こされます。これにより循環血液量が減少し、全身への血液供給が不足します。
低血圧による症状は、めまい、ふらつき、意識の混濁、極度の疲労感などです。特に急激な血圧低下は、脳や他の重要な臓器への血流を著しく減少させ、ショック状態を引き起こす可能性があります。低血圧は、大動脈解離の重症度を示す重要な指標であり、即座に治療が必要です。
腹痛や腰痛
大動脈解離の初期症状として、腹痛や腰痛が現れることも少なくないです。これらの痛みは、解離が腹部大動脈にまで及んだ場合に生じます。腹部大動脈の解離による痛みは、上腹部から下腹部、さらには背中や腰部にまで広がることがあります。痛みの性質は、鈍痛から鋭い痛みまでさまざまですが、多くの場合、持続的で強い痛みです。
また、腹痛や腰痛は、腎臓や腸管などの臓器への血流が阻害されることで引き起こされることもあります。これらの症状が突然現れ、通常の鎮痛剤で軽減されない場合は、大動脈解離の可能性を考慮する必要があります。
大動脈解離を予防するための食べ物
大動脈解離は突然症状が現れるため、普段の食生活で血管の健康を維持することが効果的です。そのためには、魚油やビタミンCが含まれる食べ物を摂取することが大切になります。各栄養素が含まれる食べ物や効果について解説していきます。
魚油が含まれる食べ物
魚油、特にオメガ3脂肪酸は、大動脈解離の予防に効果的です。これらの脂肪酸は、炎症を抑制し、血圧を下げ、血管の弾力性を維持する働きがあります。サーモン、マグロ、サバ、イワシなどの脂の多い魚は、特に良い魚油の供給源です。これらの魚を週に2〜3回食べることで、十分な魚油を摂取できます。
魚をほとんど食べていない人では、大動脈疾患で死亡するリスクがあがるとされています。ただ、少なくとも月1、2回食べていればリスクは抑えられます(3)。
魚を食べる習慣がない人には、魚油のサプリメントも選択肢となりますが、医師に相談の上で使用することが推奨されます。また、亜麻仁油やチアシードなどの植物性オメガ3脂肪酸源も、魚を食べない人にとって効果的です。
ビタミンCが含まれる食べ物
ビタミンCは抗酸化物質であり、大動脈解離の予防に重要です。コラーゲンの生成を促進し、血管壁を強化する効果があります。欠乏すると血管がもろくなり、出血しやすくなるため注意しましょう(4)。
ビタミンCが豊富な食品には、柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)、キウイ、イチゴ、パパイヤなどの果物があります。野菜では、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草などが良い供給源です。
これらの食品を毎日の食事に取り入れることで、必要なビタミンC摂取量を確保できます。
過剰摂取しても尿中から排泄されるため、食事から摂取するなら心配は必要ないです(4)。もし、サプリメントを摂取している場合は、用量を守りましょう。
大動脈解離の予防方法
大動脈解離を予防するためには「運動習慣」「食事習慣」「禁煙」「定期的な健康診断」の4つがポイントになります。それぞれ詳しく解説します。
運動習慣
大動脈解離の予防には、適度な運動習慣が大切です。定期的な有酸素運動は、血圧を安定させ、血管の健康を維持するのに効果的です。ウォーキング、ジョギング、水泳などの軽く汗をかく程度の運動を週に2〜3回、60分以上行うことが推奨されます(5)。
ただし、急激な血圧上昇を避けるため、過度に激しい運動や急な動きは控えるべきです。特に高血圧や動脈硬化のリスクがある人は、医師の指導のもとで運動プログラムを立てることが大切です。また、運動前後のストレッチや軽いウォームアップ、クールダウンを行うことで、血管への負担を軽減できます。継続的な運動は、体重管理にも役立ち、肥満による血管への負担を減らすことができます。
食事習慣
大動脈解離の予防において、適切な食事習慣が大切です。高血圧や動脈硬化を予防するために、塩分と飽和脂肪の摂取を控えることが推奨されます。具体的には、1日の塩分摂取量を6g未満に抑え、加工食品や外食の頻度を減らすことが効果的です(6)。代わりに、新鮮な野菜や果物、全粒穀物、魚類を中心とした地中海式食事が血管の健康に良いとされています。
特に、オメガ3脂肪酸を含む青魚や、カリウムを豊富に含むバナナやほうれん草は、血圧を安定させるのに効果的です。また、水分摂取も重要で、適度な水分補給は血液の粘性を下げ、血流を改善します。アルコールは適量であれば問題ありませんが、過度の摂取は血圧を上昇させるため注意しましょう。
禁煙
喫煙は大動脈解離のリスクを大幅に増加させる要因の一つです。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ、血圧を上昇させます(7)。また、喫煙は血管内皮の機能を低下させ、動脈硬化を促進します。これらの影響により、大動脈壁が弱くなり、解離のリスクが高まります。したがって、喫煙者にとって禁煙は大動脈解離の予防において最も重要な対策の一つです。
禁煙は難しいと感じる人も多いですが、ニコチン代替療法や禁煙外来の利用など、様々な支援方法があります。禁煙後は血管機能の改善が見られ、時間の経過とともにリスクは低下していきます(8)。受動喫煙でも心血管リスクが高まるため、非喫煙者も、受動喫煙を避けることが大切です。
定期的な健康診断
大動脈解離の予防には、定期的な健康診断が欠かせません。特に、高血圧や動脈硬化などのリスク因子を早期に発見し、適切に管理することが大切です。健康診断では、血圧測定、血液検査、心電図検査などが行われます。これらの検査により、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの状態を把握し、早期の予防ができます。
また、家族歴のある人は、超音波検査やCTスキャンによる大動脈の画像診断を受けることも大切です。これにより、大動脈瘤や大動脈壁の異常を早期に発見できる可能性があります。定期的な健康診断を受けることで、自身の健康状態を正確に把握し、早期発見、早期治療につなげましょう。
まとめ
大動脈解離は、高血圧や結合織障害などが原因で血管中膜に亀裂が生じる疾患です。主な初期症状には、急性の激痛、脈拍の減弱、低血圧、腹痛や腰痛があります。予防には適切な生活習慣が重要で、特に運動習慣と食事管理が効果的です。魚油やビタミンCを含む食品の摂取は血管の健康維持に役立ちます。定期的な運動は血圧を安定させ、血管機能を改善します。
また、塩分と飽和脂肪の摂取を控え、新鮮な野菜や果物を中心とした食事が大切です。喫煙は大動脈解離のリスクを高めるため、禁煙が重要な予防策となります。さらに、定期的な健康診断を受けることで、高血圧や動脈硬化などのリスク因子を早期に発見し、適切に管理することができます。