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心筋梗塞の予防方法とは?予防に効果的な食事習慣や栄養素を解説
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/18
最終更新日 2024/09/03
心筋梗塞の予防方法をご存じでしょうか。心筋梗塞は高血圧や糖尿病など、生活習慣に関連した疾患が引き金となって発症しやすいです。そのため、生活習慣の管理と改善が必要になります。
この記事では、心筋梗塞を予防するための方法や食事習慣、栄養素について具体的に解説していきます。コレステロールや血圧の数値が高く、不安に思っている方は、ぜひご覧ください。
心筋梗塞の4大原因
心筋梗塞は、冠動脈の血流が突然遮断されることで起こる心臓疾患です。冠動脈の閉塞は心筋の酸素不足を引き起こし、心機能を停止させます。具体的には、以下の4つの要因が原因として挙げられます。
高血圧
高血圧は心疾患の発生リスクと関連しており、血圧を正常に保つことが大切です(1)。高血圧は血管壁に持続的な負担をかけ、動脈硬化を促進してしまいます。これにより冠動脈の狭窄や閉塞のリスクが高まり、心筋梗塞を引き起こす可能性があります。そのため、正常血圧(120/80mmHg)を維持することが重要です(2)。
高血圧は自覚症状が乏しいため、定期的に血圧を測定することが大切です。すでに血圧が高い場合は、必要に応じた降圧剤の服用、減塩などの生活習慣改善が必要になります。
高脂血症
高脂血症は、血中のLDLコレステロールや中性脂肪が過剰な状態です。これらの脂質が血管壁に沈着すると、動脈硬化を引き起こし、冠動脈の閉塞につながります。コレステロールの基準値として、LDLコレステロールが139mg/dL以下、中性脂肪が149mg/dL以下を保つのが大切です。(3)高脂血症になる原因として、飽和脂肪酸の過剰摂取が挙げられるため、肉の脂身や加工食品などを控え、魚油などの不飽和脂肪酸の摂取が大切になります。
糖尿病
高血糖状態が続くと、血管内皮細胞の機能障害や炎症反応が起こり、動脈硬化が進行します。その結果、心臓の血管が閉塞しやすくなるため、注意が必要です。血液中に過剰な糖が存在していると、血管内でヘモグロビンと結びつき、HbAic(糖化ヘモグロビン)を多く作ってしまいます。この数値は糖尿病の指標として用いられ、空腹時にHbA1cが6.5%異常では糖尿病の可能性が高いです(4)。心筋梗塞のリスクを抑えるためには、摂取エネルギーを抑えたり、運送したりして糖尿病を予防する必要があります。
喫煙
喫煙は心疾患の発症や死亡リスクを増加させるため、早期の禁煙が大切です(5)。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、血管にさまざまな害を及ぼします。具体的には、血圧上昇、血管の収縮による血流量の低下、酸素や栄養不足などです。特に、一酸化炭素はヘモグロビンが酸素を運ぶ能力を低下させ、疲れやすくなります。
また、酸化ストレスを増大させ、血管内皮の機能を低下させます。禁煙は心筋梗塞予防に効果的な方法の一つです。
心筋梗塞の予防方法
心筋梗塞を予防するためには、上記のリスク因子を管理することが重要です。以下に具体的な予防法を示します。
運動習慣
定期的な運動は、肥満や糖尿病の予防につながり、結果的に心筋梗塞を予防します。具体的には、血圧の安定、善玉コレステロール(HDL)の増加、血糖値の改善、体重管理などの効果です。運動習慣の目標としては、3METs以上の運動を週60分以上行うことが推奨されています。これは、少し汗をかく程度の運動を週2〜3日程度実施するのと同等です(6)。
また、忙しくて運動ができない場合には、座りっぱなしにならず、適度に動くようにしましょう。持病があり、運動の負荷に気を付ける必要がある場合、必ず医師の許可を得てから行ってください。
定期的な健康診断
年に1回以上の健康診断を受けることで、心筋梗塞のリスク因子を早期に発見し、予防することができます。検査項目としては、特に血圧、血中コレステロール、血糖値、体重などの指標に注意しましょう。異常値が見つかった場合は、医師の指示に従い、生活習慣の改善や必要に応じて薬物治療を開始することが大切です。
禁煙
喫煙者の場合、禁煙することで心筋梗塞のリスクを大幅に低減できます。喫煙している人は喫煙していない人より3倍も心疾患のリスクが高まります(7)。たばこは動脈硬化や血栓を引き起こす可能性があるため、早期に禁煙するのがよいでしょう。
禁煙後には、動脈硬化による死亡のリスクが緩やかに減少していき、非喫煙者の死亡リスクに近づいていきます(8)。禁煙するには、ニコチンガムや禁煙補助薬の利用、禁煙外来の受診など、さまざまな禁煙支援サービスの活用が必要です。一方で、禁煙を成功させることは難しく、禁煙外来終了時の禁煙成功率が71.8%、成功した人のうち3年後まで禁煙を継続している人は50.6%に減少しています(9)。このように禁煙を持続するのは難しいため、サポートを受けるのが大切です。
食事習慣
心筋梗塞を予防するためには、普段の食事習慣に注意が必要です。特に、現代では食事が欧米化してきているため、栄養素に配慮した食事を心掛けましょう。
魚油やビタミンなどの栄養素を摂取する
魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、心疾患の予防だけでなく認知症、うつ、発達障害、リウマチ、発がんなどに対する有効性が示されています(10)。オメガ3脂肪酸を多く含む魚(サバ、イワシ、サーモンなど)を多く摂取するほど心疾患のリスクが低下します(11)。この脂肪酸は過剰摂取してしまうことは滅多にないですが、サプリメントを取り入れる場合は摂取量に注意しましょう。
また、ビタミンの摂取も効果的です。ビタミンB6やビタミンB12、葉酸の摂取により心筋梗塞のリスクが低下します(12)。特に、これらの栄養素を同時に摂取することでより効果が発揮されます。
低脂肪の食事にする
心筋梗塞の予防には普段の食事を低脂肪に抑えるのが大切です。特に、肉の脂に含まれる飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させ、心疾患のリスクを上昇させます(13)。一方で、魚などに含まれる不飽和脂肪酸は心疾患のリスクを下げるため、定期的に摂取することが予防に効果的です。食べ物としては、肉類、マーガリン、マヨネーズ、スナック菓子など飽和脂肪酸が含まれるものは控えましょう。
味の濃くない物を食べる
塩分の過剰摂取は高血圧のリスクを高めるため、味の濃い食べ物は控えましょう。血液中の塩分濃度が高くなると、血管内の水分が増加するため、圧力が高くなります。1日の塩分摂取量は、6g未満に抑えることが推奨されています(14)。調理時の塩の使用を控え、香辛料などを活用して風味を出す工夫をしましょう。また、加工食品や外食には塩分が多く含まれていることが多いので注意が必要です。
心筋梗塞の初期症状と病院受診の目安
心筋梗塞の初期症状は個人差が大きく、また急性に発症する場合も多いですが、以下の症状に注意が必要です。
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胸の中央に強い圧迫感や痛みがある
(締め付けられるような、重苦しい痛み)
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痛みが左腕、首、顎、背中に放散する
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冷や汗、吐き気、めまい、息切れを伴う
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症状が15分以上続く
これらの症状、特に強い胸痛が15分以上続く場合は、迷わず救急車を呼びましょう。心筋梗塞は発症後の時間経過とともに心筋のダメージが拡大するため、早期の治療開始が極めて重要です。「様子を見よう」と躊躇することで、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
また、糖尿病患者や高齢者では、典型的な胸痛がなく、だるさや息切れなどの非典型的な症状のみで発症することがあるので注意が必要です。心筋梗塞のリスクが高い人は、軽い症状でも医療機関に相談しましょう。
まとめ
心筋梗塞は高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などが主な原因で発症する心疾患です。
予防には生活習慣の改善が重要で、定期的な運動や健康診断の受診、禁煙、食事習慣の改善が効果的です。普段から低脂肪の食事を心がけ、飽和脂肪酸の摂取を控えましょう。また、塩分の過剰摂取は高血圧のリスクを高めるため、味の濃い食べ物は控えめにすることが大切です。栄養素では、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸やビタミンB群の摂取が心疾患のリスク低下に関与します。
心筋梗塞の初期症状として、15分以上続く強い胸痛や、放散痛、冷や汗、吐き気、めまい、息切れなどがあります。これらの症状が現れた場合、特に強い胸痛が続く場合は、迷わず救急車を呼びましょう。早期発見と治療が心臓へのダメージを最小限に抑える鍵となるため持病があり、リスクの高い人は軽い症状でも医療機関に相談することが重要です。