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ドライアイとは?原因や症状、検査方法、治療方法まで解説

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/05/19

パソコンやスマートフォンを長時間使用していると、目が乾いたり、ゴロゴロしたりすることはありませんか。もしかすると、それは 「ドライアイ」 かもしれません。ドライアイは単なる目の乾燥ではなく、放置すると視力の低下や慢性的な目の不快感につながることもあります。

 

最近では、エアコンの使用やコンタクトレンズの装着、加齢などもドライアイの原因となり、若い世代からシニアまで幅広い年齢層で悩みが増えています。「目薬をさせば大丈夫」と思っている方も多いかもしれませんが、それだけでは根本的な改善にはなりません。ドライアイを正しく理解し、原因に合った治療や対策を行うことで、目の負担を軽減し快適な視界を取り戻すことが可能です。

 

本記事では、ドライアイの原因や症状、検査方法、さらに 眼科で行われる治療法や自宅でできる対策について詳しく解説します。

 

 

ドライアイとは

 

ドライアイは、涙の分泌量が減少したり、涙の質が低下することで引き起こされる目の疾患です。涙は目の表面を潤し、異物の侵入を防ぎ、角膜や結膜を保護する役割があります。涙の量や質に問題が生じると、目の乾燥、痛み、疲れやすさといった症状が現れます。

 

原因には加齢、長時間のパソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズの装用、エアコンによる空気の乾燥などです(1)。ホルモンバランスの変化や自己免疫疾患が関係することもあります。特に女性は加齢に伴うホルモン変化の影響で発症しやすいです。

 

症状は目の乾燥感や異物感のほか、充血やかすみ目を伴います。涙が出にくいだけでなく、質の低下により目を保護する機能が弱まり、眼精疲労や視力低下の原因となることも少なくないです。慢性化すると炎症を引き起こし、角膜障害につながる可能性があります。

 

早期の対策としては、こまめな瞬きや人工涙液の使用が有効です。加湿器を利用して空気の乾燥を防ぐことも効果的です。症状が続く場合は、眼科で適切な治療を受けましょう。

 

 

ドライアイの3つの原因

 

ドライアイは大きく3つの原因に分けられます。

 

  • 環境要因

  • 薬剤的要因

  • 疾患要因

 

それぞれ解説します。

 

 

環境要因

 

乾燥した空気は、目の表面の涙を蒸発させ、ドライアイを引き起こします(1)。そのため、冬場の暖房や夏場のエアコンが影響します。特にオフィスや車内は湿度が低くなりやすく、目の乾燥を助長します。

 

喫煙も要因の一つです。タバコの煙に含まれる化学物質が涙の成分を変化させ、目の潤いを保ちにくくします。また、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用も問題です。画面を凝視するとまばたきの回数が減り、涙の蒸発が進みます。

 

他にはコンタクトレンズの使用も影響します。長時間の装用や適切なケアを怠ると、目の表面に負担がかかりやすいです。このような影響があるため、日常の環境を見直すことが予防につながります。

 

 

薬剤的要因

 

内服薬の副作用でドライアイが起こることがあります。これは抗ヒスタミン薬や抗うつ薬、降圧薬、利尿薬などに涙の分泌を抑制する副作用があるためです。また、ホルモンバランスの変化による影響もあり、経口避妊薬やホルモン補充療法の薬剤がドライアイを引き起こすことがあります。

 

点眼薬も要因の一つです。緑内障治療に使われるβ遮断薬を含む点眼薬は、涙の分泌を減少させる可能性があります。このように薬剤がドライアイの原因となる場合もあります。

 

 

疾患要因

 

ドライアイを引き起こす疾患には自己免疫疾患や皮膚疾患、神経疾患があります(2)。シェーグレン症候群は代表的な疾患です。涙腺や唾液腺が自己免疫により破壊され、涙の分泌量が低下します。眼の乾燥だけでなく、口の渇きも伴うことが特徴です。スティーブンス・ジョンソン症候群は重篤な皮膚疾患です。眼表面の障害が進行し、涙液分泌に影響を与えます。角結膜の損傷が激しく、ドライアイの症状が深刻化しやすいです。

 

また、糖尿病も関与しています。神経障害により涙腺の機能が低下し、涙の分泌が減少します。パーキンソン病ではまばたきの回数が減少し、眼の乾燥が進みやすいです。甲状腺機能異常も原因となり、特にバセドウ病では眼球突出が起こり、涙液の分布が不均一になります。そのため、疾患が原因のドライアイでは疾患に対する治療が大切です。

 

 

ドライアイの症状

 

ドライアイの主な症状は、目の疲れ、充血、異物感です。目の疲れは、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用後に感じることが多いです。まばたきの回数が減ると涙の分泌が追いつかず、目の表面が乾燥しやすくなります。

 

充血は、乾燥による刺激が原因で血管が拡張することで起こります。目のゴロゴロ感は、涙の不足や質の低下で角膜が荒れると生じやすいです。また、目やにが増える、まぶしさを感じる、視界がかすむといった症状もあります。

 

ひどくなると、角膜や結膜に傷がつき、痛みを伴うこともあります。症状が進行すると、視力低下につながるため注意が必要です。特にエアコンの効いた部屋や風が強い場所では症状が悪化しやすいです。

 

 

ドライアイのチェックリスト

 

ドライアイは、目の乾燥や違和感だけでなく、視力の低下や疲れ目の原因にもなります。以下のチェックリストで、ご自身の目の状態を確認してみましょう。

 

  • いつも目が乾いた感じがする

  • 目がゴロゴロしたり、異物感を感じる

  • 目がかすんで見えることがある

  • 目の疲れを感じやすい

  • 長時間のパソコン・スマホ使用で目がしんどくなる

  • 目が充血しやすい

  • 涙が出にくい、または逆に涙が出やすい

  • コンタクトレンズをつけると違和感がある

  • まばたきの回数が減っている気がする

  • エアコンの風で目が乾燥しやすい

 

多く当てはまる場合は、ドライアイの可能性が高いかもしれません。症状が続く場合は、眼科での診察をおすすめします。

 

 

ドライアイの検査方法

 

ドライアイを調べる際には、いくつか検査を実施します。

 

  • 涙の量を調べる検査

  • 涙の安定性を調べる検査

  • 目の表面の状態を調べる検査

 

詳しく解説します。

 

 

涙の量を調べる検査

 

涙の量を調べる代表的な方法がシルマー検査です。試験紙を下瞼のふちに5分間挿入し、涙で濡れた長さを測定します。一般的に、10mm以上で正常、5mm以下でドライアイの可能性が高いとされます。測定する際には、コンタクトレンズ使用の有無、エアコンなどの影響を考慮するのが大切です。

 

シルマー検査は簡単で短時間で終わりますが、試験紙の刺激で涙の分泌が増えることがあるため、他の検査と併用して診断を行います。涙の量が少ない場合、人工涙液や点眼薬による治療が必要です。

 

 

涙の安定性を調べる検査

 

涙の安定性を調べる検査には、BUT検査と角結膜生体染色検査があります。

BUT検査は、まばたきをせずにどの程度の時間、涙が安定して目の表面を覆っているかを測定する検査です。目にフルオレセインという染色液を点眼し、スリットランプという顕微鏡を用いて涙の状態を観察します。通常、涙は10秒以上目の表面を保護しますが、5秒以下で乾燥が始まる場合はドライアイの疑いがあります。

 

角結膜生体染色検査は、フルオレセインやリサミン・グリーンといった染色液を用い、涙の分布や角膜・結膜の傷を調べる検査です。染色液が乾燥や傷のある部分に付着することで、涙のムラやダメージの程度が明らかになります。目の表面の異常が分かるため、ドライアイの原因や重症度を判断するのに役立ちます。

 

 

目の表面の状態を調べる検査

 

ドライアイでは角膜や結膜に傷が生じることがあります。目の表面の状態を調べるために、細隙灯顕微鏡検査と顕微鏡検査が行われます。

 

細隙灯顕微鏡検査では、光を照射しながら顕微鏡で角膜や結膜の状態を観察することで、角膜の乾燥や傷の有無を確認できます。顕微鏡検査では、フルオレセインやローズベンガルなどの染色液を点眼し、角膜のダメージがある部位を特定します。適切な検査によって、ドライアイの進行度や目の健康状態を把握することが可能です。

 

 

ドライアイの治療方法

 

ドライアイの治療方法は4つあります。

 

  • 栄養素の補充

  • 点眼治療

  • 外科的治療

  • 内科的治療

 

詳しく解説します。

 

 

栄養素の補充

 

フィッシュオイルにはオメガ3脂肪酸が含まれ、ドライアイの症状を軽減する作用があります(3)。オメガ3脂肪酸は青魚やサプリメントから摂取することが可能です。

 

また。ビタミンDは涙の油分の分泌を増加させて目の表面を保護する効果が期待できます。ビタミンDは。日光を適度に浴びることで体内で生成されるほか、魚や卵、乳製品から摂取することが可能です。

 

アントシアニンは抗酸化作用が強く、目の疲れや血流の改善に効果があります。ブルーベリーやカシスに多く含まれ、視力の維持にも効果的です。食事だけで補うのが難しい場合は、サプリメントを活用する方法もあります。

 

 

点眼治療

 

水分を補充するための人工涙液や水分保持作用のあるヒアルロン酸ナトリウム点眼液が用いられる傾向です(1)。他には、涙液の分泌を促すジクアホソルナトリウム点眼液や涙液の安定性を改善するレバミピド点眼液を使用することもあります。炎症が関与する場合はステロイド点眼薬や免疫抑制剤が処方されます。

 

防腐剤が含まれないタイプの点眼薬を選ぶと、長期使用による目への負担を軽減することが可能です。点眼の回数や種類は症状に応じて調整し、適切な点眼治療を行うことで、目の潤いを保ち、不快な症状を和らげることができます。

 

 

外科的治療

 

点眼で改善しない場合、涙の排出口である涙点を塞ぐ治療を行います(1)。涙点プラグを挿入し、涙の排出を抑えることで目の表面の水分を保持することが可能です。シリコン製やコラーゲン製のプラグがあり、取り外し可能なタイプと半永久的なタイプがあります。

 

症状が重い場合は、涙点を焼灼や縫合で閉鎖する手術を行います。涙の保持が不十分な場合は、涙液を溜めるスペースを増やすために結膜を移植する治療を行う場合もあります。

 

 

内科的治療

 

内服薬により涙腺から生理的な涙液を分泌させます。疾患が原因で発症するドライアイに用いられることが多いです。例えば、シェーグレン症候群があります。自己免疫疾患の影響で涙腺が機能低下し、涙の分泌が減少しやすいです。

 

内服薬には、免疫抑制剤や自律神経に作用する薬が含まれます。また、涙の質を改善するためにビタミン剤や漢方薬が処方されることもあります。全身疾患が関与している場合、基礎疾患の治療も必要です。

 

 

ドライアイの疑いがあれば適切な検査と治療を受けましょう

ドライアイは、涙の分泌量が減少したり、質が低下することで目の乾燥や不快感を引き起こす疾患です。原因として、長時間のPC・スマホ使用、コンタクトレンズ、エアコン、加齢、ホルモンバランスの変化、自己免疫疾患などが挙げられます。症状は乾燥感、異物感、充血、眼精疲労、視力低下などで、慢性化すると角膜障害のリスクが高まりやすいです。

 

検査方法には、涙の量を測るシルマー検査や、涙の安定性を調べるBUT検査があります。治療としては、人工涙液の点眼、涙点プラグによる涙の保持、栄養補給(オメガ3脂肪酸やビタミンD)、内服薬の活用などが効果的です。

 

日常生活では、まばたきの意識、加湿器の使用、目の休息が予防につながります。症状が続く場合は眼科を受診して適切な検査と治療を受けましょう。

 

 

 


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