成分と栄養素

ビタミンDとは?3つの効果や効率的な摂取方法、不足による影響を解説

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/05/15

「最近なんだか疲れやすい」「日光を浴びる時間が減ったせいか、体調がすぐれない」そんな不調を感じていませんか。実は、それはビタミンD不足が原因かもしれません。

 

ビタミンDは、骨の健康を維持するだけでなく、免疫力向上やメンタルヘルスの安定にも関与する重要な栄養素。しかし、現代の生活では意外と不足しがちで、その影響は骨折リスクの増加、免疫機能の低下、慢性的な疲労感など多岐にわたります。

 

では、ビタミンDを効率よく摂取するにはどうすればよいのでしょうか。食事からの摂取、適度な日光浴、サプリメントの活用など、効果的な方法があります。この記事では、ビタミンDの働きや不足のリスク、効果的な摂取方法を詳しく解説します。日々の生活に取り入れることで、健康的な体づくりに役立てましょう。

 

 

ビタミンDとは

 

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨の成長を助ける脂溶性のビタミンです。主にD2(エルゴカルシフェロール)とD3(コレカルシフェロール)の2種類があり、D3は体内で合成されやすい特徴があります。食事やサプリメントから摂取できるほか、紫外線を浴びることで皮膚でも生成されます。

 

このビタミンは骨の健康維持に重要です。カルシウムとリンの吸収を助け、骨の形成を促します。不足すると骨がもろくなり、子どもではくる病、大人では骨軟化症や骨粗しょう症の原因となります(1)。免疫機能では、感染症や自己免疫疾患のリスク低下に役立つ栄養素です。

 

上記のようにビタミンDには幅広い効果があります。

 

 

ビタミンDの3つの効果

 

ビタミンDには大きく3つの効果があります。

 

  • 骨や歯の成長を促進

  • 神経や筋肉の働きを保つ

  • 免疫力の向上

 

詳しく解説します。

 

 

骨や歯の成長を促進

 

ビタミンDは、骨や歯の健康を支える栄養素です。これは腸管でのカルシウム吸収促進により、血中のカルシウム濃度を高めるからです(2)。これにより、骨の成長や再生が円滑に進みます。

 

乳歯から永久歯への移行期にも欠かせません。歯のエナメル質や象牙質の形成を助け、虫歯を防ぐ働きもあります。成長期の子どもは特に必要量が増えます。日光を浴びることがビタミンDの生成につながります。

 

 

神経や筋肉の働きを保つ

 

ビタミンDは、神経や筋肉の正常な働きを維持するために重要です。不足すると筋肉の萎縮や神経伝達の低下につながり、転倒リスクが高まります(3)。特に高齢者ではこの影響が顕著です。加齢に伴い血中のビタミンD濃度は低下し、高齢者ではビタミンD不足の頻度が高くなるとされています(3)。

 

筋力の低下は、歩行の安定性を損ない、骨折の原因にもなります。また、神経の働きが低下すると、反射やバランス感覚が鈍くなるためビタミンDの摂取が必要です。

 

 

免疫力の向上

 

ビタミンDは、免疫細胞の増殖や感染に対する抵抗性を高めることで免疫力向上に貢献します(4)。体内に十分なビタミンDがあると、細菌やウイルスに対する防御機能が強化されます。特に、風邪やインフルエンザの予防に効果的です。COVID-19患者ではビタミンDが欠乏しており、ビタミンDを投与すると感染率が低下するとされています(5)。免疫システムが正常に機能するためには、ビタミンDの適切な摂取が必要です。

 

このように、ビタミンDが不足すると、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。病気の予防には、日々の食生活を見直し、必要に応じてサプリメントを活用することが重要です。

 

 

ビタミンDの摂取目安量

 

ビタミンDの摂取目安量は、18歳以上の男女ともに1日あたり9.0㎍とされています(6)。これは健康を維持し、骨の形成や免疫機能の調整に必要な量です。一方で、過剰摂取には注意が必要で、耐容上限量は1,000㎍と定められています。適量を超えて摂取すると、高カルシウム血症や腎障害を引き起こすリスクがあります。

 

ビタミンDは食品や日光を通じて摂取できます。魚類(サケ、サバ、イワシなど)や卵黄、きのこ類に多く含まれています。特に日光を浴びることで皮膚でも合成されますが、紫外線の影響を避けるために屋内で過ごす時間が長い人や日焼け止めを使用する人では不足しやすいです。そのため、食事やサプリメントでの補給が推奨されます。

 

また、高齢者や妊娠中の女性では、ビタミンDの吸収率が低下することがあります。特に骨粗しょう症のリスクが高い人は、医師と相談しながら適切な量を摂取することが大切です。サプリメントを利用する場合は、過剰摂取にならないように注意し、定められた摂取量を守ることが重要です。

 

 

ビタミンDが不足すると

 

ビタミンDが不足すると、腸管や腎臓からのカルシウム再吸収が減少し、血中のカルシウム濃度が低下します。その結果、低カルシウム血症が進行すると、筋肉のけいれんやしびれが出現します。

 

骨へのカルシウム供給の不足は、骨軟化症を引き起こす原因です。骨軟化症は骨の強度を低下させ、骨折のリスクを高めます。特に高齢者では骨粗鬆症のリスクが増加します。小児では骨の成長が妨げられ、くる病を発症しやすいです。くる病になると、骨が変形しやすくなり、X脚やO脚の原因になります。

 

また、歯のエナメル質が弱くなり、虫歯のリスクも高まります。免疫機能にも影響を及ぼし、感染症にかかりやすくなります。ビタミンDの不足は、健康全般に悪影響を及ぼすため、日光浴や食事から適切に補うことが重要です。

 

 

ビタミンDの効率的な摂取方法

 

ビタミンDを効率的に摂取する方法は以下の2つです。

 

  • 魚介類や乳製品を摂取する

  • サプリメントを活用する

 

詳しく解説します。

 

 

魚介類や乳製品を摂取する

 

ビタミンDを効率よく摂取するためには、魚介類や乳製品を日常的に取り入れることが重要です。魚介類の中でも、特に鮭やサバは豊富に含まれています。焼き魚や刺身、缶詰などで手軽に摂取できます。干物もビタミンDの含有量が高く、保存が効くため常備すると便利です。

 

乳製品では、牛乳やヨーグルトに加え、チーズにもビタミンDが含まれています。魚介類と乳製品を組み合わせることで、より効果的にビタミンDを摂取できます。

 

 

サプリメントを活用する

 

ビタミンDを効率よく摂取するには、サプリメントが有効です。食事だけでは十分な量を摂れない場合、手軽に補給できるため、多くの人に適しています。選ぶ際は、D2(エルゴカルシフェロール)とD3(コレカルシフェロール)の違いに注意が必要です。

 

D3は、魚類に含まれ体内での利用効率が高く、より効果的に働きます。日光を浴びることで皮膚でも合成されます。特に脂質を含む食事と組み合わせると、より効率的です。一方、D2はキノコ類に多く含まれており体内で合成できない成分です。どちらも腸管でのカルシウム吸収を助け、全身の機能に貢献します。

 

ビタミンDは推奨摂取量を守りながら、継続的に摂ることが大切です。過剰摂取すると高カルシウム血症のリスクがあるため、適切な量を心がけることが重要です。

 

 

ビタミンDを多く含む食品

 

ビタミンDは、主に動物性食品と一部の植物性食品に含まれています。特に以下の食品が豊富な供給源です。

 

 

100gあたりの含有量(㎍)

きくらげ

130

しらす

61

まいわし

50

さけ

33

にしん

22

引用:食品成分データベース

 

上記の食品を取り入れることが骨や歯の健康につながります。

 

 

ビタミンDを摂取して全身の健康を保ちましょう

 

ビタミンDは、骨の健康維持だけでなく、免疫力向上や筋肉・神経機能の維持にも関与する重要な栄養素です。不足すると骨折リスクの増加や免疫機能の低下、慢性的な疲労感などが生じる可能性があります。

 

ビタミンDを効率よく摂取する方法は、食事・日光浴・サプリメントの活用などです。食事では魚類(サケ、サバ、イワシ)、卵黄、きのこ類に多く含まれています。また、紫外線を浴びることで体内でも生成されますが、現代の生活では屋内で過ごす時間が長く、不足しがちです。そのため、必要に応じてサプリメントを活用するとよいでしょう。

 

推奨摂取量は成人で1日9.0㎍とされていますが、過剰摂取は高カルシウム血症のリスクがあるため注意が必要です。日々の生活にビタミンDを取り入れ、健康的な体づくりを心がけましょう。