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ビフィズス菌BR-108とはどんなもの?ビフィズス菌BR-108の特長と効果を徹底解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/11/12

善玉菌の代表格として親しまれているビフィズス菌は、腸内環境を整えるだけではなく、免疫機能や代謝機能など、全身の健康を幅広くサポートすることが知られており、健康意識が高まっている近年、高い関心を集めています。ビフィズス菌にはさまざまな種類がありますが、そのなかでもビフィズス菌BR-108は、腸内環境を整える効果や免疫を調節する効果に加え、加熱殺菌状態でも効果を発揮するという特長を持つことが研究で示唆されており、食品やサプリメントへの活用で注目を浴びている菌株です。

この記事では、そんなビフィズス菌BR-108の基本情報や特長、研究報告されている効果などを解説していき、赤ちゃんの腸から分離されたヒト由来のビフィズス菌BR-108がどのようなものなのかをご紹介します!

 

健康を支える腸内環境とビフィズス菌

 

健康を支える腸内環境の重要性

私たちの腸には、約1,000種類、100兆個もの細菌が共生しており、全身の健康へ非常に大きな影響力を持つ腸内環境を形成していることが知られています。多彩な腸内細菌には、大きく分けると善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3つのグループがあり、これらは食事や年齢、ストレスなどのさまざまな影響を受けながら共存し、絶妙なバランスを保った腸内環境を形成しています。

 

食生活の乱れやストレスなどにより、腸内環境のバランスを崩す悪玉菌を増やしてしまうと、腸の不調だけではなく、アレルギーなどに関わる免疫系の不調や、脳機能に関わる中枢神経系の不調、全身へ影響を与える心血管系の疾患など、さまざまなリスクにつながることが研究から示唆されています(1)

 

そのため、善玉菌を増やして悪玉菌の過剰を防ぎ、健全な腸内環境のバランスを保つことは、腸内環境全体の働きを良い方向へ導き、健康維持につながると考えられています。

 

そのなかでも、特に重要な善玉菌として知られているもののひとつがビフィズス菌です。

 

ビフィズス菌とは

ビフィズス菌は、腸内にすむ善玉菌の代表格です。私たちの健康に貢献する善玉菌には、乳酸菌などさまざまな種類がありますが、そのなかでもビフィズス菌は、私たちが生まれたときから健康維持に貢献している、特別な菌であることが知られています。

 

私たちが生まれたばかりの頃には、まだ腸内細菌はそれほど多くすみついていませんが、ビフィズス菌は母から受け継ぐことで、早い段階から腸に定着します。乳児の頃から腸にすみつくビフィズス菌は、腸内環境の基盤を形成するとともに、腸のバリア機能、正常な免疫機能、代謝機能など、生きるうえで欠かせないさまざまな機能の形成に貢献します(2)

 

腸内環境が安定する成人期以降も、ビフィズス菌は私たちの健康へ貢献する重要な役割を果たし続けてくれます。

 

ビフィズス菌には、酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸を産生するという特徴があり、腸内環境を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑えるとともに、免疫機能や脂質代謝、糖代謝の調節に効果を発揮すると考えられています(3)

 

また、ビフィズス菌は酸素に弱い特徴や、食物繊維をエサとして利用できるという特徴を持っており、大腸の特殊な環境に適応するうえで大きく役立てていることも知られています。酸素が非常に少なく、ヒトには消化することのできない食物繊維が豊富に辿り着く大腸内にすみつく菌の数は、ビフィズス菌の方が乳酸菌よりも100倍以上多いとされており、腸内環境への影響力の大きさもビフィズス菌が重要である理由のひとつとして知られています(4)

 

そんなビフィズス菌は健康維持に欠かせない存在ですが、ストレスや食生活の乱れはビフィズス菌を減少させてしまうことが知られており、高齢になることでもビフィズス菌は減少してしまう傾向にあります(5)

 

その重要性から、ビフィズス菌を積極的に取り入れることへの関心は高まっており、近年さまざまな製品に活用されています。

 

ビフィズス菌BR-108の特徴と機能

 

ビフィズス菌BR-108とは

ビフィズス菌BR-108は、赤ちゃんの腸内から分離された、ビフィズス菌ロンガム種に属するヒト由来の菌株のひとつです。

 

ビフィズス菌にはさまざまな種類がありますが、そのなかでもロンガム種(Bifidobacterium longum)は、出生から健康維持に貢献し続ける最も重要な菌種のひとつとして知られています。

 

また、ロンガム種のなかにも、増殖のもととなった菌でまとめた「菌株」というグループがあり、ロンガム種の異なる菌株同士は、同じ種としての共通の性質と、それぞれの菌株特有の性質を持つことが知られています(6)

 

赤ちゃんの腸から分離された菌株であるビフィズス菌BR-108も、ビフィズス菌ロンガム種としての一般的な機能に加え、ビフィズス菌BR-108特有の機能を持つことが研究で示唆され、近年注目を浴びています。

 

ビフィズス菌BR-108の効果

ビフィズス菌BR-108は、腸内環境を改善するとともに、免疫機能を刺激する効果を持つことが研究で示唆されている菌株です。

 

マウスを用いた研究では、ビフィズス菌BR-108の投与により、悪玉菌の減少と、酪酸を作る善玉菌の増加が確認されており、ビフィズス菌BR-108摂取による腸内環境改善の効果が示唆されています。また、ビフィズス菌BR-108を投与されたマウスでは、炎症反応を調節するさまざまな物質の産生が刺激されたことも確認されています(7)

 

ビフィズス菌BR-108は、腸内環境と免疫機能の改善に重要な、腸管免疫を調節する効果を発揮することが示唆されており、健康維持に役立つことが期待されています。

 

加熱殺菌状態でも効果を発揮する特長

ビフィズス菌BR-108は、加熱処理をされた死菌状態でも効果を発揮する菌株として、注目されています。

 

ビフィズス菌などの善玉菌は、生菌状態での機能がよく知られており、生きた状態で摂取することの重要性が注目されてきました。しかし近年、加熱処理などにより死菌状態となった善玉菌にも、健康をサポートする効果があることが研究で報告されてきており、死菌状態のビフィズス菌への関心も高まっています。

 

死菌状態となった善玉菌は、殺菌前に作り出した有益な物質により、死菌状態でも腸内環境のバランスを整える効果や、腸管のバリア機能を強化する効果、免疫機能を調節する効果を発揮することがさまざまな研究で示唆されています(8)

 

また、あらかじめ加熱処理をされているビフィズス菌は、生菌を腸まで届けるための特殊な技術を必要とせずに機能と安全性を維持できるため、常温保存可能な食品やサプリメントに活用しやすく、安定した働きを期待できるという利点もあります。

 

ビフィズス菌BR-108の効果を調べた研究では、生菌状態と死菌状態の両方で腸内環境改善と免疫を調節する効果が確認されたことに加え、加熱処理後の死菌状態でも生菌状態と同等の効果を発揮することが示唆されています(7)

 

加熱処理後も効果を発揮することが示唆されているビフィズス菌BR-108は、さまざまな食品やサプリメントに活用することができ、生活に取り入れやすいという特長を持つことからも、近年注目されています。

 

ビフィズス菌BR-108の活用のポイントは?

 

適量を継続して摂取する

ビフィズス菌は、日頃から私たちの体内で活躍している、安全性の高い菌として知られています。赤ちゃんの腸内から分離されたヒト由来の菌株であるビフィズス菌BR-108や、加熱処理をしたビフィズス菌BR-108も、同様に高い安全性を持つと考えられています。

 

しかし、短期的な効果を期待してビフィズス菌BR-108を大量に摂取することは、効果的な活用方法とは言えません。

 

私たちの腸内環境や免疫系は、さまざまな細胞や物質を介して複雑に制御されているため、短期間の摂取では影響を与えることが難しいと考えられます。実際に、ヒトを対象としてビフィズス菌の効果を報告してきた多くの研究は、数週間程度はビフィズス菌の摂取を継続するようデザインされています。

 

そのため、ビフィズス菌BR-108を活用するうえでは、適量を継続して摂取することが重要だと考えられます。

 

バランスの良い食生活を心がける

ビフィズス菌BR-108は、腸内環境への作用を通してさまざま効果を発揮すると考えられていますが、腸内環境は食生活の影響を強く受けるため、食生活をおろそかにして腸内環境を乱してしまうと、ビフィズス菌BR-108の意識的な摂取が無駄となってしまう可能性があります。

 

特に、動物性タンパク質や脂質に偏った食生活は、腸内環境へ悪影響を与えやすいことが知られています。たとえば、揚げ物に偏った食生活を続けると、腸内環境の多様性を損ない、腸内毒素を増やしてしまうという研究結果も報告されています(9)

 

一方、野菜や穀物などの植物性食品は、腸内環境を整える成分を含むものが多く、善玉菌の増殖と働きを促進するプレバイオティクスを摂取するうえでも、相性が良いと考えられています(10)

 

ビフィズス菌BR-108を活用するうえでは、腸内環境を整える植物性食品を意識的に摂取して、バランスの良い食生活を送ることも重要です。


 

死菌状態でも腸内環境を整え、免疫機能の調節に効果を発揮するビフィズス菌BR-108は、近年さまざまな食品やサプリメントに活用されています。ビフィズス菌BR-108を生活に取り入れながら、動物性食品に偏らないよう食生活のバランスを整えることは、健康を維持するうえで役立つと考えられます。


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