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腸活とはどんなもの?腸活のメリットとポイントを徹底解説!
健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2025/11/13
私たちの腸は、食べ物の消化や栄養の吸収などを担う消化器官としての働きがよく知られていますが、近年の研究により、全身のさまざまな機能へ大きな影響力を持つ、非常に重要な器官であることも明らかとされてきています。特に、免疫機能や脳機能への影響の大きさから、健康長寿への意識が高まる近年、腸内環境を整えることの重要性が注目され、身近な活動から腸内環境を整える「腸活」に高い関心が集まっています。
この記事では、そんな腸活について、メリットや押さえるべきポイント、おすすめの食品成分などを解説していき、皆さんの健康をサポートする情報をお届けします!
腸活とはどんなもの?概要とメリットを解説!
腸活とは
腸活は、腸内環境を整えることを目的とした、日常のさまざまな取り組みを指す言葉です。
腸活には、食生活・運動・睡眠などの生活習慣の見直しや、腸内環境に良い働きをする善玉菌の摂取など、簡単に取り組めるアプローチが多くあり、さまざまなメリットを期待できるため、幅広い世代から高い関心を集めています。
腸活は腸内環境に着目した活動ですが、その効果はおなかの調子を整えるだけでなく、全身の健康維持につながることが研究から示唆されており、健康意識が高まる近年注目を浴びています。
腸内環境の重要性と腸活のメリット
私たちの腸は、食べ物の消化や栄養の吸収を担う消化器官としての働きがよく知られていますが、さまざまな研究により、全身の健康を支える重要な器官であることも知られるようになってきました。
たとえば、毎日多くの食品を消化・吸収する私たちの腸には、細菌やウイルスから身を守るため、全身の免疫細胞の6割以上が集まっているとされており、「腸は最大の免疫器官」という言葉でも免疫機能における腸の重要性が知られています(1)。
また、腸は自律神経系やホルモンを介して脳と密接な関係を築いており、脳と腸が互いに影響を及ぼしあう「脳腸相関」という言葉でも、腸の状態が脳機能へ与える影響の大きさが知られています(2)。
私たちの健康を左右する重要な器官である腸の中には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに大別される100兆個もの腸内細菌がすみついており、これらが絶妙なバランスで共存することで、腸内環境を形成しています。腸内環境は全身へ非常に大きな影響力を持っており、悪玉菌が増えてそのバランスを崩してしまうと、腸の不調だけではなく、心血管疾患や神経疾患、ガン、免疫疾患、呼吸器疾患、糖尿病、腎臓病、肝障害など、さまざまな病気のリスクにつながることが示唆されています(3)。
腸内環境の構成は、食生活や生活習慣などさまざまな要因の影響を受けますが、高齢になることでもその多様性が損なわれる傾向にあることが知られており、日頃から腸内環境を健全に保つことの重要性が強調されています(4)。
腸活は、免疫機能や脳機能など全身に大きな影響力を持つ腸内環境を整えることで、さまざまな疾患のリスクを抑え、健康的な生活を送るための多くのメリットをもたらすと考えられています。
腸活のポイントを解説!
バランスの取れた食生活を送る
腸活にはさまざまなアプローチがありますが、最も代表的なものが食生活のバランスの改善です。
毎日さまざまな食べ物を代謝している腸内細菌の構成には、食生活の影響が強く反映されることが知られており、食生活をおろそかにしてしまうと、悪玉菌の増加による腸内環境の乱れにつながると考えられています。
特に、食の欧米化にともなって日本の食卓でも摂取する機会が増えている動物性タンパク質や脂質は、腸内環境へ悪影響を与えやすいことが知られています。たとえば、揚げ物に偏った食生活を続けると、腸内環境が悪玉菌に偏って多様性を損ない、腸内毒素を増やしてしまうという研究結果も報告されています(5)。
一方、野菜や穀物などの植物性食品は、腸内環境を整える成分を含むものが多いことが知られており、腸活のうえでは植物性食品を意識的に摂取することが効果的だと考えられます(6)。日頃からバランス良くさまざまな食品を摂取することは腸活の観点からだけでなく、栄養バランスの観点からも重要となるため、食生活の見直しは最優先で取り入れたい腸活のひとつです。
適度な運動習慣を取り入れる
適度な運動は、健康維持に貢献するだけでなく、メンタルヘルスや生活の質を改善するうえでも重要であることが知られていますが、腸活においても効果的なアプローチのひとつとして知られています。
最近の研究では、運動量の増加によって腸内の善玉菌が増加し、腸内環境の多様性の維持につながることが示唆されています。腸内環境の多様性が損なわれると、肥満や糖尿病などの代謝性疾患のリスクが高まることが示唆されており、運動習慣を取り入れることは腸内環境を整え、さまざまな疾患の予防に役立つと考えられています(7)。
運動習慣を取り入れる際は、無理せず継続して行うことが重要で、ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動や、ストレッチなどの取り組みやすいものから少しずつ着実に取り組むと効果的です。
十分な睡眠を取る
腸内環境はさまざまな要因の影響を受けて変化しますが、睡眠も大きな影響力を持つと考えられています。
最近の研究では、腸内環境の多様性と睡眠効率や睡眠時間との間に正の相関関係があることが報告されており、腸内環境と睡眠が密接な関係を持つことが示唆されています(8)。また、睡眠不足が腸内環境のバランスを崩すことを示唆する研究も報告されており、睡眠習慣を整えることはさまざまな疾患のリスクを抑えるだけでなく、腸内環境の改善にも効果を発揮すると考えられています(9)。
腸内環境を整えると、うつや不安などが抑えられ、気分状態の安定に効果をもたらすことが示唆されており、睡眠をしっかり取ることも腸活において重要なアプローチのひとつです。
十分な睡眠を取るうえでは、日中は活動的に過ごして適度に日光を浴び、過不足のない睡眠時間を確保することが重要とされており、メリハリをつけた生活を意識すると効果的だと考えられています(10)。
腸活に役立つキーワードを解説!
プロバイオティクスの活用
プロバイオティクスとは、「適量を摂取することで有用な効果をもたらす生きた微生物」の総称で、生菌状態での摂取の安全性と効果が確認された微生物のグループです。
私たちの健康に良い働きをする善玉菌には、乳酸菌やビフィズス菌などさまざまな種類がありますが、胃液や胆汁などに耐えて生きた状態で腸まで届くことや、食品などから十分な量を安全に摂取できること、摂取により明らかに有益な効果を発揮することなど、条件を満たすことが科学的に示された菌株だけが、プロバイオティクスとして認められます(11)。
プロバイオティクスには、腸内環境を改善することで腸の健全な働きを促進するほか、免疫機能を調節してアレルギーを抑える効果や、代謝機能を調節して肥満や糖尿病などの生活習慣病リスクを抑える効果、メンタルヘルスを改善する効果など、さまざまな効果を発揮するものがあることが多くの研究から示唆されています(12)。
プロバイオティクスは、近年さまざまな食品やサプリメントに活用され流通しており、これらを日常に取り入れることも腸活の一環として効果的だと考えられています。
プレバイオティクスによるサポート
プレバイオティクスは、有害な病原菌の増殖を抑える抗生物質(antibiotics)に対して考案された概念で、健康に有益な働きをする善玉菌の増殖や機能を促進し、善玉菌が持つ整腸作用とさまざまな効果をサポートする食品成分を指す言葉です(13)。
プレバイオティクスとして知られる食品成分には、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などの難消化性オリゴ糖、イヌリンなどの水溶性食物繊維といったものがあり、これらは消化されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサとなることで、その増殖や機能を促進する役割を果たします。
健康維持に貢献する生きた微生物プロバイオティクスと、それらのエサとなりサポートする食品成分プレバイオティクスをあわせて摂取することはシンバイオティクスとも呼ばれており、腸活においても欠かせない組み合わせとして推奨されています(14)。
加熱処理済みの死菌の効果
これまで多くの善玉菌は、プロバイオティクスなど生菌状態での機能が注目されてきましたが、近年加熱処理を受けた善玉菌も、死菌状態となる前に作り出した有益な物質や、菌を構成するさまざまな物質の働きにより、腸内環境のバランスを整える効果や、腸管のバリア機能を強化する効果、免疫機能を調節する効果を発揮することが研究で示唆されています(15)。
加熱処理後も効果を発揮する菌は、生菌を腸まで届けるための特殊な技術を必要としないため、常温保存可能な食品やサプリメントに活用しやすく、安定した機能と安全性を期待できるという利点もあり、近年高い関心を集めています。
プロバイオティクスを活用すると同時に、加熱処理済みの菌の活用も選択肢に入れると、幅広い善玉菌を摂取することができ、腸内環境の多様性の維持につながると考えられます。
まとめ
腸活は、食生活・運動・睡眠といった生活習慣全般を見直すことにより腸内環境を整える身近な活動で、消化吸収・免疫・メンタルヘルスなど多方面に効果をもたらすことが期待されています。腸内環境は個人差が大きいため、自分に合った腸活を継続的に取り入れることが重要です。短期的な効果を期待するのではなく、少しずつ継続して実践することが腸活において重要で、身近な方法から取り入れていくと効果的です。