乳酸菌MCC1848とはどんなもの?乳酸菌MCC1848の特長と効果を徹底解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/10/21

近年、健康意識の高まりとともに、全身の健康に大きな影響力を持つ腸内環境への関心も高まっています。私たちと共生する腸内細菌は、腸そのものの状態を左右するだけでなく、免疫機能や代謝機能、脳機能にいたるまで、全身の健康に深く関わることが明らかとされてきており、善玉菌の代表格として長年親しまれてきた乳酸菌は、その幅広い効果に高い関心を集めています。乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、赤ちゃんの腸から単離されたヒト由来の乳酸菌MCC1848という菌株も、気分状態の改善への効果と、その利用のしやすさから注目を浴びています。

この記事では、乳酸菌MCC1848とはどのようなものなのか、その基本情報や特徴、期待される効果などを解説していき、皆さんの健康維持に役立つ乳酸菌MCC1848の情報をまとめてご紹介します!

 

健康を支える腸内環境と乳酸菌

 

腸内環境の重要性

私たちと共生している多種多様な腸内細菌は、全身へ非常に大きな影響力を持つことが研究によって明らかとされてきており、健康維持に重要な存在として関心を集めています。

 

約1,000種類とも言われる腸内細菌には、大きく分けると善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3つのグループがあり、これらがさまざまな影響を受けてバランスを変えながら共存することで、「腸内フローラ」と呼ばれる多彩な腸内環境を形成しています。腸内フローラのバランスは健康維持に重要で、善玉菌が減って悪玉菌優勢に偏ってしまうと、腸の不調だけではなく、心血管疾患や神経疾患、ガン、免疫​疾患​、呼吸器疾患、糖尿病、腎臓病、肝障害など、全身の病気のリスクにつながることが多くの研究から示唆されています(1)

 

善玉菌を増やすことは、有益な菌の働きそのもののメリットだけでなく、悪玉菌を減らすことで腸内フローラ全体の働きを良い方向へ導くという複合的なメリットにもつながるため、その重要性から近年注目を浴びています。

 

そのなかでも、特に重要な善玉菌として知られているもののひとつが乳酸菌です。

 

乳酸菌とは

乳酸菌は、私たちの健康に貢献する善玉菌の代表格として、長年さまざまな食品やサプリメントに活用されてきた身近な菌です。

 

乳酸菌に並ぶ善玉菌の代表格としてビフィズス菌もよく知られていますが、実は乳酸菌とビフィズス菌は全く別の菌で、それぞれ私たちの体内にすみつく場所や、その働きが異なっています。

 

「糖を代謝して乳酸を多量に作ることのできる菌の総称」を意味してきた乳酸菌は、遺伝子配列を用いた系統解析技術などが発展した現在、Lactobacillales目に分類される菌を指して用いられるようになっており、乳酸菌飲料への活用でよく知られるラクトバチルス属(Lactobacillus)などが代表的です(2)。乳酸菌は酸素があっても生育できるものが多く、私たちの体内では小腸に多くすみついているほか、牛乳や発酵食品などの食品をはじめ、自然界に幅広く生息していることが知られています(3)

 

一方ビフィズス菌は、「生理学的に乳酸菌に関連している細菌​」として扱われており、酸素に弱いという特徴を持つため、肉や野菜などの一般的な食品には含まれておらず、酸素が少ない大腸内部に偏って生息しています。

 

乳酸菌は、乳酸によって小腸の環境を酸性に保ち悪玉菌の増殖を抑えるほか、小腸に多く集まる免疫細胞や神経細胞に働きかけることで、全身の幅広い機能に影響を与える、私たちの健康に欠かせない菌であると考えられています。

 

乳酸菌MCC1848の特徴と機能

 

乳酸菌MCC1848とは

乳酸菌MCC1848(Lactobacillus helveticus MCC1848)は、古くから発酵乳やチーズなどの発酵乳製品に利用されてきたLactobacillus helveticusという種のなかでも、気分状態への効果と、その高い安全性によって注目されている菌株です。

 

私たちの腸は、腸に集まる多くの神経細胞によって独自の神経ネットワークを築いており、脳と神経系やホルモンなどを介して互いに影響を及ぼしあうことで、「脳腸相関」という密接な関係を築いていると考えられています(4)。脳腸相関には、腸に対して大きな影響力を持つ腸内環境も深く関わっており、腸内環境を整えることによる気分状態への効果が、多くの研究で調べられてきました。

 

乳酸菌MCC1848も、気分状態を改善する効果がさまざまな研究で示唆されているほか、近年注目を浴びる死菌状態での効果も示唆されている菌株のひとつで、ストレス社会での活躍が期待されています。

 

気分状態を改善する機能

乳酸菌MCC1848の代表的な機能として、気分状態の改善効果が知られています。

 

うつ病の動物モデルとしてよく用いられるマウスを対象とした研究では、加熱処理をした乳酸菌MCC1848の投与により、うつ様行動や不安様行動が抑制されたことが確認されています。また、乳酸菌MCC1848は、ストレス感受性に重要な役割を果たす、脳の側坐核という部位での遺伝子発現を調節したことも確認されており、慢性的なストレスによる抑うつ感情へ効果を発揮することが示唆されています(5)

 

ヒトを対象とした研究では、乳酸菌MCC1848がポジティブな気分を維持するうえで効果を発揮することが示唆されています。健康な日本人看護学生ボランティアを対象に、加熱処理をした乳酸菌MCC1848を4週間摂取してもらった研究では、乳酸菌MCC1848を摂取したグループでのポジティブな感情が、プラセボと比べて有意に良好だったという結果が報告されています(6)

 

近年の多くの研究により、私たちのポジティブな気分とネガティブな気分は、正反対の関係というわけではなく、それぞれ独立して制御されているものだと考えられています。そのため、気分状態を健全に保つうえでは、ポジティブな感情とネガティブな感情をそれぞれ適切にコントロールすることが重要だと考えられており、これまで注目を浴びてきたネガティブな感情の調節と同様に、ポジティブな感情を維持する方法にも関心が集まってきています。

 

これらの研究報告からも、ストレス下でポジティブな感情の維持をサポートする乳酸菌MCC1848は、ストレス社会での活躍に期待を集めています。

 

加熱殺菌状態でも効果を発揮する特長

乳酸菌MCC1848は、加熱処理を経た状態で効果を発揮するという点でも注目されています。

 

これまで多くの善玉菌は、生菌状態で摂取することの重要性に注目を浴びてきました。​しかし近年、加熱処理を受けた善玉菌も、死菌状態となる前に作り出した有益な物質の働きにより、腸内環境のバランスを整える効果や、腸管のバリア機能を強化する効果、免疫機能を調節する効果を発揮することが研究で示唆されています(7)

 

生菌状態の効果を期待した製品は、消化液による死滅を防いで生菌を腸まで届けるための工夫を施していますが、加熱処理後も効果を発揮する菌は、生菌を腸まで届けるための特殊な技術を必要としないため、常温保存可能な食品やサプリメントに活用しやすく、安定した機能と安全性を期待できるという利点もあり、近年高い関心を集めています。

 

乳酸菌MCC1848の効果を調べた研究では、加熱処理を行った死菌状態での投与によって、気分状態を改善する効果が報告されています(5)(6)。加熱処理後も効果を発揮することが示唆されている乳酸菌MCC1848は、さまざまな食品やサプリメントに活用することができ、生活に取り入れやすいというメリットも持つと考えられています。

 

乳酸菌MCC1848の活用のポイントは?

 

適量を継続して摂取する

乳酸菌MCC1848は、長年食品に活用されてきた菌で、その高い安全性から気分状態への効果を調べる研究対象となった菌株です(5)

 

しかし、安全性が高い乳酸菌MCC1848でも、短期的な効果を期待して大量の摂取をすることは効果的ではありません。

 

乳酸菌MCC1848が作用する腸内環境や神経系は、さまざまな細胞や物質を介して複雑に制御されており、短期間の摂取では影響を与えることが難しいと考えられます。実際に、ヒトを対象として乳酸菌MCC1848の効果を報告した研究も、4週間摂取を継続するようデザインされており、そのうえでポジティブな気分を高める効果が示唆されています(6)

 

そのため、乳酸菌MCC1848を活用するうえでは、過剰な摂取を控え、適量を継続して摂取することが重要だと考えられます。

 

バランスの良い食生活を心がける

乳酸菌MCC1848を活用するうえでは、腸内環境へ大きな影響を与える食生活が乱れてしまわないよう気をつけることも重要です。食生活をおろそかにしてしまうと、悪玉菌の増加による悪影響が大きくなり、乳酸菌MCC1848の意識的な摂取が無駄となってしまう可能性があります。

 

動物性タンパク質や脂質は、腸内環境へ悪影響を与えやすいことが知られており、揚げ物に偏った食生活を続けると、悪玉菌に偏って腸内環境の多様性を損ない、腸内毒素を増やしてしまうという研究結果も報告されています(7)

 

一方、野菜や穀物などの植物性食品は、腸内環境を整える成分を含むものが多く、食物繊維が豊富な野菜は、善玉菌を選択的にサポートすることができるプレバイオティクスを摂取することができる、相性の良い食品であると考えられています(8)

 

乳酸菌MCC1848を活用するうえでは、継続した摂取とあわせて、乳酸菌MCC1848の働きを最大限活用できるよう食生活のバランスを整えると、腸内環境を整えるうえで効果的だと考えられます。


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