成分と栄養素

プロバイオティクスは効果ない?プロバイオティクスの効果と摂取方法を解説

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/05/14

「プロバイオティクスは本当に効果があるのか」気になる方はいるでしょう。近年、プロバイオティクスは腸内フローラのバランスを改善し、便秘解消や免疫力向上に役立つとされています。しかし、「本当に効果があるのか?」という疑問を抱く人も少なくありません。実際、菌の種類や摂取方法によっては期待する効果を得られないこともあります。

 

本記事では、プロバイオティクスの種類や効果、効果的な摂取方法について詳しく解説します。どのようなプロバイオティクスを選べば効果的なのかをしり、健康的な腸内環境を手に入れましょう。

 

 

プロバイオティクスの種類

 

プロバイオティクスの代表的なものとして、乳酸菌と酪酸菌があります。それぞれの機能や含まれる食べ物を解説します。

 

乳酸菌

 

乳酸菌は、糖を発酵させて乳酸を生成する微生物の総称です。ヨーグルトや発酵乳製品に多く含まれています。腸内の環境を整える効果があり、乳酸の生成によって腸内を酸性にして、悪玉菌の増殖を抑えます。

 

腸内環境を整える微生物の種類はいくつかありますが、そのうち生きたまま腸に届く微生物が「プロバイオティクス」です。乳酸菌は食品から摂取できるため、日常的に取り入れましょう。継続的な摂取により、腸内環境の改善や免疫力の向上が期待できます。

 

 

酪酸菌

 

酪酸菌は酪酸を生成する腸内細菌で、腸内に存在しています。酪酸は腸のエネルギー源となり、腸粘膜の修復やバリア機能の維持に働く細菌です。また、腸内のpHを低下させ、有害菌の増殖を抑制します。

 

酪酸菌はカプセル状の殻に包まれている形状で、酸や熱に強く、生きたまま腸に届きやすいです。健康維持のためには、日常的に発酵食品を取り入れるのがおすすめです。食べ物では、ぬか漬けや臭豆腐に含まれ、食事から摂取できます。また、酪酸菌は水溶性食物繊維を食べるため、水溶性食物繊維が多く含まれる玄米や海藻類の摂取は、酪酸菌が増えやすい環境を整えます。

 

 

効果があるプロバイオティクスの選び方

 

プロバイオティクスを選ぶ際は、以下の2点に注意しましょう。

 

  • 菌株の種類は何か

  • 菌が腸まで届きやすい仕組みになっているか

 

それぞれ詳しく解説します。

 

 

菌株の種類は何か

 

プロバイオティクスには多くの菌株が存在し、それぞれ異なる働きを持っています。代表的なものとして、乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌が挙げられます。それぞれの菌株の作用は以下の通りです。


 

 

作用

乳酸菌

乳酸を生成し、腸内のpHを低下させることで悪玉菌の増殖を抑制します。また、腸内環境を整え、免疫力を向上させます。

酪酸菌

酪酸を生成し、大腸のエネルギー源として使用されます。腸のバリア機能を強化し、炎症を抑える作用があります。

ビフィズス菌

腸内で短鎖脂肪酸を生成し、便通を促進します。特に乳児の腸内に多く存在し、健康な腸内フローラの形成を助けます。

 

上記のように作用が異なるため、目的に応じた菌株を含むプロバイオティクスを選ぶことが、効果を最大限に引き出すポイントです。

 

 

菌が腸まで届きやすい仕組みになっているか

 

プロバイオティクスの効果を引き出すには、摂取した菌が腸まで生きたまま届くのが不可欠です。胃には強い消化液があり、多くの菌がこの過程で死滅してしまいます。そのため、胃酸や胆汁に耐えられる菌が使われているか、または保護する仕組みがあるかを確認しましょう。

 

耐酸性のある菌の代表例としては、ビフィズス菌が挙げられます。これらは胃酸に強く、生存率が高いとされています。また、特殊なカプセルやコーティング技術を採用した製品も効果的です。例えば、腸溶性カプセルは胃では溶けず、腸に届いてから菌を放出するため、菌の生存率を向上させます。

 

また、プロバイオティクスを増殖させるプレバイオティクスと併用すると、腸内での定着率を高めるのが可能です。オリゴ糖や水溶性食物繊維が含まれる食品と一緒に摂取すると、菌が腸内で繁殖しやすくなります。

 

 

プロバイオティクスの5つの効果

 

プロバイオティクスには5つの効果があります。

 

  • 腸内環境を改善

  • 便秘や下痢の改善

  • 発がんリスクの低下

  • 免疫機能を調節

  • 血圧低下作用

 

それぞれ詳しく解説します。

 

 

腸内環境を改善

 

腸内環境の良し悪しは健康に直結する要因です。腸内には多種多様な細菌が存在し、バランスが崩れると便秘や下痢、免疫力の低下を引き起こします。プロバイオティクスは、善玉菌を増加させ、腸内腐敗菌や大腸菌を減少させて腸内環境を改善します(1)。

 

また、腸内のpHを適正に保ち、有害物質の生成を抑える働きもある微生物です。腸のバリア機能が強化されるため、病原菌の侵入を防ぎ、アレルギー症状の緩和にもつながります。適切なプロバイオティクスの摂取により、腸内環境をより良い状態に保つことが可能です。

 

 

便秘や下痢の改善

 

プロバイオティクスは、便秘や下痢の改善に効果的です。腸内の善玉菌が増えると、腸の動きが整います。便秘の場合、腸のぜん動運動が活発になり、スムーズな排便が促されます。短鎖脂肪酸の生成が進み、腸の水分バランスが適切に保たれるため、硬い便も排出しやすいです。

 

一方、下痢に対しては、腸内の悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を安定させます。腸の炎症が軽減されることで、水分の過剰な排出が防がれ、正常な便の状態に近づきます。特に、抗生物質の服用後やストレスによる腸内環境の乱れに対して、プロバイオティクスが有効です。乳酸菌やビフィズス菌を含む食品を継続的に摂取すると、便通が整いやすくなります。

 

 

発がんリスクの低下

 

プロバイオティクスの摂取は乳がん、膵がん、大腸がんの発症リスクを軽減する可能性があります(1)。これは、乳酸菌やビフィズス菌が腸内環境を改善し、発がん性物質の生成を抑える働きがあるためです。特に大腸がんは腸内フローラのバランスと密接に関係しており、善玉菌の増加がリスク低下につながると考えられています。

 

また、すでに大腸がんを患っている患者が摂取した場合に腸内細菌叢の変化を通して、再発防止や治療による副作用を軽減する可能性があります(2)。日常的にヨーグルトや発酵乳製品を取り入れることで、がん予防を意識した生活が送れるでしょう。

 

 

免疫機能を調節

 

プロバイオティクスはマクロファージの活性化や免疫グロブリン産生を通して免疫力を高める作用があります(1)。特に、腸管免疫を担うパイエル板が刺激を受けることで、ウイルスなどの侵入を防ぐIgA抗体の分泌が促進されます。これにより、免疫が強化され、ウイルスや細菌の感染を防ぐことが可能です。また、マクロファージの活性が高まると、異物を効率よく排除できるようになります。これらの作用が免疫機能を調節し、染症のリスクを低下させます。

 

 

血圧低下作用

 

プロバイオティクスは血圧を下げる働きがあります。乳酸菌や発酵乳に含まれる成分が血管の収縮を調整し、血圧を適正に保つ作用を持っているためです(1)。特に乳酸菌が作り出すペプチドには、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを抑える作用があります。これは高血圧の治療薬と似たメカニズムです。

 

また、プロバイオティクスは短鎖脂肪酸を作り出しますが、この脂肪酸は血管の弾力性を高め、動脈硬化の進行を抑えるのに貢献します。

 

これらの作用により、プロバイオティクスを含む食品を継続的に摂取することが、高血圧の予防や改善につながる可能性があります。食事にヨーグルトや発酵食品を取り入れ、血圧管理に役立てましょう。

 

 

プロバイオティクスの効果的な摂取方法

 

プロバイオティクスを効率的に摂取するための方法を紹介します。

 

  • 組み合わせて摂取する

  • 摂取タイミングを工夫する

  • 服用している薬との相性に注意する

 

それぞれ解説します。

 

 

組み合わせて摂取する

 

プレバイオティクスと組み合わせて摂取すると、腸内細菌を強化するのに効果的です。プレバイオティクスはプロバイオティクスのエサとなる成分で、善玉菌の増殖を促します。そのため、食物繊維やオリゴ糖を多く含む食品を取り入れると相乗効果が得られやすいです。

 

これらをバランスよく摂取することで、消化吸収の効率が上がり、免疫機能の向上も期待できます。単体で摂るよりも、相互作用を活かした摂取方法を意識することが、腸内環境を最適化するためのポイントです。

 

 

摂取タイミングを工夫する

 

プロバイオティクスを効果的に摂取するには、摂取タイミングが重要です。特に空腹時に摂取すると、胃酸の影響を受けにくく、腸まで届きやすくなります。そのため、朝食前や就寝前のタイミングがより定着効果を発揮します。食事中や食後に摂ると、胃酸が多く分泌されるため、一部の菌は生存しにくくなるでしょう。

 

カプセルやコーティングされたサプリメントは、胃酸の影響を抑えながら腸に届くため効率が良いです。また、食事中や食後に摂取しなければいけない時は、胃酸の影響を受けにくくするために、適度な脂質やたんぱく質と一緒に摂るのも一つの方法です。毎日決まった時間に摂取することで、腸内環境が安定しやすくなります。

 

 

服用している薬との相性に注意する

 

プロバイオティクスを摂取する際、服用している薬との相性を考慮する必要があります。例えば、抗生物質や抗菌薬を服用している場合、プロバイオティクスの効果が減少する可能性があります。ただし、抗菌薬の副作用を軽減するなどの効果もあるため、医師や薬剤師に相談するのが大切です(3)。

 

 

プロバイオティクスで腸内環境を整えましょう

 

プロバイオティクスとは、生きたまま腸に届き、腸内環境を整える微生物のことです。主な効果として、腸内環境の改善、便秘や下痢の予防、免疫力向上、発がんリスクの低下、血圧低下などが挙げられます。

 

プロバイオティクスを選ぶ際には、菌株の種類と腸まで届く仕組みを確認することが重要です。乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌など、それぞれの特性を理解し、目的に合った菌を選びましょう。また、胃酸や胆汁に耐えられる菌や、腸溶性カプセルに包まれた製品を選ぶことで、効果をより引き出せます。

 

食事やサプリメントで日常的にプロバイオティクスを取り入れ、腸内環境を整えましょう。