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シトルリンにはどんな効果がある?血流改善に役立つアミノ酸シトルリンの幅広い効果を解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/03/13

シトルリンはアミノ酸の一種で、血管を拡張する作用を持つ一酸化窒素の合成や、有毒なアンモニアの無毒化など、私たちの体内で重要な代謝経路を構成している栄養素です。シトルリンは、体内で男性の精力剤として人気のあるアルギニンへと代謝されるため、体内のアルギニン量を増やす働きでも注目を集めています。そんなシトルリンには、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?

この記事では、シトルリンの基本情報や効果に関する研究報告を解説しながら、皆さんにシトルリンの優れた働きとその効果をご紹介します!

 

シトルリンとはどんなもの?

 

シトルリンの基本情報

 

シトルリンは、スイカの果汁からはじめて同定された成分で、私たちの体内にも存在するアミノ酸の一種です。「シトルリン (Citrulline)」という名前は、スイカから初めて見つかったことから、スイカのラテン語名​​Citrullusが由来となっています(1)

 

シトルリンは、非必須アミノ酸の1つであるアルギニンと非常によく似た構造を持つことが特徴的です。シトルリンは、アルギニンとともに体内でさまざまな代謝経路を構成しており、健康を支える重要な働きをしています。

 

シトルリンに深く関わるアルギニンと一酸化窒素

 

アルギニンは、一般的には食事からの摂取が必須ではない「非必須アミノ酸」に分類されますが、怪我やストレスにより需要が増した際には摂取が必要となるため「条件付き必須アミノ酸」として扱われることもある、重要なアミノ酸です(2)

 

幅広い働きをするアルギニンは、一酸化窒素を増やす働きで特に注目を集めています。一酸化窒素には、血管の緊張を緩めて拡張する効果があり、血流改善や心血管の保護へ役立つことが知られています(3)。血流の改善に役立つ一酸化窒素を作ることができるため、アルギニンは運動パフォーマンスの向上や筋肉増強、生殖器の機能の促進に貢献すると考えられ、さまざまな研究でその効果が示唆されてきました(4)

 

シトルリンも、体内でアルギニンに変換されることで、アルギニンとともに血流改善をはじめとしたさまざま効果を発揮しています。

 

シトルリンが構成する重要な代謝経路

 

シトルリンは、アルギニンと互いに行き来する代謝経路を構成しており、そのなかでも有毒なアンモニアを無毒な尿素へ変換する「尿素サイクル」と、一酸化窒素を生み出す「一酸化窒素合成サイクル」は、私たちの健康に重要な働きをしています。

 

体内でアルギニンがシトルリンへ変換される際に一酸化窒素が作られる「一酸化窒素合成サイクル」の重要な代謝経路と、一酸化窒素が血管へ働きかける機能の発見は、1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞しており、その後の多くの研究でメカニズムの解明が進められてきました(5)

 

シトルリンは、体内でアルギニンに変換される特徴や、しなやかな血管の維持に重要な一酸化窒素を生み出す働きから、さまざまな効果を発揮することが研究報告され、注目を集めています。

 

シトルリンにはどんな効果がある?

 

シトルリンに関する研究では、以下のような幅広い効果が示唆されています。

 

血管の健康の維持

一酸化窒素の合成を促すシトルリンは、血圧の低下や血管内皮の保護など、心血管の健康を維持する効果を発揮することが研究で示唆されています。

 

たとえば、健康な男性ボランティアにシトルリンを7日間摂取してもらった研究では、プラセボを摂取したグループと動脈の硬さなどを比較して、血管の健康へのシトルリンの効果を調べました。その結果、シトルリンを摂取したグループは、プラセボグループと比べて血液中の一酸化窒素やアルギニンの量が有意に増加したほか、動脈の硬さの指標も有意に改善されたことが報告されており、短期間のシトルリン摂取による動脈硬化への効果が示唆されています(6)

 

また、血圧に対しても、さまざまな人を対象とした研究でシトルリンの効果が示唆されています。

 

肥満な人を対象に、スイカから抽出したシトルリンとアルギニンを含むエキスを摂取してもらった研究では、6週間の摂取で血圧がどのように変化するかが調べられました。その結果、シトルリンを含むエキスを摂取したグループでは、プラセボと比べて血圧が低下し、動脈の機能の改善が報告されています(7)。他にも、高血圧症の一歩手前の状態のボランティアを対象とした研究でも、血圧低下の効果が確認されており、シトルリンが持つ血管の健康への効果が支持されています(8)

 

血管内皮での一酸化窒素の欠乏は、高血圧や動脈硬化などの心血管疾患に強く関連することが認められており、シトルリンによる​​一酸化窒素合成の促進はこれらの疾患に対して効果的であることが示唆されています(9)

 

性機能の改善

男性の性機能に有益な栄養素として、勃起に重要な一酸化窒素の合成を促すアルギニンがよく知られていますが、シトルリンも同様の効果を発揮すると考えられています。

 

一酸化窒素は、勃起に不可欠なシグナル物質で、血管を拡張して血流を増やすことで、勃起を引き起こす物質の産生を促します。勃起不全(ED)患者では、血液中のアルギニン量やシトルリン量が少ない傾向にあることが報告されており、一酸化窒素に深く関わるシトルリンは、性機能の維持にも重要であると考えられています(10)

 

軽度のEDを抱える人を対象に、シトルリンの補給が勃起時の硬さへどのような影響を与えるかを調べた研究では、1ヶ月間のシトルリンの摂取により、ボランティアの半数で勃起時の硬さが改善し、性生活の満足度が向上した結果が報告されており、シトルリンの性機能への効果が示唆されています(11)

 

運動パフォーマンスの向上

シトルリンは血流改善を促すことで、運動パフォーマンスの向上や疲労回復にも役立つと考えられています。

 

シトルリンの摂取による運動への効果を確かめたメタ分析研究では、健康なボランティアを対象として実施されたさまざまな研究で集められた膨大なデータが解析されました。その結果、シトルリンの摂取によって運動後の負担度や筋肉痛が大幅に軽減されるという分析結果が報告されており、シトルリンの運動機能への効果が示唆されています(12)。このメタ分析研究では、運動の1時間前を目安にシトルリンを摂取すると効果的であることも示唆されています。

 

筋肉の維持

シトルリンは、筋肉量の維持にも貢献することが示唆されています。

 

シトルリンは、筋肉へ重要なアミノ酸の供給を促すことで、筋肉を作る酵素の働きを支える役割を果たすと考えられており、特にタンパク質の不足した食生活などにより体内のアミノ酸の循環が低下している人にとって、効果的であるとされています。実際に、タンパク質の少ない食事を摂取している健康な成人を対象とした研究では、シトルリンの摂取により筋肉合成が刺激されたことが報告されています(13)

 

また、シトルリンはエネルギーの産生や筋肉の成長に関わる重要な酵素の働きを刺激することで、骨格筋の成長や運動機能を向上させることも示唆されており、幅広い働きで筋肉をサポートすると考えられています(14)

 

シトルリンの摂取が体内のアルギニン濃度を効率よく高める?

 

シトルリンは、上記のようにさまざまな効果を発揮することが研究で示唆されていますが、さらに体内のアルギニン量を効果的に増やすという特長があることも知られています。

 

アルギニンはその重要な機能がよく知られていますが、アルギニンを直接経口摂取しても、腸や肝臓で働く酵素によってその大部分が分解されてしまい、血液中のアルギニン量を増やす効果が限定的であることも知られています。

 

シトルリンは、アルギニンを分解する酵素の働きを回避することができ、体内へ吸収されたあとにアルギニンへと変換されるため、持続的に体内のアルギニン量を増加させるうえで、アルギニンを直接摂取するよりも効果的だと考えられています(9)

 

アルギニンを直接摂取した場合と、シトルリンを摂取した場合とで、どちらが血液中のアルギニンを効果的に増やせるか比較した研究では、シトルリンを​​1日計1.5g投与されたグループで、アルギニンを1日計3.2 g投与されたグループと同程度に血液中のアルギニン量が増加したことが報告されており、シトルリン摂取の効率の良さが示唆されています(15)

 

シトルリンはアルギニンの前駆体として働くため、体内のアルギニンを持続的に増加させるうえでも効果的な働きをすると考えられています。

 

シトルリンを含む食べ物

 

シトルリンは、ほとんどがウリ科の植物の中に存在しており、肉や魚にはほとんど含まれない特殊なアミノ酸です。

 

食品100gあたりのシトルリン含有量は、スイカが約180mg と最も高く、メロンが約50mg、きゅうりが約9.6mgとされており、他のウリ科の植物と比べても、特にスイカにシトルリンが豊富に含まれることが知られています(16)

 

シトルリンの摂取量の目安

 

一般的に、シトルリンの1日の摂取量の目安は800mgとされており、これはスイカ1玉の1/7程度に相当します(16)。しかし、日本ではスイカを1年中摂取することは難しいため、シトルリンの摂取にはサプリメントを活用することも効果的です。その際は、シトルリンとともに働くアルギニンも合わせて摂取できる製品を選択すると、より効果的だと考えられます。

参考資料:

  1. Citrulline: A New Player in the Control of Nitrogen Homeostasis - ScienceDirect

  2. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年:文部科学省

  3. ​​Nitric oxide and blood: a review - Wallis - 2005 - Transfusion Medicine - Wiley Online Library

  4. ​​Arginine: beyond protein - ScienceDirect

  5. Nitric oxide synthase enzymology in the 20 years after the Nobel Prize - Stuehr - 2019 - British Journal of Pharmacology - Wiley Online Library

  6. Short-term effects of l-citrulline supplementation on arterial stiffness in middle-aged men - ScienceDirect

  7. ​​Watermelon extract supplementation reduces ankle blood pressure and carotid augmentation index in obese adults with prehypertension or hypertension

  8. l-Citrulline Supplementation: Impact on Cardiometabolic Health

  9. Therapeutic Use of Citrulline in Cardiovascular Disease - Romero - 2006

  10. Levels of l‐arginine and l‐citrulline in patients with erectile dysfunction of different etiology - Barassi - 2017 - Andrology - Wiley Online Library

  11. Oral L-Citrulline Supplementation Improves Erection Hardness in Men With Mild Erectile Dysfunction - ScienceDirect

  12. Effect of citrulline on post-exercise rating of perceived exertion, muscle soreness, and blood lactate levels: A systematic review and meta-analysis - ScienceDirect

  13. Citrulline stimulates muscle protein synthesis in the post-absorptive state in healthy people fed a low-protein diet – A pilot study - ScienceDirect

  14. l‐Citrulline Supplementation‐Increased Skeletal Muscle PGC‐1α Expression Is Associated with Exercise Performance and Increased Skeletal Muscle Weight

  15. Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of oral L‐citrulline and L‐arginine: impact on nitric oxide metabolism - Schwedhelm - 2008

  16. 動脈硬化症とアルギニン,シトルリン


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