成分と栄養素
ビタミンCとは?4つの健康効果や効率的な摂取方法を解説

健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2025/06/30

「最近なんだか疲れやすい」「肌の調子が気になる」そんなお悩みはありません。もしかするとビタミンC不足が原因かもしれません。
ビタミンCは、美容や免疫力アップなどに欠かせない栄養素で、健康を支える重要な役割を担っています。しかし、現代人の多くが十分に摂取できていないのが現実です。
この記事では、ビタミンCが持つ4つの健康効果と、効率よく摂取するための方法をわかりやすく解説します。
ビタミンCとは
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、野菜や果物に多く含まれます。人の体内では合成できないため、食事からの摂取が不可欠です。主にレモンやオレンジ、イチゴなどの果物、ピーマンやブロッコリー、キャベツといった野菜に豊富に含まれます。加熱に弱く、水に溶けやすいため、効率よく摂取するには調理方法に注意が必要です。
体内では抗酸化作用を持ち、細胞の酸化を防ぐ働きをします。免疫機能を正常に保つのに役立ち、風邪予防や疲労回復にも効果が期待できます。さらに、コラーゲンの生成を助け、皮膚や血管の健康維持に必要です。鉄の吸収を促進する作用もあり、貧血予防にも貢献します。
不足すると、壊血病と呼ばれる病気を引き起こし、歯茎の出血や倦怠感が現れます(1)。ストレスや喫煙、紫外線の影響を受けやすいため、十分な摂取が推奨されます。健康維持のため、毎日の食事にビタミンCを多く含む食品を取り入れることが大切です。
ビタミンCの4つの効果
ビタミンCは主に4つの効果があります。
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体内のコラーゲンを合成をサポート
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メラニン生成を抑制
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免疫力を高める
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鉄の吸収を促進
体内のコラーゲン合成をサポート
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠です。コラーゲンは皮膚、血管、腱、軟骨、骨などを構成する重要なタンパク質です。体内ではプロリンやリジンといったアミノ酸から強固なコラーゲン繊維を作ります。
ビタミンCが不足すると素材になるアミノ酸を生成できず、コラーゲンの合成が低下し、肌のハリや弾力が失われやすいです(2)また、傷の治癒が遅れたり、歯茎から出血しやすくなったりすることもあります。骨の強度を維持するためにもコラーゲンの生成は重要です。
加齢によってコラーゲンの産生は減少するため、ビタミンCの適切な摂取が必要です。食品からの摂取が理想ですが、必要に応じてサプリメントを活用するのも有効です。
メラニン生成を抑制
ビタミンCは、メラニンの合成を抑制し、肌の色素沈着を軽減します(3)。シミやそばかすの原因となるチロシナーゼという酵素の働きを抑え、メラニンの過剰な生成を防ぐしくみです。
すでにできたメラニンを無色化する作用もあり、肌を明るくするのに効果的です。紫外線によるダメージを軽減し、日焼け後の肌の回復を助けます。また、ターンオーバーを促進し、古い角質とともにメラニンを排出しやすくします。内側から透明感のある肌を目指すために、ビタミンCを継続的に摂取することが大切です。
免疫力を高める
ビタミンCは免疫機能にも役立つ栄養素です。リンパ球や好中球を生成して免疫機能をサポートし、体内のウイルスや細菌と戦います。特に、ストレスや疾患によって消費されるため、不足すると感染症と戦う力が弱くなりやすいです(4)。
白血球などが働く際には活性酸素が発生しますが、抗酸化作用により免疫細胞を酸化ストレスから守り、免疫細胞がしっかり働くようにします。また、粘膜を健康に保ち、外部からの病原体の侵入を防ぐ作用もあります。
免疫機能を強化するためには、ビタミンEや亜鉛と一緒に摂取するのがおすすめです。日常的に十分な量を摂取することで、健康な体を維持しやすくなります。
鉄の吸収を促進
ビタミンCは鉄の吸収を助ける働きがある栄養素です。鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の二種類があります。
肉や魚に含まれるヘム鉄は吸収率が高いですが、野菜や穀物に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いです。ビタミンCを一緒に摂取すると、非ヘム鉄が吸収されやすい形に変化します。これにより、鉄の吸収率が向上し、貧血の予防や改善に効果を発揮します。特に、鉄分が不足しがちな人や、鉄欠乏性貧血のリスクが高い人にとって有効です。
鉄剤を服用する場合も、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収を高めることができます。食事では、ほうれん草や豆類とともに柑橘類やピーマンを組み合わせると効果的です。鉄を効率よく吸収するためには、コーヒーや紅茶、緑茶など鉄の吸収を阻害する食品を控えることも重要です(5)。
ビタミンCの摂取目安量
15歳以上では男女ともに100㎎以上の摂取が推奨されています(6)。これは、体内で合成できないビタミンCを十分に補給し、健康を維持するための基準です。
喫煙、過度な運動を行う人やストレスや感染症によって、体内のビタミンCが消費されやすくなります。たばこの煙は血液中のビタミンC濃度が低下する要因のため、推奨量よりもさらに多くの摂取が望ましいです(7)。食品からの摂取が基本ですが、不足しがちな場合はサプリメントを利用するのも一つの方法です。
ビタミンCは水溶性のため、体内に蓄積されにくい性質があります。一度に大量に摂取するのではなく、食事ごとにこまめに摂ることが効果的です。また、加熱に弱いため、生の果物や野菜から摂取するのが理想的です。バランスの取れた食事を心がけながら、毎日の生活に取り入れましょう。
ビタミンCが不足すると
ビタミンCが不足すると、倦怠感や疲労感、筋力低下、出血傾向などさまざまな症状が出現します。これは、ビタミンCがエネルギー代謝やコラーゲン合成、鉄の吸収などを担っているためです。それぞれの症状が起こる仕組みを表で解説します。
症状が起こる仕組み |
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倦怠感や疲労感 |
ビタミンC不足では鉄の吸収率が低下するため、酸素が運搬されず、倦怠感や疲労感が出現します。 |
筋力低下 |
ビタミンC不足ではコラーゲンが生成されにくくなり、筋肉・腱・結合組織が弱くなり、筋力低下に至ります。 |
出血傾向 |
コラーゲン合成が十分に行えず、血管がもろくなるため歯茎や皮膚から出血しやすくなります。 |
免疫機能低下 |
ビタミンCは免疫細胞の機能を支えているため、不足すると免疫細胞の働きが弱くなります。 |
創傷治癒の遅延 |
創傷治癒に必要なコラーゲンが生成しにくくなるため、傷の治りが遅くなります。 |
例えば、ビタミンCを全く摂取しなかった場合、4週間程度で血液中のビタミンCがゼロになり、それから3〜4か月後に欠乏症状が出現し始めます(8)。すぐに症状が現れるわけではない点に注意し、日頃からビタミンCを摂取しましょう。
ビタミンCを効率よく摂取する方法
ビタミンCを効率よく摂取するには、以下の3つがおすすめです。
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ビタミンCを壊さずに摂取する
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鉄分と一緒に摂取する
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サプリメントから摂取する
ビタミンCを壊さずに摂取する
ビタミンCは熱や水に弱いため、調理方法によっては損失が大きくなります。加熱すると分解されやすく、特に長時間の煮込みや炒め物では失われやすいです。生で食べるのが効率的ですが、加熱が必要な場合は蒸したりスープにするのが適しています。
蒸すことで水に流れ出るのを防ぎ、栄養素を保持しやすくなります。スープにする場合は、煮汁ごと摂ると無駄なく摂取できます。
また、材料のカット後の保存にも注意が必要です。空気に触れると酸化が進み、栄養価が下がるため、食べる直前に切るのが理想的です。適切な調理方法を意識することで、ビタミンCをより効果的に取り入れられます。
鉄分と一緒に摂取する
ビタミンCは鉄分と一緒に摂ることで吸収率が高まります。これはビタミンCが鉄を吸収しやすい形に変えるからです。特に非ヘム鉄と呼ばれる植物性食品の鉄は吸収されにくいですが、ビタミンCと組み合わせることで効率的に取り込めます。ほうれん草や小松菜、大豆製品など鉄を含む食品を食べる際に、ビタミンCが豊富な果物や野菜を加えるのが理想的です。
サプリメントから摂取する
サプリメントは、ビタミンCを手軽に補給できる方法です。食事だけで必要量を満たすのが難しい場合に便利です。忙しい人や外食が多い人にとって、サプリメントは効果的な手段となります。食事と組み合わせることで、吸収効率を高めることも可能です。
水溶性のため過剰摂取しても体外に排出されやすいですが、大量摂取すると下痢や腹痛を引き起こすことがあります。そのため、1日の推奨摂取量を守ることが重要です。サプリメントには錠剤、粉末、ゼリータイプなどさまざまな形状があります。ライフスタイルに合わせて選ぶと、無理なく継続しやすくなるでしょう。
ビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCを多く含む食べ物をいくつか紹介します。
100gあたりの含有量(㎎) |
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アセロラ |
1700 |
ケール |
1100 |
パセリ |
820 |
赤ピーマン |
180 |
ブロッコリー |
140 |
しょうが |
120 |
レモン |
100 |
かぶ |
82 |
カリフラワー |
81 |
引用:食品成分データベース
上記の食品を積極的に摂取して、ビタミンCを取り入れましょう。1日あたり100㎎程度が目安となります。
ビタミンCを摂取して健康を維持しましょう
ビタミンCは体内で合成できない水溶性ビタミンで、果物や野菜からの摂取が不可欠です。主な働きは、コラーゲン生成のサポート、メラニン生成の抑制、免疫力の強化、鉄分の吸収促進の4つがあります。これらにより、肌の健康維持や疲労回復、風邪予防、貧血予防に効果を発揮します。
ストレスや喫煙、感染症で消費が増えるため、日常的な摂取が重要です。ビタミンCは熱や水に弱いため、生で摂取するのが効率的です。非ヘム鉄と一緒に摂るとより吸収率が高まります。不足すると倦怠感、出血傾向、創傷治癒の遅延などが生じる可能性があるため、意識して食生活に取り入れましょう。