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インフルエンザに負けない体をつくる!インフルエンザのときに摂りたい栄養素と食事法

健康スペシャルティ
公開日 2025/02/27
最終更新日 2025/03/12

インフルエンザは毎年多くの人々に影響を及ぼす感染症です。特に免疫力が低下している時期には、体調を崩しやすくなります。適切な栄養を摂取し、体力を維持することは、回復を早め、症状を軽減する重要な手段です。本記事では、インフルエンザ時の栄養管理と効果的な食事法について詳しく解説します。
1. インフルエンザと食事の重要性
1-1.インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。インフルエンザは、A型、B型、C型に分類されますが、とくに毎年の流行の主な原因となるのはA型とB型です。
インフルエンザの流行の程度とピークの時期は、年によって異なりますが、日本では、毎年11月下旬から翌年3月までの間に流行することが一般的になっています。
インフルエンザは、主に飛沫感染や接触感染を通じて広がります。感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した物に触れた手で口や鼻を触ることで感染が起こります。(1)(2)
1-2.インフルエンザの症状と体への影響
インフルエンザの主な症状には、発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、のどの痛みなどがあります。発熱は通常38℃以上の高熱になることが多く、いわゆる「かぜ」と比較すると、全身症状が強くなることが一般的です。
これらの症状は体に大きな負担を与え、高齢者や幼児、持病のある方では重症化する可能性もあります。また、体力の消耗を引き起こすため、適切な食事などにより免疫力をサポートし、回復を早めることが重要です。(1)
1-3.食事がもたらす重要な役割
食事は、エネルギーと栄養素を補給し、免疫力を維持する上で重要な役割を果たします。とくに、インフルエンザに感染した際は、免疫力と体力を高めるためにバランスの取れた栄養が欠かせません。栄養不足は免疫系の機能低下を招き、回復を遅らせる可能性があるため、バランスの取れた食事が重要です。(3)
2.インフルエンザ時に必要な栄養素
2-1.インフルエンザ回復に必要な栄養素
免疫をサポートする栄養素
免疫機能に関わる栄養素には、ビタミン、脂肪酸があります。とくに、ビタミンA、C、D、E、オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)が免疫をサポートする働きがある栄養素として知られています。また、栄養素ではありませんが、乳酸菌も免疫調整作用をもつ可能性があると報告されており、体の防御機能を高めることが期待できます。(3)(4)(5)(6)(7)(8)
働き |
多く含む食品 |
|
ビタミンA |
皮膚粘膜の形成に関わり、のどや鼻の粘膜を強くする |
レバー、卵黄、乳製品、緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、小松菜)、魚など |
ビタミンC |
抗酸化作用をもち、体内の細胞を酸化ストレスから守る働きをする。代謝やコラーゲンの生成に関与する |
柑橘類(レモン、オレンジ)、果物(いちご、キウイ、りんご)、緑葉野菜(ブロッコリー、ピーマン)、いも類など |
ビタミンD |
免疫系の調整に関与する |
卵黄、乳製品、きのこ類、脂肪の多い魚(サケ、マグロ)など |
ビタミンE |
抗酸化作用をもち、体内の細胞を酸化ストレスから守る働きをする。血行を良くし、抵抗力を高める |
植物油、かぼちゃ、ナッツ類など |
オメガ3脂肪酸 |
免疫機能の調整に関与する。抗炎症作用があり、感染による炎症の悪化を抑える |
サケ、マグロ、サバ、イワシ、貝類、アマニ油など |
乳酸菌 |
腸管免疫を強化し、腸内環境を整える |
発酵食品(ヨーグルト、納豆、キムチ)など |
回復を早める栄養素
回復を早める栄養素にはたんぱく質やビタミンB1、B6などがあります。(3)(4)(5)(6)
働き |
多く含む食品 |
|
たんぱく質 |
筋肉や細胞など体の組織をつくる。傷ついた細胞を修復する働きや免疫物質の輸送にも関与する |
卵、肉類、魚類、豆類、乳製品など |
ビタミンB1 |
エネルギー(糖質)の代謝に関与し、疲労回復に働く |
豚肉、玄米、豆類、レバーなど |
ビタミンB6 |
たんぱく質の代謝に関与する |
肉類、バナナ、じゃがいも、かぼちゃなど |
2-2.水分補給の重要性
インフルエンザでは、発熱や発汗、食欲不振などにより脱水症状を引き起こしやすくなります。そのため、こまめな水分補給が欠かせません。インフルエンザのときには、水や麦茶、経口補水液のほか、水分と栄養を同時に摂取できる温かいスープやおかゆなどもおすすめです。
3.インフルエンザ中の食事メニュー例
3-1.消化しやすい食事の工夫
インフルエンザにかかると、発熱や倦怠感により食欲が低下しやすくなります。そのため、消化に優しく、体に負担をかけないメニューを選ぶことが重要です。
食欲がないときのおすすめメニュー
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おかゆ
米をやわらかく煮ることで消化しやすく、胃腸に負担をかけません。梅干しやすりおろした生姜を加えると、食欲が低下しているときでも食べやすくなります。
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野菜スープ
にんじん、大根、キャベツなどの消化しやすい野菜を使用し、だしや味噌を加えることで食べやすくなります。食欲のないときの栄養補給におすすめです。
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煮込みうどん
うどんは消化が良く、卵や鶏肉を加えることでたんぱく質も補えます。
胃腸に優しい食材選び
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豆腐
高たんぱくで消化が良く、温めて食べることで体も温まります。
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ヨーグルト
腸内環境を整え、免疫力向上が期待できます。ハチミツやすりおろしたリンゴと合わせるのもおすすめです。
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バナナ
エネルギー補給に優れ、消化が良いフルーツの代表格です。
3-2.少量でも栄養を摂れる工夫
食欲がないときは、一度に多くの食事を摂るのが難しいため、効率よくエネルギーと栄養を摂れるような工夫が必要です。
食事量が少ない場合の対策
ビタミンやミネラルが含まれ、のどごしも良く、少量でもエネルギーが補給できるゼリー飲料やスムージーなどがおすすめです。
栄養ドリンクやサプリメントの活用
バランスの取れた食事が基本ですが、食事量が少ないときには、市販の栄養ドリンクやサプリメントを活用するのもおすすめです。不足している栄養素などを補うことが期待できます。医師や薬剤師に相談しながら、適量を摂取するようにしましょう。
4.インフルエンザ予防のための食事
4-1.普段の食事で免疫力を強化
インフルエンザの予防には、日常の食事を通じて免疫力を高めることが重要です。免疫機能を正常に保つためには、主食・主菜・副菜をバランスよく摂取することが基本となります。(9)
バランスの取れた食事の実践ポイント
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4-2.おすすめの食材
発酵食品の活用
発酵食品には、腸内環境を整える効果があります。腸内の善玉菌を増やすことで免疫力を向上させ、体調を整える助けとなります。とくにヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品は、乳酸菌やビフィズス菌を豊富に含み、腸のバリア機能を強化し、病原体の侵入を防ぐ働きがあります。(4)(7)
冬野菜や柑橘類
白菜や大根などの冬野菜は、ビタミンCや食物繊維が豊富で、体を温める効果もあります。とくにビタミンCは免疫機能を高め、ウイルス感染に対する抵抗力を向上させます。また、みかんやレモンといった柑橘類もビタミンCを多く含み、抗酸化作用によって体を守る役割を果たします。水分補給にも役立つため、インフルエンザ予防に積極的に取り入れましょう。
5.食事で注意すべき点
5-1.避けるべき食べものや飲み物
インフルエンザに感染した際は、胃腸に負担がかかる可能性のある食べものや飲みものを避けるようにしましょう。具体的には、以下のような食べものや飲みものです。(8)(10)(11)
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脂肪の多い食品
脂肪や油分の多い食品は、消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけます。また、このような食品は、体内の炎症を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。オメガ6脂肪酸や飽和脂肪酸を含む食品は控え、炎症を抑える作用があるオメガ3脂肪酸を積極的に摂るようにしましょう。
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アルコールやカフェイン
アルコールは体の水分を奪い、脱水を引き起こすリスクがあります。また、カフェインは胃腸を刺激し、体の回復を遅らせることがあるため、控えたほうが良いでしょう。
5-2.食事の工夫
インフルエンザのときには食欲が低下しがちですが、食事の仕方を工夫することで、栄養を効率的に摂取できます。
少量をこまめに摂取する
一度に多くの食事を摂るのではなく、少量を複数回に分けて摂取することで、消化の負担を軽減しながら必要な栄養を補給できます。
温かい食事をとりいれる
温かいスープやお粥など、消化に優しく体を温める食品を選ぶことで、食欲のないときにも食べやすく、効率的に栄養を摂取することができます。
6.まとめ
インフルエンザにおいて、適切な食事と栄養の摂取は、症状を改善し体力を回復するうえで重要な要素です。発熱や倦怠感による食欲の低下がみられる場合でも、消化の良い食品や栄養価の高い食材を工夫して摂取することにより、体に必要なエネルギーを補給できます。サプリメントで栄養素を補う方法も効果的です。症状が長引く場合やひどくなる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
インフルエンザは、規則正しい生活やバランスの良い食事を心がけることで、感染のリスクを軽減できる可能性があります。また、感染しても早期回復の手助けとなることが期待できるので、日頃の食生活や生活習慣を見直し、インフルエンザに負けない体をつくるようにしましょう。