成分と栄養素
毎日の食事で手軽に亜鉛を摂取!簡単に取り入れるコツやおすすめの食べものを解説

健康スペシャルティ
公開日 2025/02/27
最終更新日 2025/02/27

亜鉛は、健康を維持するために欠かせないミネラルのひとつです。免疫力を高めたり、味覚を正常に保ったりするだけでなく、成長や新陳代謝にも重要な役割を果たします。しかし、現代の食生活では亜鉛が不足しがちで、亜鉛が不足すると味覚障害、成長や発育の遅れなどの問題が起こることがあります。
この記事では、亜鉛の重要性や不足による影響、亜鉛を手軽に摂取する方法などについてくわしく解説します。毎日の食事に簡単に取り入れられる亜鉛が豊富な食品や、おすすめの調理法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1. 亜鉛の重要性と健康への影響
1-1.亜鉛は健康維持に欠かせない必須ミネラル
亜鉛は、体内でさまざまな役割を果たすミネラルです。とくに、「必須ミネラル」とよばれる16種類のミネラルのひとつであり、健康を維持するために不可欠な栄養素とされています。(1)
1-2.主な亜鉛の働き
亜鉛には、以下のような働きがあると考えられています。(2)(3)(4)
酵素の働きをサポート
亜鉛は、数百種類以上の酵素の構成要素となるミネラルです。酵素は、エネルギー産生や代謝、免疫反応、細胞分裂など、体内のさまざまな生体反応を促進するタンパク質です。亜鉛はその酵素の働きをサポートし、生体反応が機能するのに重要な役割を果たしています。
免疫機能を高める
亜鉛は、免疫細胞であるリンパ球の生成や機能に関与しており、免疫機能を正常に維持するために必要なミネラルです。十分に摂取することで、ウイルスや細菌の侵入を防ぎ、感染症のリスクを下げる効果が期待できます。
成長や発育を促進
亜鉛は、DNAの合成や細胞分裂に関わるため、骨や筋肉の成長、あらゆる臓器の発達に欠かすことができないミネラルです。とくに、妊娠している方や成長期の子どもでは、十分に亜鉛を摂取することが重要とされています。
味覚を正常に保つ
亜鉛は、味を感じる「味蕾(みらい)」とよばれる細胞の新陳代謝を促し、正常な味覚を維持する働きがあります。亜鉛が欠乏すると味覚障害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
生殖機能をサポート
亜鉛は、男性ホルモン(テストホルモン)の生成にも関与しており、生殖機能をサポートする効果が期待されています。そのため、数多くの精力剤などにも利用されています。
髪や肌の健康を保つ
亜鉛は皮膚や髪の細胞の代謝を促進し、健康的な状態を維持するのに役立ちます。不足すると、肌のトラブルや抜け毛の原因になることがあります。
1-3.亜鉛が不足するとどうなる?
亜鉛は体内でさまざまな役割を担っているため、不足すると健康に幅広い影響を及ぼす可能性があります。亜鉛の欠乏によって生じる影響には、以下のようなものがあげられます。(1)(5)
免疫機能の低下
亜鉛が不足すると免疫細胞の生成や活性化がうまくいかず、免疫機能が低下する可能性があります。その結果、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなることが考えられます。また、傷の治りが遅くなることも報告されています。
成長や発育の遅れ
亜鉛は細胞分裂やDNAの合成に関与するため、子どもが亜鉛不足になると、身長の伸びが悪くなる、発育が遅れるといった成長障害や発育不良の問題が生じる可能性があります。
味覚異常
亜鉛不足により、味蕾(みらい)細胞の代謝が正常に行われず、味を感じにくくなることがあります。
皮膚や髪のトラブル
亜鉛は皮膚や髪、爪などの健康を維持する働きがあるため、不足すると、肌荒れや抜け毛の原因になることがあります。肌の代謝が低下し、ニキビやシミができやすくなることがあります。また、髪の毛が細くなり抜けやすくなるほか、爪が割れやすくなることがあります。
2.亜鉛が豊富な食品リスト
亜鉛は、魚介類、肉類、海藻類、野菜、豆類、種実類などに多く含まれます。(2)(4)
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魚介類
カキ、いわし、しらす、鰹節、かつお、うなぎ、など
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肉類
豚レバー、牛肉、豚肉、鶏肉、など
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海藻類
焼きのり、わかめ、あおさ、刻みこんぶ、ひじき、など
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野菜類
切り干し大根、えだまめ、大葉、たけのこ、ごぼう、など
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豆類
きな粉、油揚げ、納豆、あずき、豆腐、など
3.手軽に亜鉛を摂取できる方法
忙しい方でも、日々の食事で手軽に亜鉛を摂取できる方法を紹介します。
3-1.缶詰を活用する
調理がいらずにそのまま食べられる食品や缶詰などを利用することで、手軽に亜鉛を摂取することが可能です。
とくにおすすめなのが、カキの缶詰です。カキは、食品のなかでも亜鉛を豊富に含むことが知られています。缶詰を使用することで手軽に亜鉛を摂取できます。水煮缶はパスタやスープに加えるだけで簡単に料理ができ、調理済みのカキの缶詰はそのままでも美味しく食べられます。
また、冷凍のシーフードミックスも、さまざまな魚介類から効率的に亜鉛を摂取できるためおすすめです。
3-2.シリアルやサプリメントで不足を補う
食事だけで亜鉛を十分に摂るのが難しい場合は、シリアルやサプリメントを活用するのもひとつの方法です。
朝食用のシリアルには、亜鉛が強化されているものがあり、牛乳と一緒に摂ることで吸収率が向上します。また、亜鉛の摂取量が不足しがちな方は、サプリメントで補うのも効果的です。シリアルやサプリメントを使用する際は、1日の上限量を超えないように適量を守りましょう。(3)(6)
3-3.簡単につくれる!亜鉛たっぷりレシピ
毎日の食事に取り入れやすい亜鉛たっぷりのレシピを紹介します。
カキとほうれん草のクリームスープ
カキの水煮缶とほうれん草、牛乳を使ったクリームスープは、簡単に調理ができ、亜鉛の吸収率を高めることができるレシピです。ほうれん草に含まれるビタミンCも、牛乳と同様に亜鉛の吸収率を高めることが知られています。(7)
鶏肉のカシューナッツ炒め
定番の中華料理である鶏肉のカシューナッツ炒めも、亜鉛を効果的に摂取できるレシピです。鶏肉とカシューナッツは、ともに亜鉛を豊富に含む食材であり、亜鉛の吸収をたすける動物性タンパク質を一緒に摂取できるため、吸収効率もアップします。
4.忙しくても手軽に亜鉛を摂取!おすすめの食品と選び方
4-1.コンビニで手に入れられる亜鉛の豊富な食品
忙しくて料理をする時間がないときでも、コンビニを活用すれば手軽に亜鉛を摂取できます。例えば、ナッツ類や小魚などはそのまま食べられるため、間食のおやつとして取り入れやすい食品です。
また、ビーフジャーキーやサラダチキンなどの動物性食品もおすすめです。動物性タンパク質は亜鉛の吸収率を高める働きがあるため、効果的に亜鉛を摂取することができます。
4-2.外食でも亜鉛をしっかり摂れる!おすすめのメニュー
外食が多い人でも、メニューの選び方を工夫することで、しっかりと亜鉛を摂取できます。亜鉛を含む食材を使った料理を意識して選ぶようにしましょう。具体的には、カキフライや、シーフード料理、牛肉や豚肉を使った料理などがおすすめです。
4-3.コンビニや外食が多い方はサプリメントで補いましょう
コンビニや外食が中心の食生活では、栄養バランスが偏りがちになり、十分な亜鉛を摂取できないことがあります。そんなときは、サプリメントを活用するのもひとつの方法です。
亜鉛は単体で摂取するよりも、ビタミンCやクエン酸と一緒に摂ることで吸収率が高まります。バランスを意識しながら、毎日の食事にサプリメントを活用してみてください。
5.亜鉛を効率的に摂取する方法と注意点
5-1.亜鉛の吸収率を高める食べ方とは?
亜鉛は摂取してもすべてが体内に吸収されるわけではなく、一般的に吸収率は約30%程度とされています。しかし、食べ合わせを工夫することで、亜鉛の吸収率を高めることができます。とくに、動物性タンパク質やビタミンC、クエン酸を一緒に摂ると、亜鉛の吸収率が高まることが知られています。
亜鉛を多く含む食材と吸収を助ける栄養素を組み合わせた食事を意識するようにしましょう。また、サプリメントを選ぶ際にも、ビタミンCやクエン酸を含むものを選ぶことで、亜鉛の吸収率の向上が期待できます。(2)(7)
5-2.亜鉛を摂りすぎるとどうなる?過剰摂取のリスク
亜鉛を摂取する際は、適量を守って摂取することが重要です。過剰に摂取すると、吐き気や食欲不振、下痢などなどの症状があらわれることがあります。また、長期間にわたり過剰に摂取すると、銅や鉄の吸収を妨げることがあり、その結果、貧血が貧血が引き起こされる可能性があります。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」では、1日あたりの推奨摂取量は男性約9mg、女性約8mgとされています。また、耐容上限量は、男性で40~45mg、女性で35gとされており、この量を超えないように注意が必要です。サプリメントを活用する場合は、食事とのバランスを考え、過剰摂取にならないように注意しましょう。(3)(5)(8)
6.まとめ
亜鉛は体のさまざまな働きに関わる重要なミネラルで、不足すると免疫力の低下や味覚障害、成長や発育の遅れ、肌や髪の健康への影響が出ることがあります。そのため、毎日の食事で意識的に亜鉛を摂取することが大切です。
忙しい方でも、コンビニ食品や外食メニューを工夫することで手軽に亜鉛を取り入れることができます。また、食事で十分に亜鉛を摂れない場合は、サプリメントを活用するのも有効な手段です。ただし、摂り過ぎには注意し、食事とのバランスを考えながら適量を守ることが重要です。
日々の食事の中で、亜鉛を意識して摂取し、健康的な生活を目指しましょう。