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大腸がんの症状チェック!初期症状は?治療と予防方法を説明
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/18
最終更新日 2024/08/28
大腸がんが予防できる食べ物をご存じでしょうか?大腸がんは、食事や運動などの生活習慣が深く影響している疾患です。また、40代以降で死亡率が急上昇するため、早めの予防が大切です。
この記事では大腸がんを予防するための食べ物や生活習慣について解説していきます。大腸がんを未然に予防したいと考えている方は、ぜひご覧ください。
大腸がんになる原因
大腸がんの発症には、遺伝的要因や生活習慣が大きく影響します。特に、西洋化した食生活による動物性脂肪の過剰摂取、食物繊維の摂取不足、運動不足、喫煙、過度の飲酒などが主な原因です(1)。また、大腸がんはポリープから発生することが多いため、ポリープができやすい方は大腸がんになるリスクが高いです(2)。さらに、大腸がんの家族歴がある場合、大腸がんのリスクを高める可能性があります。
予防には、これらのリスク要因を理解し、生活習慣の改善に取り組むことが重要です。
大腸がんを予防する食べ物
大腸がんの予防に効果的な食べ物には、抗炎症作用や抗酸化作用を持つものが多く含まれます。以下に、特に注目されている食品群を紹介します。
魚油が含まれる食べ物
魚油には多価不飽和脂肪酸であるオメガ-3脂肪酸が豊富に含まれており、優れた抗炎症作用があります。ある研究によると、オメガ3脂肪酸は体外研究で癌細胞のシグナル伝達経路を変化させ、大腸がんの予防および抗癌活性があることが示されています(3)。
魚油は、サバ、イワシ、サーモンなどの青魚に含まれています。これらの魚を定期的に摂取することで、健康的な脂質バランスを保つことができます。魚油のサプリメントも選択肢の一つですが、可能な限り自然な食品から摂取することで他の栄養素も同時に摂取できるため望ましいです。
ビタミンDが含まれる食べ物
ビタミンDは、カルシウムと同時に摂取することで大腸がんのリスクを抑えられる可能性があります(4)。カルシウムは、腸管内腔の上皮細胞を刺激し、がんの発生を促進する胆汁酸を吸着します。ビタミンDはカルシウムの吸収効率を上げることから同時に摂取するのが良いと考えられます。
ビタミンDの主な供給源は日光ですが、食事からも摂取できます。サケ、マグロ、サバなどの魚類、卵黄、キノコ類などがビタミンDを多く含みます。ただし、過剰摂取には注意が必要です。バランスの取れた食事と適度な日光浴を心がけましょう。
食物繊維が含まれる食べ物
食物繊維は、大腸がんの予防に効果的です。食物繊維は腸内環境を改善することで便通を増加させます。結果的に、便の腸内滞留時間が短縮することで、便内の発がん物質を薄め、大腸がんのリスクを下げます。
食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられます。このうち不溶性食物繊維は便量の増加や大腸の蠕動運動促進、脂肪や胆汁酸、発がん物質の吸着・排出作用があり、大腸がんの予防に効果的です(5)。
不溶性食物繊維が含まれる食べ物は以下の通りです。
100gあたりの含有量 |
|
まこんぶ |
32.1 |
大豆 |
15.4 |
グリンピース |
8.1 |
じゃがいも |
4.0 |
ぶなしめじ |
3.4 |
プロバイオティクスが含まれる食べ物
プロバイオティクスは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のことです。摂取してもある程度の期間が経つと排出されてしまうため、継続的に摂取するのが大切です。
定期的にプロバイオティクスを摂取することで、腸内フローラの改善、多種多様な細菌の増加、腸内の慢性炎症の軽減、そして腸内フローラの乱れによって生じる発がん物質の減少など、多くの利点があります(6)。
プロバイオティクスは、ヨーグルト、味噌、キムチなど発酵食品に含まれます。これらの食品に含まれるプロバイオティクスは1gあたり数億個程度であり、正確にどれぐらい摂取したらいいかは定かではありません。腸内には元々、細菌が100兆個ほど存在しており、定期的に排出されることから毎日摂取しても問題ないと考えられます(7)。しかし、体質に合わずお腹の調子を壊す可能性もあるため、少しず摂取量を増やすようにしましょう。
大腸がんを予防するための生活習慣
大腸がんの予防には、日々の生活習慣の改善が欠かせません。以下に、特に重要な3つの習慣を紹介します。
運動習慣
定期的な運動は、大腸がんのリスクを大幅に低減します(8)。身体活動量が高い人は低い人より大腸がんのリスクが31%低いです。また、過体重や肥満は大腸がんのリスクと関連しているため、体重を正常範囲に維持することが推奨されています(9)。
運動ががんのリスクを下げるメカニズムとしては、脂肪の燃焼で肥満を解消し、活性酸素を除去する酵素が癌を抑制するためと考えられています(10)。また、腸の蠕動運動促進による便の貯留時間短縮が大腸がんの予防に繋がると考えられています(11)。
運動時間に関しては、18〜64歳の身体活動基準として歩行または歩行と同等以上の運動を毎日60分行うことが推奨されています。65歳以上では、強度を問わず身体活動を毎日40分行うことが望ましいです(12)。
禁煙
喫煙は、大腸がんを含む多くのがんのリスク要因です。日本人男性の喫煙者は、1.6倍がんになりやすく、75歳までにがんになる確率は、非喫煙者で約20%ですが、喫煙者では約32%です(13)。
たばこの煙には、多くの発がん性物質が多く含まれています。たばこを吸っていると、たばこの煙が触れるのどや気管、肺以外に、直接触れない大腸の粘膜からも発がん性物質が検出されます。これによってがんが発生しやすいです(14)。
アルコールの摂取制限
過度のアルコール摂取は、大腸がんのリスクを高めます。アルコール摂取量が日本酒で1日平均2合以上の人は、飲酒しない人に比べて大腸がんの発生率が2.1倍と報告されています(15)。
お酒に含まれるエタノールは分解されてアセトアルデヒドになります。さらにアセトアルデヒドが分解される際に活性酸素によって葉酸が壊されます。その結果、DNAの合成や修復が上手くいかず、がんの発生につながると考えられてます。
大腸がん予防の観点からは、アルコールは控えめにすることが大切です。健康日本21では、1日あたり約20g、ビール500ml、日本酒1合、ワイン1〜2杯の飲酒に抑えるのが望ましいです(1)。
大腸がんを予防するための食事習慣
大腸がんの予防には、バランスの取れた食事が重要です。特に、食物繊維や野菜・果物などの摂取が大切です。具体的には、以下のような食事習慣を心がけましょう。
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赤身肉や加工肉の摂取を控える
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食物繊維が含まれる野菜や果物を摂取する
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牛乳を飲んでカルシウムを摂取する
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体重管理をする
これらの習慣を日常的に実践することで、大腸がんのリスクを低減し、全体的な健康状態の向上にもつながります。
大腸がんの初期症状
大腸がんの初期症状は非常に軽く、気づきにくいことが多いです。しかし、以下のような症状が現れた場合は、大腸がんの可能性を考慮し、医療機関での検査を検討する必要があります。
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便に血や粘液が混じる(鮮血や黒色便)
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下痢と便秘の繰り返し
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腹痛や腹部の膨満感
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肛門痛
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便が細くなった
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貧血症状(特に鉄欠乏性貧血)
これらの症状は他の消化器系の疾患でも起こり得るものですが、持続する場合や複数の症状が同時に現れる場合は、早めに医師に相談することが重要です。早期発見・早期治療が、大腸がんの予後を大きく改善する鍵となります。
大腸がんの自己検査方法
早期段階でまだ転移していない大腸がんは、適切に治療されれば5年相対生存率が90%に達します。しかし、がんがすでに結腸外や直腸に転移している場合は、生存率が低下します。そのため、早期検査・早期治療が非常に重要です(16)。
自分で検査する方法としては、便潜血検査があります。便潜血検査は、便の一部を採取して便中に含まれる血液を検出する検査です。陽性は大腸から出血していることを意味し、大腸がんが疑われます。
しかし、便潜血検査が陰性であったからと言って大腸にポリープやがんが全く無いとは言い切ることは出来ません。仮に、進行している大腸がんがあっても便潜血検査が陰性になることもありえます(偽陰性)。また、便潜血検査陽性の結果が出ても必ずしも大腸にポリープやがんが存在するとは限りません(偽陽性)。また、他の病変によって出血することも少なくないです。そのため、正確に検査するためには必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
自己検査は医療機関での検査の代替にはなりませんが、早期発見のきっかけとして有用です。40歳以上の方では大腸がんによる死亡率が高くなるため、自己検査に加えて、定期的な大腸がん検診を受けることが推奨されています。定期的な検査で大腸がんを予防しましょう。
まとめ
大腸がんの主な原因は、西洋化した食生活や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣です。予防には、魚油やビタミンD、食物繊維、プロバイオティクスを含む食品の摂取が効果的です。特に食物繊維は便通を改善し、発がん物質の排出を促進します。
日々の運動習慣も重要で、定期的な身体活動は大腸がんのリスクを大幅に低減します。禁煙やアルコール摂取の制限も必須です。初期症状は軽微で気づきにくいため、便潜血検査などの自己検査や定期的な大腸がん検診が推奨されます。
早期発見・早期治療が予後を大きく改善するため、40歳以上の方は特に注意が必要です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけることが大腸がん予防の基本となります。これらの習慣を日常的に実践することで、大腸がんのリスクを低減し、全体的な健康状態の向上にもつながります。