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心臓病の予防方法とは?効果的な栄養素や生活習慣について解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/16
最終更新日 2024/09/03
心臓病の予防には生活習慣の改善が重要です。高血圧や糖尿病などが原因ですが、これらは生活習慣がきっかけで発症します。そのため、生活習慣の改善が心臓病の予防に繋がります。
この記事では、心臓病の予防方法について栄養や生活習慣の観点から解説します。心疾患による死亡は、がんに続いて第2位と日本で主要な死亡原因です(1)。ぜひ、予防方法について知っておきましょう。
心臓病の原因
心臓病の原因は多岐にわたり、生活習慣や遺伝的要因、環境要因などが複雑に絡み合っています。主な原因は、不健康な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒などです。特に、飽和脂肪酸を多く含む不健康な食事の摂取は、血中コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を促進します。また、運動不足は肥満や高血圧のリスクを高めるため、心臓に負担がかかります。
さらに、喫煙は血管を収縮させ、血液の流れを悪くするだけでなく、血管壁にダメージを与え、動脈硬化を促進するため悪影響です。遺伝的要因が関わっている心臓病もあり、家族に心臓病の既往歴がある場合、拡張型心筋症の発症リスクが高まります(2)。
心臓病の初期症状
心臓病の初期症状としては「胸痛」「呼吸困難」「動悸やめまい」「四肢の浮腫」が挙げられます。それぞれ具体的に解説していきます。
胸痛
胸痛は心臓病の最も代表的な初期症状の一つです。胸痛の出現する部位や痛みの性質は疾患により異なります。
疾患 |
胸痛の特徴 |
狭心症 |
突然、胸が締め付けられるような圧迫感や痛みが数分程度続く(3)。 |
心筋梗塞 |
突然、胸に激しい痛みが出現し、15分以上続く。 肩や腕に痛みが広がることもある。 |
心膜炎 |
突然、刺すような強い痛みが出現する。 数日間持続する場合もあり、発熱などの症状が伴う。 |
弁膜症 |
労作時の胸の痛みがあり、息切れや呼吸困難も伴う。 安静時はあまり症状が現れないが、労作時に症状が現れるのが特徴的。 |
心膜炎 |
呼吸時の胸の痛みがあり、発熱などの症状も伴う。 |
上記のように、疾患によって胸痛の性質や持続時間、頻度などが異なります。また、女性や高齢者、糖尿病患者では、典型的な胸痛症状がないこともあるため、他の症状とあわせて総合的に判断することが重要です。
呼吸困難
呼吸困難は、心臓病の重要な初期症状の一つです。これは、心臓の機能が低下することで、肺に血液が滞り、十分な酸素を取り込めなくなることが原因です。初期段階では、階段を上ったり、少し早く歩いたりしたときに息切れを感じるなど、症状は比較的軽い可能性があります。しかし、症状が進行すると、日常的な活動や安静時でも呼吸困難になることがあります。
特に、横になったときに呼吸が苦しくなり、座ると楽になる起座呼吸や、夜間発作性夜間呼吸困難を生じるため注意が必要です(4)。
これらの症状は、徐々に進行することが多いため、日常生活の中で自身の呼吸の変化に注意を払い、異常を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。
動悸やめまい
動悸やめまいは、心臓病の初期段階で現れる重要なサインです。動悸は、心臓が通常よりも速く、または不規則に拍動していると感じる症状です。これは、不整脈や心臓の機能低下によって引き起こされることがあります。特に、突然の動悸や持続的な動悸は注意が必要です。
めまいは、脳への血流が一時的に減少することで起こります。心臓が十分な血液を送り出せない状態や、不整脈によって血液の供給が不安定になることが原因です。軽い浮遊感から、立ちくらみ、失神寸前の状態まで、症状の程度はさまざまです。特に、急に立ち上がったときや、長時間立っているときにめまいを感じやすくなります。
また、動悸やめまいに伴って冷や汗や吐き気を感じる場合は、より重篤な状態を示している可能性があります。これらの症状が頻繁に起こる場合や、日常生活に支障をきたす場合は、早急に医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
四肢の浮腫
四肢の浮腫、特に足首や足の浮腫は、心臓病の初期症状として出現しやすいです。これは、心臓の機能が低下し、血液やリンパ液を効率的に循環させることができなくなった結果として現れます。通常、重力の影響を受けやすい下肢に浮腫が現れやすく、日中の活動後に特に顕著です。
しかし、症状が進行すると、指で押すとくぼみができ、しばらく戻らない圧痕性浮腫が観察されます。また、両側の足首や足に対称的に浮腫が現れることが特徴的です。さらに、浮腫は足だけでなく、手や顔にも現れることがあります。
心臓病の予防に効果的な栄養素
心臓病の予防に効果的な栄養素は「魚油」「ビタミンB群」「食物繊維」「不飽和脂肪酸」が挙げられます。それぞれの栄養素がどのように効果的なのか、具体的に解説していきます。
魚油
魚油は心臓病の予防において重要な栄養素です。魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、血中の中性脂肪を低下させ、HDL(善玉)コレステロールを増加させる効果があります(5)。また、抗炎症作用や抗血栓作用も持ち合わせており、動脈硬化の進行を抑制し、血栓形成のリスクを低下させます。
魚油の摂取頻度は、最低でも週1回が理想的です。特に、サバ、イワシ、サーモン、マグロなどの脂の多い魚は、オメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。魚を食べる習慣がない場合や、十分な量を摂取できない場合は、サプリメントの利用も検討できますが、過剰摂取には注意が必要です。
ビタミンB群
ビタミンB群は、心臓病の予防において重要な役割を果たします。特に、ビタミンB6、B12、葉酸は、血中のホモシステイン濃度を低下させる効果があります(6)。ホモシステインは、必須アミノ酸の代謝過程で生成されるアミノ酸で、蓄積すると動脈硬化を促進する因子として知られています。したがって、これらのビタミンB群を適切に摂取することで、心臓病のリスクを低下させる可能性があります。
これらのビタミンB群は、全粒穀物、豆類、緑黄色野菜、肉類、魚類など、さまざまな食品に含まれています。バランスの取れた食事を心がけることで、自然にビタミンB群を摂取することができます。
食物繊維
食物繊維は、心臓病の予防において重要な栄養素です。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、特に水溶性食物繊維は心臓病の予防に貢献します。水溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑制するため、血中のLDL(悪玉)コレステロールを低下させる効果があります。
また、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑える働きもあり、糖尿病のリスクを低下させます。糖尿病は心臓病の主要なリスク要因の一つであるため、この効果は間接的に心臓病の予防にも関与します。さらに、食物繊維は腸内細菌叢のバランスを整える効果があり、これが炎症反応の抑制や免疫機能の向上につながります。慢性的な炎症は動脈硬化を促進する要因の一つであるため、この抗炎症作用も心臓病の予防に役立ちます。
食物繊維は、野菜、果物、全粒穀物、豆類などに豊富に含まれています。これらの食品を積極的に摂取することで、自然に食物繊維を取り入れることができます。ただし、急激に摂取量を増やすと消化器系に負担がかかる可能性があるため、徐々に増やしていくことが大切です。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、心臓病の予防において重要な栄養素です。不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、どちらも冠動脈疾患のリスクを低下させます(7)。一価不飽和脂肪酸の代表例であるオレイン酸は、オリーブオイルやアボカドに豊富に含まれています。これは、LDL(悪玉)コレステロールを低下させ、HDL(善玉)コレステロールを増加させる効果があります。多価不飽和脂肪酸には、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸があります。オメガ3脂肪酸は、魚油やアマニ油に多く含まれ、抗炎症作用や血栓形成抑制作用があります。オメガ6脂肪酸は、植物油や種子に多く含まれ、適切な量を摂取することで炎症を抑制し、血圧を下げる効果があります。
これらの不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の代替として食事に取り入れることで、心臓病のリスクを低減することができます。ただし、過剰摂取には注意が必要で、特にオメガ6脂肪酸は適度な量を心がけることが重要です。バランスの取れた食事を通じて、これらの不飽和脂肪酸を摂取することが、心臓の健康維持につながります。
心臓病の予防方法
心臓病を予防するためには「運動習慣」「食事習慣」「健康診断」「禁煙と禁酒」「十分な睡眠」の5つに注意する必要があります。具体的には以下で解説します。
運動習慣
心臓病を予防するためには、定期的な運動習慣を身につけることが大切です。運動は、血圧低下、耐糖能の改善、血管内皮機能の改善などの効果があり、心疾患を予防します(8)。具体的な頻度としては、ウォーキングなどの有酸素運動を1日60分以上、週2〜3日続けるのが望ましいです(9)。運動をする時間がない場合でも、椅子に座りっぱなしにならないように注意しましょう。
食事習慣
心臓病は食事習慣の影響も受けるため、毎日の食事に気を付ける必要があります。炭水化物や飽和脂肪酸を過剰に摂取すると動脈硬化を促進してしまうので注意です。予防するための食事習慣として以下の点を守る必要があります。
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低脂肪の食事
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塩分控えめ(1日6g未満)
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糖質を控える
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食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取
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アルコールの制限
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不飽和脂肪酸の摂取
これらのポイントを守ることで、心臓病の予防につながります。
健康診断
心臓病の予防には、定期的な健康診断が大切です。心電図や血液検査などの項目は、以上を検出するために重要な検査項目になります。例えば、心電図では不整脈や心疾患の発見につながるため、定期的な健康診断を受けることが大切です。また、血液検査ではコレステロールや血糖値、中性脂肪など生活習慣病の前兆なる変化を見つけることが出来ます。
禁煙と禁酒
禁煙と禁酒も心臓病の予防に効果的です。たばこに含まれるさまざまな有害物質は、血圧や脈拍の上昇、血液中の酸素不足を招くため心臓に負担をかけてしまいます。さらに、血管内皮にダメージを与えるため動脈硬化を促進します。
過度の飲酒は血圧を上昇させ、高血圧を発症するリスクが高まります。また、不整脈や脳出血を引き起こすリスクにつながります(10)。そのため、1日の飲酒量を控えることが大切です。
十分な睡眠
十分な睡眠を確保することは心臓病の予防に大切です。睡眠時間の減少は、動脈硬化のリスクや肥満の促進に繋がります。そのメカニズムは、睡眠不足によるストレスがコルチゾールの分泌を増加させることで血糖値や血圧の上昇から動脈硬化に繋がるというものです。
また、食欲を刺激するホルモンの増加、満腹中枢を刺激するホルモンの減少が肥満に繋がります。質の良い睡眠をとるためには、寝る前の飲酒を避ける、寝る前にスマートフォンの画面を見ないなどの対策が効果的です。
まとめ
心臓病の予防には、食事や運動などの生活習慣の改善が大切です。脂肪や塩分の過剰摂取は動脈硬化や高血圧を招き、心臓病のリスクが高まります。そのため、普段の食事から栄養素をバランスよく摂取することが大切です。また、十分な睡眠をとることも心臓病のリスク低下につながります。このように普段の生活習慣を見直すことが予防に効果的です。