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中性脂肪を下げる方法4選!中性脂肪過多が引き起こす疾患についても解説

健康スペシャルティ

公開日 2024/07/16

最終更新日 2024/09/16

中性脂肪の数値が高く、健康状態に不安がある方は少なくないでしょう。中性脂肪過多は高血圧、糖尿病、脂質異常症などさまざまな疾患を引き起こします。これらの疾患は身体に重篤な影響を与える可能性があるため、予防が大切です。

この記事では、中性脂肪を下げる方法や中性脂肪過多が引き起こす疾患について解説していきます。脂肪の数値が高く不安がある方は、ぜひご覧ください。



中性脂肪とコレステロールの違い

中性脂肪とコレステロールは、ともに体内で重要な役割を果たす脂質ですが、その構造と機能には大きな違いがあります。中性脂肪は主にエネルギー源として機能し、過剰なカロリー摂取時に体内で合成・蓄積されます。一方、コレステロールは細胞膜の構成要素やホルモンの材料として重要です。

中性脂肪は食事由来が大きく、糖質や脂質の過剰摂取で増加しますが、コレステロールは体内で合成されるものが多く、食事の影響は比較的小さいです。血中濃度の変動も、中性脂肪の方が食事の影響を受けやすく、日内変動が大きいのが特徴です。両者とも過剰な場合は健康リスクとなりますが、適切な管理方法は異なります。

(参考:中性脂肪とは?中性脂肪が高い場合どうする?

 

中性脂肪が高くなる原因

中性脂肪が高くなる原因は、主に生活習慣が原因です。過剰なカロリー摂取、特に糖質や脂肪の過剰摂取が大きな要因です。体内で消費しきれないエネルギーは中性脂肪として蓄積されるため、必要以上に食べることで中性脂肪値が上昇します。アルコールの過剰摂取も中性脂肪を高める原因となります。アルコールは中性脂肪の合成を促進し、その分解を抑制するため、飲み過ぎは要注意です(1)。

また、運動不足も要因の1つです。中性脂肪は運動による代謝で燃焼されるため、運動不足は中性脂肪の蓄積につながります。さらに、ストレスによる過食や、ストレスホルモンの分泌増加が中性脂肪の代謝に悪影響を与えます。遺伝的要因や、糖尿病、甲状腺機能低下症などの疾患も中性脂肪値を上げる原因となることがあります。

これらの要因が複合的に作用することで、中性脂肪値が高くなります。


 

中性脂肪の基準値

中性脂肪の基準値は、厚生労働省により以下のように定められています。

中性脂肪の基準値

空腹時

150㎎/dl

随時

175mg/dl

引用:厚生労働省「検診項目について」p6

 

中性脂肪の数値が150-199 mg/dlの範囲は境界値であり、特に特定の症状は現れませんが、心血管疾患とインスリン抵抗性のリスクが増加する可能性があります。200-499 mg/dlの範囲では、心筋梗塞や糖尿病のリスクが増加し始めます。500 mg/dlを超えると、急性膵炎の発生の可能性が高まり危険です(2)(3)。



 

中性脂肪過多が引き起こす疾患

中性脂肪が過剰に蓄積するとさまざまな疾患を引き起こします。主な疾患は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などです。以下に、各疾患と中性脂肪の関係について解説していきます。 (参考記事 https://www.daikenshop.co.jp/article/triglycerides

高血圧症

中性脂肪過多は高血圧症の主要なリスク因子の一つです。過剰な中性脂肪は、血管壁に蓄積して動脈の弾力性を低下させ、血管の収縮を引き起こします。これにより血管抵抗が増加し、血圧上昇につながります。さらに、過剰な中性脂肪は腎臓の機能にも影響を与え、ナトリウムと水分の貯留を促進することで血圧上昇を助長します。

高血圧は自覚症状に乏しいため、「サイレントキラー」とも呼ばれ、長期間放置すると心臓病や脳卒中のリスクが高まります。定期的な血圧測定と生活習慣の改善が重要です。
 

糖尿病

中性脂肪過多は2型糖尿病を発症する原因の一つです。過剰な中性脂肪は、インスリン抵抗性を引き起こし、細胞のブドウ糖取り込み能力を低下させます(8)。これにより、血中のブドウ糖濃度が上昇し、2型糖尿病の発症リスクが高まります。

また、中性脂肪過多は炎症性サイトカインの産生を促進し、慢性的な炎症状態を引き起こします(9)。これもインスリン抵抗性を悪化させる要因となります。糖尿病は網膜症、腎症、神経障害などの合併症のリスクも高めるため、早期発見と適切な管理が重要です。
 

脂質異常症

中性脂肪過多は脂質異常症の主要な原因の一つです。脂質異常症は、血液中の脂質バランスが崩れた状態を指し、中性脂肪の増加、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少が特徴的です。

脂質異常症は動脈硬化の主要なリスク因子であり、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。適切な食事療法、運動療法、必要に応じて薬物療法を行うことが重要です。


 

中性脂肪を下げる方法4選

中性脂肪を下げるためには食事で気を付けることがいくつかあります。ここでは、効果的な4つの方法をご紹介します。

  • 健康的な脂肪を摂取する

  • 糖分を控える

  • 適度なアルコール摂取をする

  • 食物繊維を摂取する

それぞれ具体的に解説していきます。



 

健康的な脂肪を摂取する

健康的な脂肪の摂取は、中性脂肪を下げるのに有効です。食べ物から摂取できる脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。このうち不飽和脂肪酸の摂取は、血中の中性脂肪の合成を抑制する作用があります(4)。

具体的には、魚油に含まれるオメガ-3脂肪酸は、1日2~4gのオメガ-3脂肪酸を摂取することが、高中性脂肪血症患者において効果的にトリグリセリドを低下させると示されています(5)。

不飽和脂肪酸の摂取目安量は以下の通りです。

 

 

n-3系脂肪酸(g/日)

n-6系脂肪酸(g/日)

18~29歳

男性:2.0g

女性:1.6g

男性:11g

女性:8g

30~49歳

男性:2.0g

女性:1.6g

男性:10g

女性:8g

50~64歳

男性:2.2g

女性:1.9g

男性:10g

女性:8g

65~74歳

男性:2.2g

女性:1.6g

男性:9g

女性:8g

75歳以上

男性:2.1g

女性:1.8g

男性:8g

女性:7g

引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

 

n-3とn-6多価不飽和脂肪酸が含まれている食べ物は以下の通りです。

 

n-3系多価不飽和脂肪酸の含有量

 

100gあたりの含有量

えごま油

58.31

魚介類

10.00

くるみ

8.96

引用:厚生労働省「食品成分データベース」

 

n-6多価不飽和脂肪酸の含有量

 

100gあたりの含有量

ひまわり油

57.51

大豆油

49.67

くるみ

41.32

引用:厚生労働省「食品成分データベース」

 

上記の表のように、油脂類に多く含まれているため、料理に使用するだけでも不飽和脂肪酸の摂取が可能です。また、肉などにも含まれていますが、肉には飽和脂肪酸が多く含まれているため、摂りすぎには注意しましょう。

 


 

糖分を控える

糖分の過剰摂取は、中性脂肪値を上昇させる主要な要因の一つです。体内で消費しきれない糖分は、中性脂肪として蓄積されるため、糖分の摂取を控えることが中性脂肪値を下げるうえで重要です(6)。

日常生活においては、砂糖や甘味料を使用した清涼飲料水の摂取を減らすことから始めましょう。清涼飲料水やスポーツドリンク、果汁100%ジュースなどには、多くの糖分が含まれているため、知らないうちに過剰摂取してしまいます。これらの代わりに、水や無糖のお茶を選ぶことで、大幅に糖分摂取量を減らすことができます。

炭水化物の選び方も重要です。白米やパンなどの精製された炭水化物は、体内で速やかに糖に変換され、中性脂肪の合成が促進されやすい傾向があります(7)。これらの代わりに、玄米や全粒粉パンなど、食物繊維を多く含む複合炭水化物を選ぶことで、糖分の吸収を緩やかにし、中性脂肪の上昇を抑えられます。

糖分の摂取を控えることは、中性脂肪値の管理だけでなく、体重管理や糖尿病予防にも効果的です。ただし、極端な糖分制限は栄養バランスを崩す可能性があるため、適度な制限を心がけましょう。


 

適度なアルコール摂取をする

アルコールの摂取と中性脂肪には密接な関係があります。適度なアルコール摂取は健康に良い効果をもたらす可能性がありますが、過剰摂取は中性脂肪を急激に上昇させる要因となります。アルコールは、中性脂肪の合成を促進し、分解を抑制します。そのため、過剰なアルコールの摂取は脂肪として蓄積されやすいです。

ビールやワインなどのアルコールは中性脂肪を合成するだけでなく、糖分やカロリーも多く含まれています。


 

食物繊維を摂取する

 

食物繊維の摂取は、中性脂肪を下げるための効果的な方法です。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、このうち水溶性食物繊維が中性脂肪のコントロールに重要です。

 

水溶性食物繊維は、糖質や脂質の吸収を緩やかにするため、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、結果として中性脂肪の合成を抑制します。食物繊維の推奨摂取量は、男性で1日あたり21g以上、女性で18g以上とされています。水溶性食物繊維が多く含まれる食べ物は以下の通りです。

 

 

100gあたりの含有量

こんにゃく

79.9

きくらげ

57.4

ひじき

51.8

引用:厚生労働省「食品成分データベース」

 

食物繊維を十分に摂取することで、中性脂肪の低下だけでなく、便秘の改善や大腸がんのリスク低下などのメリットが得られます。ただし、急激に食物繊維の摂取量を増やすと、お腹の張りや下痢などの症状が出ることがあるので、徐々に増やしていくのがおすすめです。


まとめ

中性脂肪が高くなる主な原因は、糖質や脂肪の過剰摂取、アルコールの過剰摂取、運動不足などの生活習慣です。これらの要因が複合的に作用して中性脂肪が上昇します。

中性脂肪を下げるための効果的な方法には、健康的な不飽和脂肪酸の摂取、糖分の制限、適度なアルコール摂取、食物繊維の摂取があります。特に水溶性食物繊維は、糖質や脂質の吸収を緩やかにし、中性脂肪の合成を抑制します。

中性脂肪過多は高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの疾患リスクを高めます。これらの疾患は長期的に心臓病や脳卒中のリスクを増加させるため、適切な管理が重要です。食事習慣と栄養を見直し、中性脂肪を低下させましょう。


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