成分と栄養素
プロテオグリカンは効果なし?研究報告と摂取のポイントを解説!
健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2026/02/04
プロテオグリカンは、タンパク質に糖鎖が結合した構造を持つ複合糖質で、Ⅱ型コラーゲンやヒアルロン酸と並ぶ軟骨の主要成分として広く知られています。プロテオグリカンはその高い保水力により、衝撃から関節を守る軟骨のクッション性を支える重要な役割を担っています。高齢化により膝関節のトラブルを抱える人が非常に多くなっている近年、サケの鼻軟骨から効率的に抽出する方法が確立されたプロテオグリカンは、産業利用と研究の両方で注目を浴びています。
この記事では、そんなプロテオグリカンについて、期待されている関節の違和感への影響を調べた研究報告とともに、適切な摂取のポイントを解説していきます!
プロテオグリカンとはどんなもの?
プロテオグリカンの基本情報
プロテオグリカンは、タンパク質と糖の複合体で、私たちの体内では軟骨や皮膚などの結合組織に豊富に含まれている成分です。
プロテオグリカンは、タンパク質を中心に、グリコサミノグリカンと呼ばれる特徴的な糖鎖が結合した構造を持つ複合糖質の総称です。プロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカンには、関節での機能が有名なコンドロイチン硫酸やヘパリンなどがあり、水分を豊富に蓄えることができる特徴を持っています。
軟骨で働くプロテオグリカンは、グリコサミノグリカンによる保水力で軟骨のクッション性を保ち、関節を守る重要な役割を果たしています。
プロテオグリカンが注目される理由
プロテオグリカンは、軟骨や皮膚での機能が早くから知られていましたが、大きく複雑な分子であるため、牛や鶏などの限られた部位からしか純度の高い状態で得ることができず、試薬が1gあたり3000万円近くするなど、希少な成分としても知られていました。
しかし近年、弘前大学の研究チームにより、サケの鼻軟骨から安全かつ効率的に抽出する技術が確立され、プロテオグリカンの供給を支える研究が進んだことで、一般の食料品や化粧品への利用が広がっています(1)。
また、抽出技術の進歩によって、プロテオグリカンの機能に関する研究も大きく進展しており、関節の炎症に影響を与える可能性を示唆する報告が増えるなど、プロテオグリカンが健康的な関節の維持に役立つことが期待されています。
プロテオグリカンの関節での機能
軟骨の機能とプロテオグリカン
私たちの関節では、軟骨組織が骨の関節面を覆うことで、骨と骨が直接擦れ合わないよう保護しています。水分を豊富に含む軟骨組織は、クッションのように衝撃を吸収することで、毎日体重や運動による負荷がかかる関節の消耗を最小限に抑えています。
骨を保護する軟骨組織は、II型コラーゲンが密な網目状のネットワークを形成して、その網目の中にプロテオグリカンが詰まった構造をしています。
プロテオグリカンは、II型コラーゲンにより維持された構造の中で多くの水分を保持することで、衝撃から骨を保護する軟骨のクッション性を支えており、正常な関節機能の維持に不可欠な働きをしています。
変形性関節症とプロテオグリカン
変形性関節症は、少しずつ軟骨が摩耗していくことで炎症が起こり、痛みや可動域の制限を伴うようになる疾患です。
強い負荷がかかりやすい膝関節で起こる変形性膝関節症は、50歳以上の1000万人が疼痛を経験している疾患とされており、健康寿命を伸ばすうえでの重要な課題と考えられています(2)。
変形性関節症の発症にはさまざまな要因がありますが、高齢になると軟骨細胞が老化することで軟骨成分の生成量が低下したり、プロテオグリカンが変性することで軟骨組織が劣化するなど、変形性関節症のリスクが高まることが示唆されています(3)。
プロテオグリカンは軟骨での重要性から、関節の痛みや動かしにくさに対する影響がさまざまな研究で調べられてきており、これらを緩和する可能性を示唆する報告もあるため、その機能に期待が寄せられています。
プロテオグリカンは効果なし?
プロテオグリカンは、関節や皮膚を保護する重要な役割を果たしていることがよく知られている一方で、その構造の複雑さから経口摂取による効果を疑問視されることも少なくありません。
この項目では、抽出方法の確立とその特徴的な機能から注目を浴びているサケ鼻軟骨プロテオグリカンを中心に、経口摂取による影響を報告した研究にふれていきます。
炎症反応への影響を調べた報告
サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、炎症反応と関わる物質へ影響を与えることが示唆されており、さまざまな研究でその機能が調べられてきました。
慢性的な炎症反応を引き起こす自己免疫疾患である関節リウマチのマウスモデルを用いた研究では、サケ鼻軟骨プロテオグリカンの投与により、炎症性サイトカインなどの炎症を促す物質の発現が減少した結果が報告されています(4)。
また、患部へ直接サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した研究だけでなく、アレルギー性の呼吸器炎症モデルマウスに経口投与した研究でも、炎症性サイトカインが減少した結果が報告されています(5)。
さまざまな細胞やマウスモデルを用いた研究から、サケ鼻軟骨プロテオグリカンは幅広い経路へ影響を与えて炎症反応を調節する可能性が示唆されているほか、軟骨組織の分解と合成のバランスにも影響を与える可能性が示唆されています(6)。
これらの作用については現在も研究が進められており、サケ鼻軟骨プロテオグリカンの炎症反応への影響とそのメカニズムの解明に期待が寄せられています。
関節への影響を調べた報告
サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、関節の炎症への影響がさまざまな研究で調べられてきており、いくつかの研究でその効果を示唆する結果が報告されています。
膝関節に不快感がある健常なボランティアを対象にした研究では、サケ鼻軟骨プロテオグリカンあるいはプラセボを一定期間摂取してもらい、軟骨のII型コラーゲンが分解されることで生じる血液中のマーカー物質量を分析することで、軟骨組織の代謝バランスへの影響が評価されました。
この研究では、関節の不快感が強めなボランティアや安静時に膝の痛みを感じるボランティアにおいて、プロテオグリカン摂取群ではプラセボ群と比べ、血液中のII型コラーゲン分解マーカーが減少したという結果が報告されています。さらに、軟骨の合成と分解のバランスを示す指標も、プロテオグリカン摂取群ではプラセボ群と比べ改善される傾向にあった結果が報告されています(7)。
また、変形性膝関節症を抱えるボランティアにサケ鼻軟骨プロテオグリカンを経口摂取してもらい、膝関節の状態や疼痛スコアへの影響を調べた研究では、プロテオグリカン摂取群で膝関節の状態や疼痛が改善された結果が報告されています(8)。
これらの結果から、サケ鼻軟骨プロテオグリカンが軟骨のII型コラーゲン代謝に影響を与えるとともに、関節の違和感の緩和に影響を与える可能性が示唆されています。
しかし、すべての人で同様の結果が得られるとは限らないため、これらの研究結果はプロテオグリカンの効果を保証するものではありません。プロテオグリカンの摂取による影響は現在も研究が進められており、さらなるデータの積み重ねが期待されています。
プロテオグリカンの吸収と作用
プロテオグリカンは、上記の通り経口摂取による炎症反応への影響や、関節の状態、痛みへの影響が示唆されていますが、大きく複雑な構造を持つ分子であるため、腸管から体内へ消化・吸収される量は限定的であることも示唆されています。
その一方で、ラット腸管を用いた研究では、細胞が細胞外の物質を囲うように取り込むエンドサイトーシスという仕組みにより、大きなプロテオグリカンが吸収される可能性も示唆されています(9)。
また、消化されないプロテオグリカンが腸管内のタンパク質と相互作用する可能性や、私たちの健康に良い働きをする腸内細菌にプレバイオティクスとして利用される可能性など、さまざまなメカニズムで機能を発揮する可能性が研究から示唆されています(6)。
プロテオグリカンの代謝は非常に複雑で、「消化されないから摂取しても意味はない」とは言い切れないことが近年の研究から示唆されており、影響を明らかにするためのさらなる研究が進められています。
まとめ
プロテオグリカンは、高い保水力により軟骨のクッション性を支える重要な成分で、近年サケ鼻軟骨から効率的に抽出する方法が確立されたことで、一般の健康食品への活用も増えてきています。
サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、炎症反応を促す物質への影響や、関節の状態への影響が研究から示唆されており、膝関節の健康を支える機能への期待から、さらなる研究が進められています。また、サケ鼻軟骨から抽出したプロテオグリカンは、手軽に摂取することができるサプリメントも流通しており、日常的に取り入れやすくなったことで高い関心を集めています。
ただし、食品は医薬品ではないため、上記の研究結果は効果を保証するものではありません。治療や予防を期待する場合は、医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。
健康な関節を維持するうえでは、適度な運動などの基本的な関節ケアを取り入れることが重要で、健康維持のサポートとしてプロテオグリカンの活用を検討すると、適切な取り入れ方として健康維持に役立つと考えられます。