成分と栄養素
グルコサミンとは?関節の健康を支えるはたらきや効果を解説!
健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2026/01/20
グルコサミンは日本でも高い知名度を誇る軟骨成分のひとつで、関節への衝撃を緩和する軟骨の機能を支えていることから、さまざまな製品に活用されている注目の成分です。高齢になると、さまざまな要因で軟骨が摩耗することにより、関節の動かしにくさや炎症などのトラブルが起きやすくなることがよく知られており、健康長寿における関節機能の重要性が広く知られている近年、軟骨組織の維持に不可欠な働きをするグルコサミンへの関心はますます高まっています。
そんなグルコサミンですが、具体例な機能や特徴、摂取したときの効果など、意外と知られていない情報も多くあります。グルコサミンが愛用される理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、グルコサミンの基本から、機能や効果に関する研究報告、摂取のポイントなどをまとめて解説していき、皆さんの健康をサポートする情報をお届けします!
グルコサミンとは?
グルコサミンはアミノ糖の一種で、食品などから摂取できる成分であると同時に、私たちの体の中でもブドウ糖を材料につくられている物質です。グルコサミンは、グルコースにアミノ基がついたシンプルな構造を持つ小さなアミノ糖で、私たちの体を作るさまざまな成分の材料として働いています。
グルコサミンを材料に体内合成される成分にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも軟骨や皮膚を構成するグリコサミノグリカンという糖鎖は、水分を豊富に蓄えることができる特徴を持ち、関節で衝撃を和らげる重要な機能を果たしています。
グリコサミノグリカンには、保水性や関節での機能がよく知られるコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などの種類があり、グルコサミンはヒアルロン酸の材料となることで関節の健康を支えています。また、グルコサミンはタンパク質の糖鎖にも活用されており、私たちの健康を支えるさまざまな成分の材料となる重要性から、近年高い関心を集めています(1)。
グルコサミンの種類
グルコサミンは、ブドウ糖をベースとしたシンプルな物質ですが、一般的には「グルコサミン塩酸塩」や「グルコサミン硫酸塩」などの形で安定して存在しています。
グルコサミン塩酸塩
日本で食品添加物として活用されるのはグルコサミン塩酸塩で、エビやカニなどの甲殻類の殻に含まれるキチンという成分を塩酸処理することで作られています。
グルコサミン硫酸塩
グルコサミン硫酸塩は、主に遊離グルコサミンから化学合成することで作られるもので、変形性膝関節症に対するグルコサミンの研究が盛んなヨーロッパを中心に活用されています。
グルコサミン塩酸塩とグルコサミン硫酸塩は異なる物質ですが、どちらも経口摂取すると消化・吸収されて遊離グルコサミンとなり、軟骨細胞へ作用すると考えられています(2)。どちらもさまざまな研究で関節症への効果が示唆されている成分で、関節の健康を支える効果が期待されています。
関節の健康の重要性
超高齢化社会を迎えた日本では、健康寿命の重要性が提唱され、ただ長生きするだけではなく、どのように健康な状態を維持しながら生きていくかが注目されています。
そのなかで、要支援・要介護状態となる主な原因のうち、最も多い約26%を骨折・転倒や関節疾患などの運動器の障害が占めるという背景から、「運動器の障害のために移動機能が低下した状態」としてロコモティブシンドローム(ロコモ)が定義され、食習慣や運動習慣を中心とした生活習慣の改善によるロコモ予防が重要視されています(3)。
ロコモの予防には、関節の健康維持が非常に重要となるため、関節への効果が研究で示唆されるグルコサミンにも高い関心が集まっています。
グルコサミンの効果
この項目では、運動機能を支えるさまざまな効果が示唆されているグルコサミンのなかでも、関節機能への効果に関する研究報告についてふれていきます。
変形性関節症の症状緩和に関する報告
グルコサミンの効果のなかでも最も注目を集めるのは、変形性関節症に対する効果です。変形性関節症は、加齢や荷重などにより軟骨が摩耗して関節の炎症や動かしにくさを生じる疾患で、多くの人が抱えていることからさまざまな研究が行われてきました。
2018年に報告されたネットワークメタ解析研究では、過去に報告されたさまざまな研究データを解析することで、グルコサミン、コンドロイチン、グルコサミン・コンドロイチンの併用、解熱・鎮痛剤アセトアミノフェン、消炎・鎮痛剤セレコキシブの5つについて、変形性膝関節症と変形性股関節症に対する効果が比較されました。
解析の結果、「疼痛」への効果は、セレコキシブに次いでグルコサミン・コンドロイチンの併用が大きかったことが報告されています。また、「身体機能 / 関節機能」に対しては、グルコサミン、グルコサミン・コンドロイチンの併用の両方がプラセボと比べ有意な効果を示した結果が報告されています。さらに、「関節のこわばり」にもグルコサミンはプラセボと比べ有意に効果を示した結果が報告されています(4)。
グルコサミンは、変形性関節症の症状を緩和する効果が近年のメタ解析研究でも示唆されており、その有用性に注目を浴びています。
変形性関節症の予防に関する報告
グルコサミンは、変形性膝関節症の症状を緩和するだけでなく、予防するうえでも効果を発揮することが近年の研究で示唆されています。
2016年に報告された、変形性膝関節症と診断されていないBMI27以上の肥満の成人ボランティア400人以上を対象にした研究では、食事・運動療法の有無と、1日1,500mgのグルコサミン硫酸塩投与の有無を組み合わせて作った4つのグループについて、変形性膝関節の予防への効果が比較されました。
その結果、グルコサミン硫酸塩を投与された2つのグループでは、食事・運動療法の有無に関わらず、変形性膝関節症の予防効果が認められたと報告されています(5)。
グルコサミン硫酸塩は、変形性膝関節症の症状の緩和だけでなく、予防のうえでも役立つ可能性が示唆されていることからも、高い関心を集めています。
グルコサミン摂取のポイント
グルコサミンの摂取量
グルコサミンの摂取量の基準については、代謝に個人差があるため明言することが難しいですが、変形性膝関節症への効能を調べた多くの研究は、1日に1,500mgのグルコサミン硫酸塩を摂取するようデザインされ、その効果が示唆されています(6)。
また、日本で健康食品やサプリメントへ利用されているグルコサミン塩酸塩を用いた研究では、1日1,000mgのグルコサミン塩酸塩と800mgのコンドロイチン硫酸を併用摂取することで、疼痛の軽減や関節機能の改善が確認されたことが報告されています(7)。
グルコサミンを活用するうえでは、これらの研究の摂取量がひとつの参考になると考えられます。また、多くの研究では同様のグルコサミン摂取量で高い安全性も示唆されているため、安全面を考えるうえでも参考になると考えられます(8)。
コンドロイチンとの併用
グルコサミンとともに軟骨成分としてよく知られているコンドロイチンは、多くのサプリメントでグルコサミンと合わせて含有されており、研究でも合わせて摂取することによる効果が示唆されています。
グルコサミンとコンドロイチンはよく混同されてしまいますが、これらの違いをまとめると、次の表のようになります。
表1. グルコサミンとコンドロイチンの違い
|
グルコサミン |
コンドロイチン |
|
|
分類 |
アミノ糖 |
グリコサミノグリカン |
|
主な機能 |
グリコサミノグリカンやタンパク質の糖鎖を作る材料 |
軟骨の形成、水分保持やクッション性の維持 |
グルコサミンとコンドロイチンは、共に関節の保護で重要な役割を果たす相性の良い物質であり、研究でもグルコサミン硫酸塩やグルコサミン塩酸塩をコンドロイチン硫酸と併用することで、効果を発揮することが示唆されています(4)(7)。
グルコサミンとコンドロイチンを合わせて摂取することができるサプリメントは近年多く流通しており、このような製品を選択肢のひとつとして取り入れることも効果的だと考えられます。
摂取を注意すべき人
日本で食品添加物として利用されるグルコサミン塩酸塩は、エビやカニが持つキチンから作られるため、甲殻類アレルギーへの影響が懸念されることがあります。また、グルコサミンはアミノ糖であるため、血糖値への悪影響が懸念される場合もあります。
多くの研究では、これらの懸念点に注目したうえで、グルコサミンの摂取により安全上の問題が起こる可能性は低いことが示唆されています(8)。しかし、これらの症状については個人差があることや、研究対象となるボランティアが健康な状態である場合が多いことを踏まえると、甲殻類アレルギーの方や血糖値への心配がある方は摂取を避けるとより安全だと考えられます。
また、すでに関節の痛みや動かしにくさを感じている方は、グルコサミンの摂取よりも、医療機関で担当の医師と相談して、適切な治療を受けることを優先する必要があります。
グルコサミンの適切な利用方法を理解することは、有効的に活用するうえでも重要ですので、これらの注意点を押さえることが推奨されます。
まとめ
グルコサミンは安全性が高く、関節の健康を支える幅広い効能が示唆されている重要な軟骨成分です。グルコサミンを意識的に摂取する際は、通常の食品から豊富に摂取することが難しいため、相性の良いコンドロイチンと合わせて摂取することができるサプリメントの活用がおすすめです。ロコモ予防で重視される適度な運動などを意識して健康的な生活を送りながら、グルコサミンの継続的な摂取を取り入れると、健康維持に役立つと考えられます。
参考資料: