勃起不全(ED)の原因とは?治療や予防方法についても解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/11/08
最終更新日 2024/11/21
勃起不全とは、勃起の維持や硬さが足りない状態です。そのため、性行為ができなかったり、性行為による満足感が得られなくなったりします。その結果、パートナーとの関係悪化にもつながりかねないです。
この記事では、勃起不全の原因や治療、予防方法について解説します。パートナーとの関係を維持するためにも勃起不全を改善しましょう。
勃起不全とは
勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)は、性行為を満足に行うために十分な勃起が得られない、またはそれを維持できない状態です。勃起は、性的な興奮により脳から指令が送られて陰茎に血液が集まり、陰茎海綿体が膨張して固くなることで起こります。しかし、勃起不全の状態では、血流や神経、ホルモンバランスに異常が生じ、勃起が妨げられます。男性の加齢や生活習慣、心理的要因などが原因で、幅広い年齢層で発生する可能性がある病態です。
勃起不全の原因
勃起不全の原因は4つ挙げられます。
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生活習慣
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心理的要因
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加齢
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薬剤の副作用
それぞれ解説していきます。
生活習慣
生活習慣の悪化は勃起不全の原因となり、血管疾患や糖尿病、慢性腎不全などが代表的な要因です。血管疾患では、陰茎の動脈が閉塞することで、血流が妨げられ、勃起が難しくなります。糖尿病も血管の健康を損ない、陰茎への血流を悪化させることから勃起不全のリスクを高める要因です。また、慢性腎不全では、血流障害や自律神経機能障害が発生し、代謝の乱れも加わって勃起が妨げられます。
これらの疾患は、肥満や運動不足、喫煙、飲酒などの生活習慣によって発症しやすく、健康的な生活習慣を維持することが勃起不全の予防につながります。
心理的要因
勃起不全には心理的要因も関わることが多く、不安やうつ、ストレスが原因で発症するケースも少なくありません。これらの要因は性的興奮を抑制し、勃起の指令が陰茎に届きにくくなるため、勃起が難しくなります。特に、パートナーとの関係が悪化している場合や仕事や生活環境で強いストレスを抱えている場合、勃起不全が起こりやすくなります。
心理的要因は、性的な自己評価や過去の失敗による不安感も関連し、問題が長引くこともあるため、精神的なサポートやカウンセリングが大切です。心理的な健康が性機能に密接に影響するため、リラックスやメンタルケアが予防にも効果的です。
加齢
加齢に伴う血管の弾力性の低下も勃起不全の原因です。年齢を重ねると血管が硬くなり、血流が陰茎に十分に供給されにくくなるため、勃起が持続しづらくなります(1)。また、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少し、性欲や勃起に影響が及びます。
これらの加齢による変化は自然なものであるものの、勃起不全に対する意識を持ち、生活習慣を整えることで進行を抑えることが可能です。定期的な運動や食生活の改善で血流やホルモンバランスを保つことが、加齢による勃起不全の予防につながります。
薬剤の副作用
勃起不全は薬剤の副作用も原因の一つです。例えば、降圧薬や抗うつ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は勃起に悪影響を及ぼす可能性があります。降圧薬は血圧を下げる作用があり、陰茎の血流が低下するため、勃起が困難になりやすい傾向です。また、抗うつ薬は脳内の神経伝達を抑える作用があり、性的興奮が阻害されることがあります。
これらの薬剤を服用している場合、医師と相談して他の治療法を検討することが推奨されます。勃起不全の原因が薬剤によるものである場合、適切な処方薬に見直すことが大切です。
勃起不全の治療
勃起不全の治療は、以下の5つが挙げられます。
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薬物療法
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生活習慣の改善
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心理的アプローチ
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陰圧式勃起補助具
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男性ホルモン補充療法
それぞれ解説していきます。
薬物療法
薬物療法では「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3つが用いられることが多いです。以下の表に効果時間や副作用を紹介します。
効果発現時間 |
効果持続時間 |
副作用 |
|
バイアグラ |
30~60分 |
約4時間 |
ほてり、頭痛、めまい、消化不良 |
レビトラ |
30分 |
約4~5時間 |
ほてり、頭痛、めまい、鼻づまり、消化不良 |
シアリス |
30分 |
約36時間 |
消化不良、筋痛、頭痛、ほてり |
(参考:ED診療ガイドライン 第3版)
それぞれのED治療薬について詳しく解説します。
バイアグラ
バイアグラは、一般的に用いられる勃起不全治療薬で、内服後30〜60分で効果が発現します。有効成分のシルデナフィルが陰茎の血管を弛緩させ、血流を増加させることで勃起を促進します。
シルデナフィルは陰茎内のPDE5酵素を阻害し、一酸化窒素(NO)の作用を持続させることで、持続的な勃起が可能です。効果持続時間は約4時間で、食事の影響を受けやすいため、空腹時の服用が推奨されます(2)。副作用として、ほてりや頭痛、めまい、消化不良などが挙げられますが、個人差があります。
レビトラ
レビトラは、内服後約30分で効果が現れ、即効性が高いことで知られています。有効成分のバルデナフィルは、水溶性が高く、バイアグラよりも早く体内に吸収されるため、短時間で勃起をサポートします。
効果は約4〜5時間続き、食事の影響を受けにくい点が特徴です(2)。そのため、食事後に服用しても効果が安定しやすく、即効性を求める方に適しています。副作用には、ほてり、頭痛、めまい、鼻づまり、消化不良などが含まれますが、通常は軽度です。特に即効性を求める場合には、レビトラが有効です。
シアリス
シアリスは、内服後30分ほどで効果を発揮し、持続時間が最長で36時間と長いことが特徴です(2)。有効成分のタダラフィルがPDE5酵素を阻害し、陰茎への血流を増加させて持続的な勃起をサポートします。食事の影響も受けにくく、長時間の持続性が求められる場合におすすめです。副作用には、消化不良、筋痛、頭痛、ほてりなどがあります。使用頻度が多い方や、持続時間を重視する方に適した薬剤です。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は勃起不全の予防と治療において大切な要素です。例えば、血管の健康を保つために栄養バランスの良い食事を心がけること、肥満を防ぐための定期的な運動が推奨されます(3)。特に、魚や野菜、果物などの食事が血流改善やホルモンバランスの調整に効果的です。また、睡眠を十分に取り、ストレスを管理することも性機能改善に効果的です。生活習慣病の予防にもつながるため、日々の積み重ねが重要です。健康的な生活を維持することで、長期的な性機能の向上や勃起不全の予防が期待できます。
心理的アプローチ
勃起不全の治療には心理的なアプローチも効果的です。過去のトラウマや強い不安が原因となっている場合、カウンセリングや行動療法を通じて心理的な負担を軽減します。パートナーとの関係に原因がある場合、二人でのカウンセリングにより、コミュニケーションの改善を図ることも大切です。
心理的なサポートによって、性に対する恐怖感やプレッシャーが和らぎ、リラックスした状態で性的な関係を築くことが可能となります。その結果、心身のバランスを整えるための心理療法は、長期的な治療効果をもたらします。
陰圧式勃起補助具
陰圧式勃起補助具は、勃起不全に対する補助器具で、陰茎に陰圧をかけることで血液を引き込み、疑似的な勃起状態を作ります(2)。この方法は、PDE5阻害薬が禁忌となる患者にとって有用です。補助具を用いることで、薬に頼らず勃起を補助することが可能で、使い方も比較的簡単です。また、パートナーとの関係を維持しつつ勃起不全の影響を軽減できるため、性生活の質を高める役割も果たします。
男性ホルモン補充療法
勃起不全の原因が男性ホルモン(テストステロン)の低下である場合、男性ホルモン補充療法が選択肢の一つです(2)。テストステロンの分泌が低下すると性欲が減少し、性機能にも悪影響を与えます。ホルモン補充療法では、テストステロンの注射や皮膚に貼るパッチ、塗布薬などで男性ホルモンを補い、性欲向上や勃起機能改善を目的とします。
ただし、ホルモン療法には副作用もあり、定期的な検査や医師の指導が必要です。ホルモン補充療法は、男性更年期障害の改善にも役立ち、勃起不全の治療方法として効果的です。
勃起不全の予防方法
勃起不全を予防するためには、生活習慣の見直しや、食事の改善、定期的な運動などのセルフケアによる生活習慣病の予防が重要です。高脂肪や高カロリーの食品を控え、野菜や魚を中心とした食事を摂取することで、動脈硬化のリスクを減らし、血流を改善します。
また、喫煙や過度な飲酒は血管の健康に悪影響を与えるため控えることが望ましいです。さらに、日常的にストレス管理を行い、趣味やリラックスできる時間を持つことで心身の健康を維持します。これらの予防法は、長期的に性機能を保つために役立ち、性機能を保ちます。
まとめ
勃起不全(ED)は、十分な勃起が得られない、または維持できない状態で、血流障害や神経・ホルモンの不調が原因となります。原因は生活習慣、心理的要因、加齢、薬剤の副作用など多岐にわたり、特に血管疾患や糖尿病、ストレス、年齢に伴う血管の硬化などが主な要因です。
治療には薬物療法(バイアグラ、レビトラ、シアリス)、生活習慣の改善、心理的サポート、陰圧式補助具、男性ホルモン補充療法が効果的です。予防には健康的な食生活、適度な運動、禁煙・節酒、ストレス管理が大切になります。これらを実践して性機能を保ちましょう。