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性機能障害の男女別の原因とは?治療方法についても解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/11/09
最終更新日 2024/11/21
性機能障害は男女ともに起こり得る問題です。原因はさまざまであり、妊娠やパートナーとの関係にもかかわるため、早期の治療が大切です。基本的に薬剤による治療が用いられますが、日常生活を工夫することも治療に繋がります。
この記事では、性機能障害の原因について男女別に解説します。また、治療方法も解説しているので、性機能に対する不安がある方はぜひご覧ください。
【男女別】性機能障害の原因
性機能障害は大きく3つの原因に分けられます。
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生理的要因
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心理的要因
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薬物の使用
それぞれ男女別に解説していきます。
生理的要因
男性の性機能障害の生理的要因には、更年期障害や血管内皮障害が関連します。更年期障害では、男性ホルモン(テストステロン)が低下し、性欲や勃起機能に影響が生じます(1)。また、血管内皮障害も要因の一つであり、一酸化窒素(NO)の分泌低下が勃起不全を引き起こす原因の一つです。一酸化窒素は陰茎の血管拡張に不可欠で、不足すると陰茎海綿体への血流が減り、十分な勃起ができなくなります。
女性も更年期障害が性機能に影響を与えます。更年期以降、エストロゲンなどのホルモンが低下すると、性欲減退や膣の乾燥が発生しやすいです。その結果、性機能に対する不安や不快感、性交痛が生じることがあります。
上記のように加齢によるホルモンバランスの変化は、男女ともに性機能に影響を与えます。
心理的要因
心理的要因は、男女ともに性機能障害の原因となります。 男性の場合、ストレスや不安、うつ病などが勃起不全につながりやすいです。ストレスは交感神経を緊張させ、陰茎への血流を阻害するため、勃起が難しくなります(2)。仕事のプレッシャーやパートナーとの関係悪化も性機能に悪影響を及ぼす要因です。
女性の場合、ストレスが原因で性欲が低下したり、性交時に快感を感じにくくなることがあります(3)。性的虐待や過去のトラウマも原因となることがあり、性的な行為自体に恐怖感や抵抗を感じてしまうことも要因の一つです。
上記のことから、男女ともに、心理的な健康とリラックスが性機能維持に重要です。
薬剤の使用
薬剤の使用も性機能障害を引き起こす原因です。 男性の場合、抗うつ薬や降圧薬が勃起不全を引き起こすことがあります。抗うつ薬はセロトニン量を増加させ、神経経路の興奮を抑制するため、性欲減退や勃起障害の原因となります(2)。また、抗アンドロゲン薬はテストステロンを抑制し、性欲低下や勃起不全の副作用が現れやすいです。
女性の場合も、抗うつ薬や抗精神病薬が性欲低下の原因となる場合があります。加えて、避妊薬やホルモン療法薬もホルモンバランスに影響を及ぼし、性欲に変化を引き起こします。上記の薬剤を服用している場合は、副作用による性機能障害の可能性も考慮しましょう。
性機能障害の基本的な治療
性機能障害の治療は、大きく4つに分けられます。
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薬物療法
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カウンセリング
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生活習慣の改善
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栄養摂取
それぞれ解説していきます。
薬物療法
性機能障害に対しては、薬物療法が用いられます。 PDE5阻害薬は代表的な治療薬で、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどが一般的です。これらの薬は陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させ、陰茎への血流を増加させて勃起を促進します(4)。薬効の持続時間は薬剤により異なり、症状に合わせた選択が可能です。薬物療法は短期間の対処療法として有効ですが、根本的な改善には生活習慣の改善やカウンセリングが必要です。
カウンセリング
心理的な要因が性機能障害の原因である場合、カウンセリングが効果的です。専門のカウンセラーがストレスや不安の解消をサポートし、性機能に対する不安を軽減します。例えば、パートナーとのコミュニケーション改善や、リラックスできる方法の提案が行われます。性的な悩みは話しにくいことが多いため、信頼できる専門家に相談することが大切です。特に、性的虐待のトラウマが原因である場合、心理療法が長期的な改善に役立ちます。
生活習慣の改善
性機能向上には生活習慣の見直しも大切です。バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠が性機能をサポートします。例えば、食事で栄養を補うことや適度な運動を行うことで、ホルモンバランスが整い、血流も改善されます。また、ストレス管理も重要で、リラクゼーションや趣味に没頭する時間を確保することも大切です。生活習慣を整えることで心身ともに健康が保たれ、性機能の回復や維持が期待できます。
栄養摂取
適切な栄養を摂取することも性機能障害に必要です。具体的には「亜鉛」「ビタミン」「不飽和脂肪酸」「シトルリン」「ポリフェノール」など5つの栄養素が大切になります。それぞれの栄養素がどのように関わるか解説していきます。
亜鉛
亜鉛は性ホルモンの分泌を促進し、性機能維持に不可欠なミネラルです。特に、テストステロンの合成を助ける働きがあり、性欲の増進や勃起機能の向上に貢献しています。また、精液の生成を助け、精子の質と量を向上させるため、不妊改善にも有用です(5)。
亜鉛はさらに神経機能の向上にも寄与し、精神的な性機能障害を緩和する可能性があります。例えば、亜鉛の補給によりうつ症状が改善されると、精神的ストレスからくる性機能低下の予防にもなります。亜鉛が不足するとテストステロンの分泌が低下し、性機能障害のリスクが高まるため、食事やサプリメントでの亜鉛補給が大切です。
ビタミン
ビタミンは幅広い作用があり、性機能にも関与する重要な栄養素です。各ビタミンがどのように性機能に貢献するか表で解説します。
ビタミンB6 |
エストロゲンの生成をサポートし、神経機能を正常化させるため、性欲や性機能の改善に役立つ |
ビタミンB12 |
精子形成の改善 |
ビタミンC |
亜鉛の吸収力を高めるため、間接的に性機能に効果的 |
ビタミンE |
抗酸化作用があり、精子の数を増やすほか、ホルモンバランスを整える |
(参考:乏精子症におけるビタミンB12の効果についての評価)
これらのビタミンを、野菜、果物、ナッツ類、魚介類などからバランス良く摂取することで、体内の代謝やホルモンの調整に貢献し、性機能の維持が期待できます。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、性機能によい影響を及ぼします。不飽和脂肪酸は血液をサラサラにし、血管の健康を促進するため、血流がスムーズになります。これにより、陰茎への血流が増加し、勃起の持続力が向上する効果が期待できるでしょう。
また、ホルモン生成にも関与し、男女問わずホルモンバランスを整える働きがあります。不飽和脂肪酸は魚介類、ナッツ類、オリーブオイル、アボカドに豊富に含まれ、日々の食事に取り入れることで、血管を健康に保ち、性機能維持に効果的です。
シトルリン
シトルリンは体内で一酸化窒素(NO)の生成を促し、血管拡張を促進する栄養素です。この一酸化窒素の作用により血流が改善し、特に陰茎の血流増加を通じて勃起を助ける働きがあります(6)。また、老化による性機能低下を予防する効果もあり、加齢によって衰えがちな性機能をサポートします。
シトルリンは、スイカやメロン、きゅうりに豊富に含まれており、日常的な食材から自然に摂取が可能です。シトルリンの補給により、血流改善と細胞の若返り効果が期待され、特に加齢に伴う性機能障害の緩和に役立ちます。
ポリフェノール
ポリフェノールは抗酸化作用が高く、体内で発生するフリーラジカルを除去することで、血管の健康に役立ちます。フリーラジカルはストレスや老化によって増加し、血管の劣化を招くため、性機能低下にもつながることがあります。ポリフェノールの摂取により血流が改善し、陰茎への血流も向上するため、性機能の維持や改善に効果的です(7)。
ポリフェノールは、緑茶、赤ワイン、カカオなどに含まれており、抗酸化効果を狙って取り入れたい成分です。日常的にポリフェノールを摂取することで、血管の健康を維持し、加齢やストレスによる性機能の低下を防ぐことができるでしょう。
まとめ
性機能障害の原因は「生理的要因」「心理的要因」「薬物の使用」に分けられ、男女それぞれ異なる影響を受けます。治療には薬物療法、カウンセリング、生活習慣の改善、栄養摂取などが効果的です。
薬物療法では、PDE5阻害薬が用いられ、陰茎の血流を促進します。カウンセリングも心理的要因の治療に有効です。また、生活習慣の改善や「亜鉛」「ビタミン」「不飽和脂肪酸」「シトルリン」「ポリフェノール」といった栄養素の摂取も性機能維持に大切です。日常生活にすぐ取り入れられる内容も多いので、実践してみましょう。