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乳酸菌K-2とはどんなもの?乳酸菌K-2の特長と効果を徹底解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/09/12

私たちと共生する約1,000種類の腸内細菌は、腸そのものの状態を左右するだけでなく、免疫機能や代謝機能、脳機能にいたるまで、全身の健康維持に大きな影響力を持つことが知られています。その重要性から、私たちの健康に貢献する善玉菌への関心は高く、なかでも善玉菌の代表格である乳酸菌は、幅広い効果により長年注目されてきました。乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、乳酸菌K-2という酒粕由来の植物性乳酸菌は、アレルギー対策に重要な免疫機能への効果と、死菌状態でも効果を発揮する特長を持つことが研究で示唆され、注目を浴びている菌株です。

この記事では、乳酸菌K-2とはどのようなものなのか、その基本情報や特長、効果に関する研究報告などを解説していき、乳酸菌K-2の情報をまとめてご紹介します!

 

健康を支える腸内環境と乳酸菌

 

腸内環境の重要性

私たちと共生している多種多様な腸内細菌は、全身へ非常に大きな影響力を持つことが近年の研究によって明らかとされており、健康維持に重要な存在として関心を集めています。

 

約1,000種類とも言われる腸内細菌には、大きく分けると善玉菌・悪玉菌・日和見菌という3つのグループが存在しており、これらの3つの勢力が絶妙なバランスで共存することで、「腸内フローラ」と呼ばれる腸内環境を形成しています。善玉菌が減ることで悪玉菌優勢へバランスが崩れ、腸内フローラの多様性が損なわれてしまうと、腸の不調だけでなく、心血管疾患や神経疾患、ガン、免疫​疾患​、呼吸器疾患、糖尿病、腎臓病、肝障害など、全身の病気のリスクにつながることがさまざまな研究から示唆されています(1)

 

善玉菌を増やすことは、有益な菌の働きそのもののメリットだけではなく、悪玉菌を減らしながら腸内フローラの多様性を保つことで、腸内環境全体の働きを良い方向へ導くという複合的なメリットにもつながるため、その重要性から近年注目を浴びています。

 

そのなかでも、特に重要な善玉菌として知られているもののひとつが乳酸菌です。

 

乳酸菌とは

乳酸菌は、私たちの健康に貢献する善玉菌の代表格として、長年さまざまな食品やサプリメントに活用されてきた身近な菌です。

 

「糖を代謝して乳酸を多量に作ることのできる菌の総称」とされてきた乳酸菌は、遺伝子配列を用いた系統解析技術などが発展した現在、Lactobacillales目に分類される菌を指して用いられるようになっています(2)

 

一方、ビフィズス菌は現在「生理学的に乳酸菌に関連している細菌​」として扱われている全く別の菌で、それぞれ違った性質を多く持つことが知られています。

 

たとえば、酸素が苦手なビフィズス菌は、酸素が非常に少ない大腸内部に偏って生息しており、一般的な食材には通常含まれていません。一方、乳酸菌は酸素があっても生育できるものが多く、私たちの体の中では小腸に多くすみついており、ヨーグルトだけでなくチーズや味噌、漬物などのさまざまな発酵食品に含まれていることが知られています(3)

 

乳酸菌は、腸内環境を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑える働きをする乳酸を作りながら、腸に集まるさまざまな細胞に働きかけることで、健康維持に欠かせない役割を果たす菌であると考えられています。

 

乳酸菌K-2の特徴と機能

 

乳酸菌K-2とは

乳酸菌K-2は、酒粕から分離された植物性乳酸菌のひとつで、新潟大学などの研究グループがアレルギー抑制へ効果を発揮する乳酸菌を選抜したなかで発見された、Lacticaseibacillus paracasei K71としても知られる菌株です(4)

 

ラクトバチルス属やラクチカゼイバチルス属などの乳酸菌は、それぞれが多くの菌種を持っており、1つの菌種のなかにも増殖のもととなった菌でまとめた「菌株」というグループがあります。同じ種に属する異なる菌株同士は、種としての共通の性質と、それぞれの菌株特有の作用を持つことが知られています(5)。乳酸菌K-2が属するパラカゼイ種にもさまざまな菌株がありますが、そのなかで乳酸菌K-2はアレルギーを抑えるうえで特長的な機能を持つことが研究で示唆されており、注目を浴びている菌株のひとつです。

 

免疫を調節する機能

乳酸菌K-2は、アレルギーと深く関わる免疫機能への効果が特徴的な菌株です。

 

乳酸菌K-2は、アレルギー反応を引き起こす原因として知られる免疫グロブリンE(IgE)の抑制に効果を発揮する乳酸菌を、29種類の候補のなかから探索した結果、最も強力なIgE抑制効果を持つものとして選抜された菌株です。乳酸菌K-2は、IgE産生につながる免疫細胞のバランスを整えることで、アレルギーの抑制へ効果を発揮すると考えられています(4)

 

実際に、乳酸菌K-2をヒトやイヌなどに投与した複数の研究において、アトピー性皮膚炎の重症度を緩和する効果が報告されており、乳酸菌K-2が過剰な免疫反応を調節する効果を持つことが示唆されています(6)

 

また、乳酸菌K-2は感染を防ぐために必要な免疫機能を促進するうえでも効果を発揮することが示唆されています。

 

日本人ボランティアを対象とした研究では、感染に対する免疫機能の第一防衛ラインとしての働きが知られる分泌型免疫グロブリンA(sIgA)へ、乳酸菌K-2の摂取がどのような影響を与えるかが調べられました。その結果、乳酸菌K-2を摂取したグループで唾液へのsIgA分泌量が有意に増加したことが確認されており、乳酸菌K-2がアレルギー抑制だけでなく、感染予防にも効果を発揮することが示唆されています(7)

 

さらに、乳酸菌K-2は炎症反応を抑制するうえでも効果を発揮することが示唆されています。

 

紫外線による皮膚バリア機能障害を起こしたマウスモデルを用いた研究では、乳酸菌K-2を投与されたマウスで、炎症反応を抑制するサイトカインの産生が促されたとともに、皮膚バリア機能障害が抑えられたことが報告されています。乳酸菌K-2が過剰な炎症反応を抑えることで、皮膚バリア機能障害を防いだことが示唆されています(8)

 

乳酸菌K-2は、アレルギー反応や過剰な炎症反応を抑えながら、感染に対する防御は増強するという、適切な免疫機能の調節へ幅広い効果を発揮することが示唆されています。

 

死菌状態でも効果を発揮する特長

乳酸菌K-2は、加熱処理後の死菌状態でも効果を発揮することが知られる菌株で、その利用のしやすさにも関心を集めています。

 

善玉菌は、これまで生菌状態での摂取による効果が注目されてきましたが、近年は加熱処理により死菌状態となった善玉菌も、健康をサポートする効果を発揮することが研究で報告されてきています。いくつかの善玉菌は、加熱処理後も生菌時に作り出した有益な物質の働きにより、腸内環境のバランスを整える効果や、免疫調節の効果を発揮することが示唆されています(8)

 

加熱処理後も効果を発揮する善玉菌は、生きた状態で腸まで届けるための特殊な技術を必要としないため、機能と安全性を維持しやすく、さまざまな食品やサプリメントに活用できるというメリットもあり、近年注目を浴びています。

 

乳酸菌K-2は、加熱処理をされた状態でIgE抑制へ強力な効果を発揮する乳酸菌を探索したなかで選抜された菌株であり、さまざまな研究で加熱処理された状態での効果が確認されています(4)(7)

 

乳酸菌K-2は、さまざまな食品やサプリメントを通して生活に取り入れやすいという特長も持つことから、近年注目を浴びている菌株です。

 

乳酸菌K-2の活用のポイントは?

 

適量を継続して摂取する

日頃から私たちの体内で活躍している乳酸菌は、一般的に安全性が高い菌として知られており、乳酸菌K-2も同様に安全性が高い菌株だと考えられています。加熱処理後の乳酸菌K-2を日本人ボランティアへ摂取してもらった研究でも、その高い安全性が示唆されています(7)

 

しかし、安全性が高いからといって短期間での効果を期待して大量に摂取することは、効果的な活用法とは言えません。

 

私たちの腸内環境や免疫機能は、さまざまな物質や細胞が関わり複雑に調節されているため、短期間の作用が効果として表れることは難しいと考えられます。ヒトを対象として乳酸菌の効果を報告してきた多くの研究が、数週間以上の摂取を継続するようデザインされていることを踏まえても、乳酸菌K-2を活用する場合は、適量を継続して摂取することが重要だと言えます。

 

バランスの良い食生活を心がける

腸内環境は食生活の影響を強く受けるため、乳酸菌K-2などの善玉菌を用いた製品を活用する場合は、食生活の乱れによる悪影響に注意が必要です。

 

特に、動物性タンパク質や脂肪に偏った食生活は、悪玉菌を増やしやすいことが知られており、腸内環境の多様性を損ない、腸内毒素を増やしてしまうことが示唆されています(9)

 

一方、野菜や穀物などの植物性食品は腸内環境を整えるものが多く、善玉菌の増殖と働きを促進するプレバイオティクスを摂取するうえでも、効果的であることが示唆されています(10)

 

そのため、バランスの良い食生活を送ることは、栄養面だけでなく、腸内環境を整えるうえでも効果的だと考えられています。

 

乳酸菌K-2は、アレルギーに関わるIgEの抑制など、免疫機能への幅広い効果が示唆されている菌株で、加熱処理後も活用できる特長を持つことからも注目を浴びています。花粉やハウスダストなどのアレルゲンを回避することや、バランスの良い食生活を送ることなどのアレルギー対策の基本を抑えながら、乳酸菌K-2を用いた製品を適切に活用すると、健康的な生活の維持に役立つと考えられます。​​​


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