成分と栄養素
モリンガにはどんな効能がある?「奇跡の木」モリンガの豊富な栄養と効果を解説!

健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2025/07/23

皆さんは「モリンガ」という植物をご存知でしょうか?モリンガは、インドやアフリカなど幅広い国々に分布する生命力の高い落葉樹で、非常に豊富な栄養を含むことから「奇跡の木」とも呼ばれている植物です。モリンガは、ビタミンやミネラル、9種類全ての必須アミノ酸に加え、食物繊維やポリフェノールなどのさまざまな栄養を含んでおり、近年は日本でもスーパーフードとして注目を集めています。それでは、そんなモリンガにはどのような効果が期待されているのでしょうか?
この記事では、近年急速に注目を集めているモリンガについて、基本情報からご紹介するとともに、その豊富な栄養と効果を解説していき、皆さんへモリンガの知識をお届けします!
モリンガとはどんな植物?
モリンガの基本情報
モリンガ(学名:Moringa oleifera)は、熱帯・亜熱帯に幅広く分布するワサビノキ科の落葉樹で、古くからアフリカや中南米、インドや東南アジアで栽培されてきた植物です。5〜10mほどに成長するモリンガの木は、インドや東南アジアでは庭や生垣にもみられる一般的な植物で、環境維持や食材への利用だけではなく、生活のなかのさまざまな場面で活用されてきました。
近年は、その豊富な栄養成分と多彩な用途から、日本や欧米諸国でもモリンガへの注目が高まっています。
世界が注目するモリンガのさまざまな機能
モリンガは、多様な用途があることが広く知られており、さまざまな機能で人々の生活を支えてきました。
モリンガは、少ない水と簡単な手入れで成長する栽培のしやすさや、気候の変化や干ばつにも耐える生命力から、厳しい環境の国々でも生育してきました。また、モリンガの種には水中の汚染物質を凝集させて除去できる浄水作用があることが知られ、浄水環境の整っていない地域では生活用水の確保を支えてきました。
モリンガはハーブとしての歴史も長く、古くからインドを中心にさまざまな国で幅広い目的に活用されてきました。インド・スリランカを発祥とする世界最古の伝統医学のひとつ「アーユルヴェーダ」でも、モリンガのハーブとしての利用の記録があるとされ、その重要性が知られています(1)。
モリンガは、温暖化対策に貢献する高い二酸化炭素の吸収能力、バイオ燃料への利用可能性、そして木のほぼ全ての部分に重要な栄養素を含む特長が知られるようになってから、近年さらにその利用が拡大しています。モリンガは、可食植物のなかでも特に豊富な栄養を含むことから「奇跡の木」とも呼ばれており、日本をはじめとした先進国でもスーパーフードのひとつとして注目を集めています。
モリンガの豊富な栄養を解説!
モリンガは、最も栄養が豊富な植物のひとつとして知られており、その木のあらゆる部位に重要な栄養成分を含んでいます。モリンガは総合的に多くの栄養成分を含むことが特長的ですが、この記事ではそのなかから代表的なものをご紹介します!
ビタミン
モリンガにはさまざまなビタミンが含まれています。
たとえば、ビタミンEはモリンガの葉に最も多く含まれるビタミンで、その含有量は乾燥葉100gあたり77mgと、ビタミンEが豊富なことで知られるアーモンドの約2.5倍に相当するとされています(2)。
また、モリンガにはにんじんの約4倍のビタミンA、オレンジの約7倍のビタミンCも含まれているとされており、ビタミンの豊富さがよく知られています(1)。
ミネラル
モリンガはミネラルも豊富に含んでいることが知られています。
たとえば、モリンガの葉には牛乳の約4倍のカルシウム、バナナの約3倍のカリウムに加え、リン、マグネシウム、ナトリウム、硫黄、亜鉛、銅、マンガン、鉄などの幅広いミネラルが含まれるとされています(1)。
また、モリンガは種にもマグネシウムやカリウムなどの豊富なミネラルを含んでおり、ミネラルに関しても優秀な栄養源となります(3)。
アミノ酸
モリンガには、バリンやロイシン、トリプトファンなどの、食事からの摂取が必要な必須アミノ酸9種類が全て含まれることが知られています(1)。
また、モリンガにはGABAなどの健康への機能が知られる遊離アミノ酸も含まれることが知られており、アミノ酸の豊富さも注目を集めています(4)。
脂肪酸
モリンガは、私たちの健康に欠かせない脂肪酸も豊富なことが知られています。
モリンガの葉には、血液中の悪玉コレステロールを下げる働きで知られる必須脂肪酸α-リノレン酸が豊富に含まれています(1)。
また、モリンガの種にはオリーブオイルに豊富なことで知られるオレイン酸が多く含まれており、モリンガからはさまざまな脂肪酸を摂取することもできます(3)。
100種類以上のファイトケミカル
植物は、紫外線や害虫から身を守るためにファイトケミカルと総称される植物性化合物を作っており、ポリフェノールやカロテノイドなど、私たちの健康に貢献するものも多く含まれることで知られています。モリンガからは100種類以上のファイトケミカルが見つかっており、さまざまな効果が研究で示唆されています。
たとえば、モリンガは強力な抗酸化作用で知られるルチンやケルセチン、網膜を保護する働きで知られるルテインなどを含んでおり、これらの成分はモリンガの効果に深く関与していると考えられています(1)。
モリンガの幅広い効果を解説!
モリンガは非常に多くの栄養成分を含むことから、幅広い効果が期待され、近年多くの研究が進められています。この記事ではそのなかから、さまざまな研究で示唆されているモリンガの代表的な効果をご紹介します!
抗酸化作用
モリンガは、活性酸素を除去する抗酸化物質を豊富に含むことが、大きな特長のひとつとして知られています。
活性酸素は、ストレスや紫外線の影響で過度に増えると、血管や内臓を傷つけることで、老化や生活習慣病などのさまざまな疾患のリスクとなることが知られています。モリンガの豊富な抗酸化物質は活性酸素の過剰を抑え、健康に貢献することが示唆されています。
モリンガの葉の抗酸化作用を確かめた研究では、ボランティアにモリンガのエキスまたは温水を摂取してもらい、血液を採取してさまざまな手法で分析を行いました。その結果、モリンガを摂取したグループで抗酸化作用が確認されており、モリンガが抗酸化作用によってさまざまな慢性疾患のリスク低減に効果を発揮することが示唆されています(5)。
また、モリンガは葉だけではなく、種にも抗酸化作用を示す物質を豊富に含んでいます。さまざまな研究でモリンガの種の強力な抗酸化作用が報告されており、健康への機能が期待されています(3)。
抗炎症作用
ファイトケミカルを含むモリンガの豊富な栄養は、炎症を抑えるうえでも効果を発揮すると考えられています。
モリンガは、炎症を誘発する酵素の働きやシグナル物質の産生を抑制するほか、抗酸化物質の働きによっても炎症を抑制すると考えられており、さまざまな疾患モデル動物を用いた研究でその効果が確認されています(6)。
また、モリンガは種にも抗炎症作用を発揮する物質を豊富に含んでおり、モリンガの種の抽出物をラットに投与したさまざまな研究で、肺や肝臓、関節への抗炎症作用が報告されています(3)。
多くの研究により、モリンガは酸化ストレスを抑えるだけではなく、炎症を抑える効果も持つことが示唆されています。
血糖管理への作用
モリンガが含む豊富なポリフェノールは、血糖管理にも効果を発揮することが示唆されています。
糖尿病予備軍のボランティアを対象にした研究では、モリンガの乾燥粉末またはプラセボを6週間投与して、空腹時血糖や、長期的な血糖の指標であるHbA1cなどの血糖値を比較しました。その結果、モリンガを摂取したグループの血糖値がプラセボと比べ改善されており、モリンガが血糖にも効果を示すことが報告されています(7)。
また、モリンガの種の粉末を糖尿病モデルラットへ投与した研究でも、投与により血糖値や尿検査の数値、腎臓と膵臓の状態が回復したことが確認されており、モリンガの血糖管理への効果が示唆されています(8)。
肥満への作用
モリンガの豊富な栄養成分は、肥満にも効果を発揮することが示唆されています。
モリンガは、脂肪の合成に関わる酵素の働きを抑制するとともに、脂肪の分解に関わる酵素の働きを促進することで、脂質プロファイルを改善すると考えられています。また、モリンガは豊富に含む抗酸化物質により脂肪の酸化を抑えることで、肥満にも効果を発揮することがさまざまな研究で示唆されています(9)。
モリンガの安全性は?
非常に多くの効果を発揮することが研究で示唆されているモリンガですが、摂取による安全上の問題はあるのでしょうか?モリンガは非常に豊富な成分を含むことから、その安全性についても多くの研究で調査されてきました。
さまざまな研究結果をまとめた報告では、モリンガの葉や種の抽出物を用いた研究で、その高い安全性が確認されており、ヒトを対象とした研究でも副作用は報告されていないと述べられています(10)。
モリンガの豊富な栄養成分で健康をサポート!
モリンガはその豊富な栄養成分から、古くからさまざまな国で利用されてきたとともに、近年研究でもその効果が示唆されている植物です。モリンガは、木の全体にさまざまな栄養成分を含むことから、葉を利用したお茶だけではなく、種を利用したサプリメントも流通しています。
モリンガは、その豊富な栄養から活力維持への期待も高く、モリンガを活用して健康への意識を高めた生活を送ることは、活力の維持にも効果的だと考えられています。