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アレルギーの種類や症状には何がある?治療、予防方法についても解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/10/01
最終更新日 2024/10/29
アレルギーと聞くと、食物アレルギーや花粉によるアレルギーを思い浮かべる方が多いと思います。それ以外にもアレルギーは存在しており、日常生活に支障をきたす疾患です。症状は個人差があり、軽度から重度までさまざまです。
この記事では、アレルギーの種類や症状、治療、予防方法について解説します。アレルギーを持っていて鼻水やかぶれなどの症状に困っている、アレルギーのような症状があるという方はぜひご覧ください。
アレルギーの種類と症状
アレルギーは、特定の物質に対して体が過剰に反応し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。代表的なアレルギーには、薬剤アレルギー、食物アレルギー、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎、気管支喘息があります。それぞれのアレルギーについて解説します。
薬剤アレルギー
薬剤アレルギーは、薬に対する身体の過剰な免疫反応によって引き起こされ、どの薬剤でも発症するリスクがあります。薬剤やその代謝産物が抗原となり、免疫反応を引き起こすというメカニズムです(1)。薬剤アレルギーの症状は、皮膚や粘膜に現れる軽度の発疹から、全身けいれんや呼吸困難を伴う重篤なものまで幅広く、重症度は薬剤や患者の体質によって異なります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食物に含まれる成分に対して免疫システムが過剰に反応し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。症状は、じんましんやかゆみなどの皮膚症状、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状、くしゃみ、喘鳴などの呼吸器症状です。
食物アレルギーは、摂取後2時間以内に症状が現れる「即時型」と、数時間から数日後に出現する「非即時型」に分類されます(2)。口腔内に違和感を覚えることから始まり、皮膚に発疹が出て、最終的には呼吸困難を引き起こすこともあり、場合によっては生命に関わる状態に陥るため、速やかな対応が必要です。
アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、アレルゲンが皮膚に直接接触することで引き起こされる炎症性の疾患です(3)。アトピー性皮膚炎やかぶれなどが含まれ、食品、化粧品、金属、薬剤、動物などが原因となります。皮膚にかゆみ、腫れ、赤み、水ぶくれが生じることが多く、症状は軽度から重度までさまざまです。
特にアトピー性皮膚炎は、慢性的に続くことが多く、環境や食事、ストレスなど多様な要因で悪化することがあります。治療には、アレルゲンとの接触を避けることが重要で、症状が現れた場合は、抗炎症薬や抗ヒスタミン薬などの薬物療法が用いられます。早期にアレルゲンを特定し、適切なケアを行うことが症状の改善に大切です。
アレルギー性鼻炎・結膜炎
アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキなどの花粉が原因で発症し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった典型的な症状が現れます。花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが鼻の粘膜に付着し、免疫システムが過剰反応を起こすことで、神経を刺激して症状が発生します。
一方、アレルギー性結膜炎は、目のかゆみや異物感、充血を伴うもので、花粉症と一緒に現れることが多いです。結膜上皮に好酸球が存在している場合、確定診断となります(4)。
アレルギー性鼻炎・結膜炎は、日常生活に大きな影響を与えるため、花粉の飛散時期にはマスクやゴーグルを使用するなどの対策をすることが大切です。治療には抗ヒスタミン薬や点眼薬が用いられ、症状の緩和を行います。
気管支喘息
気管支喘息は、ハウスダスト、花粉、動物の毛、運動など、多くの環境因子が原因で発症する慢性の疾患です(5)。特徴的な症状としては、呼吸困難や咳、喘鳴があり、特に夜間や朝に悪化することが多いです。喘息の発作が起こると、気道が狭くなり、空気の通りが悪くなるため、十分に呼吸ができなくなります。
軽度の発作では短時間で治まることもありますが、重度の場合、会話や歩行も困難になるほど苦しくなることがあります。発作が重症化すると命に関わることもあるため、適切な治療と管理が重要です。治療には、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を使用し、長期的にコントロールすることが必要です。
アレルギーの検査方法
概要 |
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プリックテスト |
アレルギー反応の有無を確認するための皮膚試験の一つです。主に即時型アレルギーの診断に使用されます。テスト後すぐにアレルギーの有無が確認でき、複数のアレルゲンを同時にテストできるため効率的です。 |
スクラッチテスト |
スクラッチテストは、アレルギーの診断方法の一つで、皮膚を軽く傷つけてアレルゲンを塗布し、アレルギー反応があるかを調べるテストです。短時間でアレルギーの有無を判定できます。 |
内服負荷テスト |
内服負荷テストは、アレルギーや薬物過敏症の有無を確認するためのテストで、実際に疑われる薬や食品などを少量から徐々に摂取し、体内でどのような反応が起きるかを観察する方法です。このテストは、特に食物アレルギーや薬物アレルギーの診断に利用されます。実際に摂取して確認するため、アレルギーの有無を正確に診断できます。 |
パッチテスト |
パッチテストは、特に接触性皮膚炎(接触アレルギー)を診断するためのテストで、アレルゲンに皮膚が反応するかどうかを確認する方法です。パッチテストは、遅延型のアレルギーを確認するのに適しています。 |
血液検査 |
アレルギーの血液検査は、アレルギー反応を引き起こす特定の物質(アレルゲン)に対する免疫反応を測定する方法で、主にIgE抗体(免疫グロブリンE)を調べます。食物、花粉、ダニ、動物の毛、カビなど、さまざまなアレルゲンに対する抗体の量を確認し、どの物質にアレルギーがあるかを診断します。食品、花粉、動物の毛、ダニなど、複数のアレルゲンに同時に対応できるため、原因を特定しやすいです。 |
(参考:皮膚テストの実際)
表で各検査についてまとめ、検査の詳細を解説。
アレルギーの治療方法
アレルギーの治療方法は、主に症状に対する対処療法と、アレルゲンに対する免疫療法が行われます。
症状に対する治療
症状に対する治療では、抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬、アドレナリン自己注射薬(エピペン)などを用いて症状を抑えます。抗ヒスタミン薬には飲み薬、点鼻薬、点眼薬などがあり、花粉症や蕁麻疹などの症状に効果的です。また、気管支拡張薬は喘息に対して気道を広げる効果があり、呼吸困難を和らげるために使われます。これらの治療はアレルギーの根本的な原因の解消はしませんが、症状の緩和と生活の質の向上に大切です。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法や舌下免疫療法)も効果的です。アレルゲン免疫療法とは、アレルゲンを徐々に体内へ取り入れることで免疫を慣れさせ、アレルギー反応を抑える治療法です。主にダニや花粉、ハウスダストなど特定のアレルギーに対して行われます。これにより、アレルギー反応を軽減する効果が期待されます(6)。
皮下免疫療法ではアレルゲンを定期的に注射し、少しずつ増量していきます。一方、舌下免疫療法はアレルゲンを含む薬を舌の下に投与するため、毎日自宅で治療が可能です。特にスギ花粉症やダニアレルギーに効果が確認されており、患者の生活の質の向上が期待できます。
アレルギーの予防方法
アレルギーの予防方法は3つの段階に分けられます。
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感作の予防(一次予防)
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発症の予防(二次予防)
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症状の増悪予防(三次予防)
それぞれ詳しく解説します。
感作を予防(一次予防)
一次予防では、胎児期や新生児期にアレルゲンへの感作を防ぐことが目的です。例えば、乳児期にピーナッツを適切に摂取させることで、ピーナッツアレルギーのリスクを減らす可能性があることが報告されています(7)。逆にピーナッツを制限することで、アレルギーのリスクが増大するため、一次予防の段階でアレルゲンを避けるのは逆効果になる可能性があります。ただ、一次予防は胎児期から新生児期の間であり、わずかな期間かつ明確な方法がないため実際に活用することは難しいです。
発症を予防(二次予防)
アレルギーの二次予防とは、アレルギーに感作された乳児が実際にアレルギー症状を発症するのを防ぐ予防方法です(8)。特に、感作が疑われる乳児に対し、特定の食材などアレルゲンの早期摂取を行うことでアレルギー発症の抑制が期待されています。この早期摂取は、乳児がアレルゲンに対して慣れ、免疫が過剰に反応しないよう働きかける方法です。
しかし、一次予防と二次予防の境界が曖昧なため、実施するのは困難です。適切な方法で行わなければ逆にアレルギー発症のリスクを高める可能性があるため、医師の指導のもと、子どもの体質や発育状況に応じて適切な時期に実施することが推奨されます。このように、二次予防は乳幼児期から実施可能です。
症状の増悪予防(三次予防)
アレルギーの三次予防とは、アレルギー症状が既に発症している患者に対して、その症状が悪化するのを防ぎ、生活の質を維持・向上させるための予防方法です(7)。主に、アレルゲンの回避が基本となります。
例えば、食物アレルギーの場合、アレルギー反応を引き起こす特定の食物(卵、乳製品、ナッツなど)を食べないように徹底することが必要です。喘息やアトピー性皮膚炎では、生活環境の改善、ダニやカビの除去、室内の湿度管理を行うことでアレルゲンを減らし、症状の悪化を防ぎます。また、薬物療法も三次予防の一環で、抗ヒスタミン薬やステロイドなどの薬を使用し、症状が悪化しないよう管理します。これらの対策により、アレルギー症状の慢性化や重症化を防ぎ、日常生活への支障を最小限に抑えることが目的です。
まとめ
アレルギーには、薬剤アレルギー、食物アレルギー、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎、気管支喘息などがあり、それぞれ異なる症状と原因があります。
薬剤アレルギーは薬に対する免疫反応で発疹や呼吸困難を引き起こし、食物アレルギーは特定の食物が原因で皮膚や消化器、呼吸器の症状が現れるアレルギーです。また、アレルギー性皮膚炎はアレルゲンの接触でかゆみや赤みが出現し、アレルギー性鼻炎・結膜炎では花粉やダニがくしゃみや目のかゆみを誘発します。気管支喘息は、ハウスダストや花粉が原因で、呼吸困難や咳が生じるアレルギーです。
診断には、プリックテスト、スクラッチテスト、血液検査などを用いて原因を特定します。治療には症状に対する治療とアレルゲン免疫療法などがあり、症状の緩和や生活の質向上を目指します。