サプリメント選び方
高コレステロールを改善するには?効果的な栄養素をわかりやすく解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/07/11
最終更新日 2024/09/18
血液検査でコレステロールの数値が高く、気になっている方は少なくないでしょう。高コレステロールはさまざまな疾患の原因になるため、適切な食事管理が必要です。
この記事では、高コレステロールの原因となる生活習慣、コレステロールを低下させるための栄養素について解説していきます。効果的な栄養素を理解し、健康的な身体を維持しましょう。
2種類のコレステロール
コレステロールは、体内で大切な役割を果たす脂質の一種です。善玉コレステロールと悪玉コレステロールの2種類に分類されます。それぞれの特徴を解説していきます。
善玉コレステロール
「善玉コレステロール」として知られるHDLコレステロールは、健康にプラスの働きをする物質です。HDLコレステロールの主な役割は、血管壁や組織に蓄積した余分なコレステロールを回収し、肝臓へと運搬することです。
HDLコレステロールが高いほど、心臓病や脳卒中のリスクが低下すると考えられています。逆に、HDLコレステロールが低いと心疾患のリスクが高まりやすいです。そのため、健康的な生活習慣を通じてHDLコレステロールのレベルを適切に維持することが推奨されています。運動、禁煙、適度な飲酒、そして健康的な食事がHDLコレステロールを増やすのに効果的です。
悪玉コレステロール
「悪玉コレステロール」として知られるLDLコレステロールは、過剰に存在すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。LDLコレステロールの主な役割は、肝臓で生成されたコレステロールを体内の細胞に運搬することですが、過剰になると血管壁に蓄積し、動脈硬化の原因となります。動脈硬化は、心臓病や脳卒中など、深刻な健康問題につながる可能性があるため、LDLコレステロールのレベルを適切に管理することが大切です。
LDLコレステロールを低下させるには、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸を含む食品を適度に摂取することが効果的です。また、規則正しい運動や体重管理も、LDLコレステロールのコントロールに役立ちます。
コレステロールの基準値
コレステロールの基準値は、発表している機関により幅がありますが、日本動脈硬化学会が公表している基準値は以下の表の通りです。
項目 |
基準値(1) |
LDLコレステロール |
140~199mg/dl |
HDLコレステロール |
60~119mg/dl |
これらはあくまで基準値であるため、個人差があることにも注意が必要です。定期的な健康診断を受け、医療専門家と相談しながら、自身の状態に合わせた適切な目標値を設定することが大切です。
コレステロールが高くなる原因
コレステロールが高くなる原因は多岐にわたりますが、主に生活習慣と遺伝的要因が関係しています。生活習慣の中でも、特に食生活が大きな影響を与えており「飽和脂肪酸の過剰摂取」「揚げ物の過剰摂取」「清涼飲料水やお菓子の過剰摂取」は血中コレステロールを上昇させる主な要因です。それぞれ具体的に解説していきます。
飽和脂肪酸の過剰摂取
飽和脂肪酸の過剰摂取は、血中コレステロール値、特にLDLコレステロールを上昇させる主要な原因の一つです。飽和脂肪酸は主に動物性食品に多く含まれており、肉の脂身、バター、チーズ、クリームなどの乳製品が代表的な例です。これらの食品を過剰に摂取すると、肝臓でのコレステロール合成が促進され、血中のLDLコレステロール濃度が上昇します(2)。さらに、飽和脂肪酸の過剰摂取は、インスリン抵抗性を高め、代謝異常を引き起こす可能性もあります。
これらの理由から、健康的な食生活を維持するためには、飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸を適度に摂取することが大切です。オリーブオイルや魚油などに含まれる不飽和脂肪酸は、むしろコレステロール値の改善に効果的な可能性があります。
揚げ物の過剰摂取
揚げ物の過剰摂取もまた、コレステロール値の上昇に関わる要因です。揚げ物は一般的に高カロリーで、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含んでいます。これらの脂肪酸は、前述のように血中のLDLコレステロール値を上昇させる効果があります。また、揚げ物の調理過程で生成される酸化コレステロールは、通常のコレステロールよりも動脈硬化を促進する可能性が高いです。さらに、揚げ物は食物繊維が少なく、糖質や脂質が多いため、過剰に摂取すると肥満や糖尿病のリスクも高まります。
これらの疾患はそれ自体がコレステロール値の上昇に関与するため、揚げ物の過剰摂取は直接的にも間接的にもコレステロール値に悪影響を及ぼします。健康的な食生活を維持するためには、揚げ物の摂取を控え、蒸し物や焼き物など、より健康によい調理法を選択することが大切です。
清涼飲料水やお菓子の過剰摂取
清涼飲料水やお菓子の過剰摂取も、コレステロール値の上昇に関与しています。これらの食品は一般的に糖分を多く含んでおり、過剰摂取は体重増加や肥満の原因です。肥満は、体内の脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を増加させ、肝臓でのコレステロール合成を促進します。また、高糖質食は中性脂肪の値を上昇させ、これがLDLコレステロールの増加につながります。
これらの食品は栄養価が低く、ビタミンやミネラル、食物繊維などの大切な栄養素が不足しがちです。結果として、身体全体の代謝バランスが崩れ、コレステロール値の上昇を含むさまざまな健康問題につながる可能性があります。健康的な食生活を維持するためには、これらの食品の摂取を控え、果物や野菜、全粒穀物など、栄養価の高い食品を選択することが大切です。
コレステロールを改善する栄養素
コレステロール値を改善するためには「魚油」「食物繊維」「ビタミンC」「納豆キナーゼ」「フィトステロール」など栄養素を適切に摂取することが効果的です。これらの栄養素は、体内のコレステロール代謝を調整したり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きがあります。それぞれ具体的に解説していきます。
魚油
魚油に含まれるオメガ3脂肪酸、特にEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、コレステロール値の改善に効果的な栄養素です。これらの脂肪酸は、主に中性脂肪の低下や動脈硬化の抑制に効果があります(3)。また、魚油はHDLコレステロールを増加させる効果も期待できます。魚油は、サバ、イワシ、サーモンなどの青魚を食べることで十分に摂取できます。
ただし、魚油のサプリメントを利用する場合は、過剰摂取による出血傾向の増加などの副作用に注意が必要です。魚油の効果を最大限に引き出すためには、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることが大切です。
食物繊維
食物繊維は、コレステロール値の改善に効果的な栄養素の一つです。特に水溶性食物繊維は、腸内でゲル状になり、コレステロールの吸収を抑制する働きがあります(4)。また、食物繊維は腸内細菌により発酵され、短鎖脂肪酸を生成します。この短鎖脂肪酸は、肝臓でのコレステロール合成を抑制する効果があります。水溶性食物繊維の摂取は、LDLコレステロールの低下に特に効果的であり、男性で21g/日以上、女性で18g/日以上の摂取が大切です(5)。
食物繊維は、オートミール、大麦、豆類、りんご、オレンジなどの果物、ブロッコリーなどの野菜に多く含まれています。これらの食品を積極的に摂取することで、コレステロール値の改善だけでなく、消化器系の健康維持や体重管理にも効果が期待できます。
ビタミンC
ビタミンCは、抗酸化作用を持つ栄養素として広く知られていますが、コレステロール改善にも重要な役割を果たします。ビタミンCは、コレステロールが酸化されるのを防ぐ働きがあります。酸化されたコレステロールは、血管壁に付着しやすくなり、動脈硬化の原因となりやすいです。そのため、ビタミンCの摂取は、動脈硬化の予防につながります。ビタミンCは、柑橘類、イチゴ、キウイ、パプリカなど、多くの果物や野菜に豊富に含まれており、積極的な摂取が大切です。
これらの食品を日常的に摂取することで、コレステロール改善だけでなく、全身の健康にもつながります。ただし、過剰摂取には注意が必要で、特に高用量のサプリメントを長期間摂取すると、腎臓結石のリスクが高まる可能性があります。バランスの取れた食事から自然にビタミンCを摂取することが安全で効果的な方法です。
ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは、納豆に含まれる酵素の一種で、コレステロール改善に効果的な栄養素です。この酵素は、血液をサラサラにする作用があり、血栓を溶解する能力を持っています。これにより、血液の流れが改善され、コレステロール値の改善にも関与します。ナットウキナーゼは、LDLコレステロールの酸化を抑制する効果もあります。酸化されたLDLコレステロールは、血管壁に付着しやすく、動脈硬化の原因となるため、この抑制効果は心血管系の健康維持に大切です。また、ナットウキナーゼには、コレステロールの吸収を抑える働きもあります。腸内でコレステロールと結合し、その吸収を妨げることで、体内のコレステロール量を減少させます。
納豆を定期的に食べることで、自然にナットウキナーゼを摂取できますが、苦手な人はサプリメントの形で摂取することも可能です。ただし、ナットウキナーゼには血液凝固を抑制する作用があるため、抗凝固薬を服用している人や出血性疾患がある人は、医師に相談の上で摂取するようにしましょう。
フィトステロール
フィトステロールは、植物由来のステロール化合物で、コレステロール改善に非常に効果的な栄養素です。構造がコレステロールに似ているため、腸内でコレステロールの吸収を競合的に阻害します。つまり、フィトステロールが多く存在すると、コレステロールの吸収が減少し、結果的に血中コレステロール値が低下します。
フィトステロールは主に、植物油、ナッツ類、全粒穀物、豆類などに含まれています。これらの食品を日常的に摂取することで、自然にフィトステロールを摂取できます。フィトステロールの効果は科学的にも認められており、LDLコレステロールを低下させる効果があるとされています(6)。
まとめ
コレステロールは体内で大切な役割を果たす脂質であり、善玉と悪玉コレステロールの2種類に分類されます。HDLは余分なコレステロールを回収し、心疾患リスクの低下に関与し、LDLは過剰になると動脈硬化の原因となります。
コレステロール値の上昇は、飽和脂肪酸や揚げ物、清涼飲料水の過剰摂取など、主に生活習慣に起因します。改善には、魚油、食物繊維、ビタミンC、ナットウキナーゼ、フィトステロールなどの栄養素が効果的です。これらはコレステロールの吸収抑制や代謝調整に働きかけます。このようにコレステロール値を適切に管理することが心血管系の健康維持につながります。