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網膜静脈閉塞症の症状とは?治療方法や予防方法についても解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2024/10/29

網膜静脈閉塞症は、高血圧や糖尿病を抱える高齢者に多く発症する疾患です。視力に影響するため、重症化に伴い日常生活に支障をきたします。そのため、網膜静脈閉塞症の症状を知り、予防や早期治療を行うことが大切です。

 

この記事では、網膜静脈閉塞症の症状、治療方法や予防方法について解説します。生活習慣病を患っている方、目の症状に不安がある方はぜひご覧ください。

 

網膜静脈閉塞症とは

 

網膜静脈閉塞症は、眼の網膜にある静脈が詰まることで血液が流れにくくなり、網膜にさまざまな異常が起こる疾患です(1)。網膜は視覚情報を処理する重要な組織であり、血液が十分に供給されないと、視力に大きな影響を与えます。

 

網膜静脈閉塞症は、静脈の血流が何らかの原因で遮断されることで発症します。糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病が主なリスク要因となっており、高齢者に多く見られやすいです。閉塞した静脈が部分的か全体かによって病気の重症度が異なり、適切な診断と治療が早期に行われないと、視力の低下や失明のリスクを伴うことがあります。

 

網膜静脈閉塞症の症状

 

網膜静脈閉塞症の症状には、視力低下や視界のぼやけ、視野の欠損などがあります(1)。これは、静脈が詰まることで血液が正常に流れなくなり、網膜に酸素や栄養が届かなくなるため生じます。また、網膜内で出血が起こり、浮腫が発生することが多く、この浮腫が進行するとさらに視力が低下します。

 

特に、網膜の中央にある黄斑部に浮腫が及ぶと、物が歪んで見えたり、中心視野に影響を及ぼすため、日常生活に大きな支障をきたすでしょう。症状は徐々に進行することもあり、初期症状が軽い場合でも、早期に眼科での診察を受けることが大切です。

 

網膜静脈閉塞症の治療方法

 

網膜静脈閉塞症の治療は、現在のところ完治させる方法がないため、対症療法が中心です。主に薬物療法、手術療法、光線療法の3つが選択肢になります。それぞれの治療方法を解説します。

 

薬物療法

 

薬物療法では、抗凝血薬や抗血管新生薬を用いて治療が行われます。抗凝血薬は血液の凝固を防ぎ、静脈の詰まりを改善する薬剤です。一方、抗血管新生薬は、新生血管や黄斑浮腫を抑制します。それぞれの薬剤について詳しく解説します。

 

抗凝血薬による血流の改善

 

網膜静脈閉塞症に対する薬物療法の一つに、抗凝血薬を用いた血流改善があります。網膜静脈閉塞症は、網膜内の静脈が血栓などで閉塞し、血流が滞ることで視力障害を引き起こす疾患です。抗凝血薬は、血液が過度に固まることを防ぎ、血栓の形成を抑制します(2)。これにより、閉塞した静脈の血流を改善し、網膜へ酸素や栄養を供給できます。

 

また、血流が改善されることで、網膜の損傷や黄斑浮腫の進行を抑え、視力低下を防ぐ効果も期待できるでしょう。ただし、抗凝血薬には出血リスクが伴うため、治療の際には慎重な経過観察が必要です。

 

抗血管新生薬の注射

 

網膜静脈閉塞症における薬物療法の一つである抗血管新生薬の注射は、網膜内の異常な血管新生を抑制する治療法です。網膜静脈閉塞症は進行すると、網膜の血流が阻害され、酸素不足が発生します。その結果、新生血管が形成されることがありますが、これらは脆く、出血や浮腫を引き起こす原因となります。

 

抗血管新生薬は、この新生血管の発生を抑えるため、眼内に直接注射します。主に使用される薬剤は、アフリベルセプトやラニビズマブです。これらは網膜内で異常な血管の成長を促すVEGF(血管内皮成長因子)という物質を抑制します(2)。治療は再発しなくなるまで、数回の注射が必要であり、視力の改善や浮腫の軽減に効果が期待できます。

 

手術療法

 

手術療法は、網膜静脈閉塞症の症状が重篤な場合や、硝子体出血が発生した場合に硝子体手術を実施します。出血や浮腫が進行し、視力が大きく低下している場合に行われる手術です。この手術では、目の内部にある硝子体というゼリー状の組織を取り除き、眼内の出血や浮腫の原因を直接解消します(2)。手術後、シリコンオイルやガスを注入することで、網膜の治癒・再接着を促進する場合もあります。

 

光線療法

 

光線療法(レーザー治療)は、網膜に生じた浮腫や新生血管を抑制するために行われる治療法です。この治療は、血管が詰まり虚血状態になった網膜部分に対して行われ、新生血管が出現して視力に悪影響を与えるのを防ぎます(2)。

 

レーザーを浮腫部分や新生血管に直接照射し、異常な血管の増殖や浮腫を抑制します。特に進行した網膜静脈閉塞症に対して有効です。レーザー治療は外来で短時間で行えるため、患者への負担が少なく、治療後すぐに日常生活に戻ることが可能です。ただし、効果は個人差があり、複数回の治療が必要になることもあります。

 

網膜静脈閉塞症の予防方法

 

網膜静脈閉塞症の予防には、血流や血管の健康を保つための生活習慣の改善が大切です。糖尿病、高血圧、動脈硬化などが主なリスク要因であるため、これらの疾患を予防することが必要になります。食生活の改善、適度な運動習慣、定期的な眼底検査の3つについてその必要性を解説します。

 

食生活の改善

 

食生活の改善では、血管の健康を保つための栄養素を摂取することが大切です。また、血管に悪影響を及ぼす栄養素を減らすことも重要になります。血管の健康を保つのに効果的な栄養素と含まれる食べ物を表で紹介します。

 

オメガ3脂肪酸

血中の悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を現象させ、善玉コレステロール(HDL)の増加を促します。そのため、動脈硬化の予防、抗炎症効果が期待できます。

含まれる食べ物:魚、ナッツ類、植物油、海藻類

食物繊維

悪玉コレステロールの減少による動脈硬化の予防、血糖値上昇の軽減に効果的です。そのため、糖尿病や心血管のリスクを減らします。

含まれる食べ物:果物、サツマイモ、ゴボウ、海藻類

ビタミンC

抗酸化作用により活性酸素を除去することで、動脈硬化を予防します。

含まれる食べ物:柑橘類、ブロッコリー、ほうれん草

ビタミンE

血栓の形成を抑制し、心筋梗塞や脳梗塞を予防します。

含まれる食べ物:ナッツ類、植物油、魚介類、ほうれん草

カリウム

ナトリウムの排出をサポートすることで、高血圧の予防に働きます。

含まれる食べ物:バナナ、ほうれん草、アボカド、トマト

マグネシウム

血管の拡張作用があり、高血圧を予防します。

含まれる食べ物:ナッツ類、豆類、全粒穀物、魚介類

 

上記の栄養素を取り入れた食事がおすすめです。

 

適度な運動習慣

 

適度な運動習慣は、血流を改善し、血管の健康を保つために有効な手段です。網膜静脈閉塞症のリスクを減らすためには、日常生活の中に運動を取り入れることが推奨されます。有酸素運動や筋力トレーニングは、血圧を安定させ、血液循環を促進する効果があります(3)。特に、生活習慣病が原因となる場合が多いため、これらの疾患を予防するためにも運動は大切です。

 

ウォーキングやジョギング、軽いストレッチなど、無理のない範囲で定期的に行うことで、長期的に健康を維持することができます。1日30分以上の運動を最低週3回以上、合計で週に180分以上行うのが望ましいです(3)。

 

定期的な眼底検査

 

定期的な眼底検査は、網膜静脈閉塞症の予防や早期発見に役立ちます。眼底検査は、眼球の内側にある網膜の血管、浮腫、出血の有無などを詳細に観察する検査であり、網膜の血管の異常や病変を検出するのに効果的です(4)。

 

特に、高血圧や糖尿病などの持病がある人は、静脈の閉塞が進行しやすいため、定期的な検査が推奨されます。眼底検査は痛みなく短時間で実施できるため、検査に対する抵抗感も少なく受けられるでしょう。網膜静脈閉塞症は、症状が進行するまで気づきにくいことが多いため、定期的な検査を受けることが視力を守るために大切です。

 

まとめ

 

網膜静脈閉塞症は、眼の網膜にある静脈が詰まり、血液が流れにくくなる疾患です。高血圧や糖尿病、動脈硬化などが主なリスク要因で、中高年に多く見られます。症状には視力低下や視界のぼやけ、視野欠損があり、日常生活に大きな支障を来します。

 

治療方法は完治を目指すものではなく、対症療法が中心です。抗凝血薬で血流改善を図ったり、抗血管新生薬で異常な血管新生を抑える注射が行われます。また、硝子体手術や光線療法も重症例で使用されます。

 

予防には、適切な食生活、運動習慣、定期的な眼底検査が重要で、特に生活習慣病の管理が網膜静脈閉塞症の予防に効果的です。


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