加齢の悩み

ビタミンDとオメガ3脂肪酸が健康寿命をサポート!ビタミンDとオメガ3脂肪酸の働きと最新の研究報告を解説!

健康スペシャルティ

公開日 1970/01/01

最終更新日 2025/04/22

ビタミンDとオメガ3脂肪酸は、それぞれ健康な骨や心血管の維持に重要なことから、私たちの生活に欠かせない栄養素として広く知られています。また最新の大規模な臨床研究では、ビタミンD・オメガ3脂肪酸・運動の組み合わせを継続することが生物学的老化を遅らせることに繋がると示唆されており、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の機能への関心が高まっています。

この記事では、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の基本情報を簡単にまとめながら、健康寿命への働きに関する最新の研究報告を解説し、加齢によるお悩みをサポートする情報をお届けします!

 

ビタミンDとオメガ3脂肪酸の基本情報

 

ビタミンDはどんな栄養素?

 

ビタミンDは、食品から摂取できると同時に、私たちが日光に含まれる紫外線を浴びることで体内合成することもできる、特殊なビタミンの一種です。

 

ビタミンDとして働く物質にはいくつか種類がありますが、食品から摂取できて高い生理活性を示すビタミンD2とビタミンD3が、主なビタミンDとされています(1)。ビタミンD2はキノコ類に豊富に含まれており、ビタミンD3は魚肉や魚類の肝臓に豊富に含まれています。

 

これらのビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を助け、体内でのカルシウムの流れを調節することにより、骨の健康を維持する重要な栄養素として知られています。

 

またビタミンDは、免疫機能や腸内環境のバランスを保つうえでも重要な役割を果たすことが近年の研究で示唆されており、その幅広い働きに注目を集めています。

 

ビタミンD不足は、日光を浴びる時間の不足と、食品からの摂取不足のそれぞれが原因となる可能性があります。特に高齢者では、日光に当たらないことによるビタミンD不足が多いため、注意が必要だと考えられています(2)

 

オメガ3脂肪酸はどんな栄養素?

 

オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、私たちが体内で生成することができないため、食事からの摂取が必要な「必須脂肪酸」と呼ばれるものの1つです。

 

オメガ3脂肪酸には、健康を支える多くのメリットが報告されているEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ALA(α-リノレン酸)が含まれており、非常に重要な栄養素と考えられています。特に血管の保護に関する働きはさまざまな研究で報告されており、心疾患を予防するうえで重要だと考えられています。

 

またオメガ3脂肪酸は、神経毒や炎症反応を抑制する物質の産生に関わることで、神経保護にも貢献すると考えられており、脳機能や神経に関わる疾患の発症を抑えることもさまざまな研究で示唆されています(3)

 

ビタミンDとオメガ3脂肪酸の機能

 

ビタミンDの骨の健康への貢献

 

ビタミンDの代表的な健康機能は、腸でカルシウムを吸収するのに必要なタンパク質を形成し、体内での適切なカルシウムの流れと骨の形成をサポートする働きです。

 

食品から摂取したビタミンD2とビタミンD3は、どちらも肝臓と腎臓で代謝され、活性型ビタミンDに変換されたあと、小腸でカルシウムの吸収を促進します。カルシウムは骨を強くして骨密度を高くする重要なミネラルであり、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDもカルシウムと同様に、骨の形成や成長、修復に必要不可欠な栄養素です(4)

 

重度のビタミンD欠乏症は骨軟化症を引き起こすほか、軽度のビタミンD不足でも骨折や転倒のリスクを高めるため、特に高齢の方にとってビタミンDは重要な栄養素となります(5)

 

ビタミンDの免疫機能への貢献

 

近年の研究で、ビタミンDはカルシウムの吸収だけではなく、免疫細胞や、免疫機能に大きな影響を与える腸内環境に働きかけることで、正常な免疫機能の維持にも貢献することが示唆されています。

 

ビタミンDは、一部の免疫細胞を活性化すると同時に、別の免疫細胞はその過剰な働きを抑えるようにコントロールすることで、これら両方の適切な働きをサポートすると考えられています(6)

 

実際にビタミンDの免疫への重要性を確かめるため、アトピー性皮膚炎患者を対象としたさまざまな研究結果を分析してまとめた研究では、ビタミンDの補給によってアトピー性皮膚炎の重症度が改善するという分析結果が報告されています(7)

 

ビタミンDは、以前から知られてきたカルシウムの体内循環だけでなく、多くの疾患に関わる免疫機能の維持にも貢献することが知られるようになり、さらにその重要性が高まっています。

 

オメガ3脂肪酸の心血管の健康への貢献

 

オメガ3脂肪酸もさまざまな働きをすることが報告されており、特にオメガ3脂肪酸の摂取による心疾患リスクの低下は、さまざまな研究で示唆されています。

 

心疾患や肥満の危険因子として知られ、生活習慣病のリスクを高めるとされている飽和脂肪酸の代わりに、オメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪酸を摂取すると、生活習慣病のリスク低減に繋がると期待されています(8)

 

実際に、摂取した脂肪酸全体のうち「EPA+DHA」が占める割合が高いグループは、低いグループに比べて心疾患による突然死を起こすリスクが大きく下がることが報告されています(9)

 

心疾患を抱える患者だけではなく、心疾患を発症していない方にとっても、オメガ3脂肪酸を一定量以上摂取することは重要だと考えられています(10)

 

オメガ3脂肪酸の脳の健康への貢献

 

私たちの脳は、乾燥重量の半分以上を脂質が占めていることが1980年代から知られており、脳細胞の構造にも関わるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、認知機能や気分、行動にも影響を与えると考えられています。

 

認知機能の低下や軽度認知障害の進行はオメガ3脂肪酸の不足と相関があることや、オメガ3脂肪酸を含むサプリメントの摂取により認知機能が改善することなど、オメガ3脂肪酸の脳機能における重要性はさまざまな研究で示唆されています(3)

 

オメガ3脂肪酸とうつ病の関係も研究が進められており、脳構造の維持や発達の促進、炎症反応の抑制などのさまざまな働きにより、オメガ3脂肪酸がうつ病の予防に効果的である可能性が示唆されています(11)

 

ビタミンD・オメガ3脂肪酸の組み合わせの効果に関する報告

 

ビタミンDとオメガ3脂肪酸の健康寿命への影響は非常に関心が高く、高齢化が進むヨーロッパで近年、その複合的な効果を検証するために、70歳以上の高齢者計2,000人以上を対象とした、3年間にわたる大規模な臨床研究が実施されました(12)

 

この大規模な臨床研究では、健康寿命を考えるうえで重要となるさまざまな要因に対して、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の摂取、および日常的な軽い運動の組み合わせがどの程度効果を発揮するかが検証されました。

 

ビタミンD・オメガ3脂肪酸・運動の組み合わせが老化を遅らせる?

 

この臨床研究に関連する最新の報告で、ビタミンD・オメガ3脂肪酸・軽い運動プログラムの組み合わせを継続することで、生物学的老化の進行を抑えられることが示唆されており、注目を集めています。

 

この研究では、ビタミンD・オメガ3脂肪酸の摂取と自宅でできる軽い運動プログラムの組み合わせが、どの程度生物学的老化を抑えられるか、さまざまな指標を用いて確かめました。その結果、オメガ3脂肪酸の摂取単独でも生物学的老化の進行が抑制されたほか、オメガ3脂肪酸・ビタミンD・運動の組み合わせによってさらに生物学的老化の進行を抑える効果が強まり、3年間の継続により約3ヶ月分の生物学的老化の抑制がみられたと報告されています(13)

 

ビタミンD・オメガ3脂肪酸の組み合わせによる健康維持効果

 

このヨーロッパで実施された大規模な臨床研究に関連する別の報告では、ビタミンD・オメガ3脂肪酸・運動の組み合わせが、加齢による心と体の衰えの初期段階(前虚弱)への移行を有意に抑制したことも示唆されています(14)

 

また、アメリカで実施された5年間​にわたる​別の大規模な臨床試験では、​​オメガ3脂肪酸とビタミンDの摂取により、乾癬や関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症が抑制されることも示唆されています(15)

 

これらのさまざまな研究から、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の摂取を継続することは、幅広い効能により健康寿命へ貢献することが示唆されています。

 

健康寿命におけるビタミンDとオメガ3脂肪酸の活用のポイント

 

ビタミンDは、体内のカルシウムの流れを調節して骨や筋肉の健康に貢献するだけではなく、免疫系への機能も近年示唆されている重要な栄養素です。食事からの摂取や日光を浴びることで十分なビタミンDを確保することは、健康寿命を伸ばすうえで重要です。ビタミンD不足は、日光を浴びる時間の不足により生じやすいため、日中に外出することが少ない方には、きのこ類や魚類を意識的に食生活へ取り入れることや、サプリメントを活用することをおすすめします。

 

またオメガ3脂肪酸も、心疾患などの生活習慣病リスクを抑えるうえで重要な働きをするほか、認知機能や気分にも影響を与えることが示唆されており、意識的な摂取が推奨されています。DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、青魚に豊富に含まれており、魚を食生活に取り入れることはビタミンD摂取にも繋がるため効果的です。

 

ビタミンD・オメガ3脂肪酸の摂取と軽い運動を継続することで、心身の衰えを抑えるだけでなく、生物学的老化の進行も抑えられるという最新の研究報告もあります。これらの結果からも、健康寿命を意識するうえでのビタミンDとオメガ3脂肪酸の活躍が期待されています。


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