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脂質異常症の原因とは?症状や予防方法についても解説!
健康スペシャルティ
公開日 2024/11/12
最終更新日 2024/11/21
脂質異常症は生活習慣や基礎疾患をきっかけに、誰もが成り得る疾患です。血中脂質が異常な状態を脂質異常症といいますが、さらに悪化すると心筋梗塞や動脈硬化を発症します。自覚症状なく進行することから、未然に予防することが大切です。
この記事では、脂質異常症の原因や症状、予防方法について解説します。コレステロール値に不安がある方はぜひご覧ください。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は3つに分けられます。
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食事習慣の乱れ
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運動不足
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飲酒や喫煙
それぞれ解説していきます。
食事習慣の乱れ
食事習慣の乱れは、脂質異常症の原因の一つです。飽和脂肪酸(肉、バター、加工食品など)を過剰に摂取すると、LDLコレステロールや中性脂肪が増加し、逆にHDLコレステロールが減少します。このような血中脂質のバランスの乱れは、余分なコレステロールが血管壁に付着しやすくなり、動脈硬化を進行させます。
また、糖分の摂りすぎは脂肪を増加させる一因となるため、糖分を減らすだけでも血中脂質の改善に好影響です。さらに、野菜や魚を含む食事を摂取するとHDLコレステロールを増やせるため、動脈硬化の予防に効果的です。
運動不足
運動不足は脂質異常症の要因であり、血中の中性脂肪が増加し、動脈硬化のリスクを高めます。日常的な運動は、脂質の代謝を促進し、脂肪が身体に蓄積するのを防ぎます。例えば、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は脂肪燃焼を助け、LDLコレステロールの減少やHDLコレステロールの増加に効果的です(1)。
また、運動は体重管理にも役立ち、肥満による脂質異常症の発症を防ぎます。1日30分の運動を毎日継続することが推奨されており、運動不足を改善することで心疾患や動脈硬化の予防にもつながります。
飲酒や喫煙
過度な飲酒や喫煙は脂質異常症のリスクを高めます。アルコールは中性脂肪の合成を促進し、過剰摂取により肥満や高血圧も引き起こす可能性があるため、適量に抑えることが大切です。
また、喫煙により血中HDLコレステロールが低下し、動脈硬化の進行が速まるリスクが高まります(2)。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血管にダメージを与え、血栓を形成しやすくするため、禁煙が重要です。上記のことから、適量の飲酒や禁煙を心がけることが、脂質異常症の予防に効果的です。
基礎疾患
脂質異常症は糖尿病やメタボリックシンドロームなどの基礎疾患を持つ人にも起こりやすいとされています。これらの疾患があると、脂質分解を担う酵素(リパーゼなど)の働きが低下し、血中の中性脂肪が増加します(3)。他には、甲状腺機能亢進症やネフローゼ症候群、クッシング症候群といった疾患も脂質異常症の要因です。
このため、基礎疾患の治療や管理が脂質異常症予防において重要であり、症状が現れる前に基礎疾患を把握して治療に取り組むことが大切です。
脂質異常症の症状
脂質異常症には自覚症状が乏しいため、気づかないまま進行することが多く、発見が遅れがちです。脂質異常症が進行すると、動脈硬化が進み、やがて心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。血管内でコレステロールが蓄積されていくことで、血流が滞り、身体のさまざまな器官への血流供給が悪くなります。自覚症状がないからといって安心せず、定期的な健康診断や検査で早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
脂質異常症の診断基準
脂質異常症の診断は、血液検査により行われ、基準となる項目は以下の通りです。
LDLコレステロール |
140mg/dL以上 |
高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL |
境界域高LDLコレステロール血症 |
|
HDLコレステロール |
40mg/dL未満 |
低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド |
150mg/dL以上(空腹時採血) |
高トリグリセライド血症 |
175mg/dL以上(随時採血) |
||
Non-HDLコレステロール |
170mg/dL以上 |
高non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL |
境界域高non-HDLコレステロール血症 |
(引用:脂質異常症|厚生労働省e-ヘルスネット)
基礎疾患が原因で脂質異常症が発症している場合もあるため、基礎疾患の有無を鑑別し、必要に応じてその治療も行います。定期的な健康診断が早期発見と適切な対応のために欠かせません。
脂質異常症が引き起こす疾患
脂質異常症は進行すると、虚血性心疾患や脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、末梢動脈疾患などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。これらの疾患は血管が詰まりやすくなり、最悪の場合、命に関わることもあるため、早期からの予防が必要です。
コレステロールが血管内に蓄積されていくと、血流が阻害され、心臓や脳、四肢への血流が不足し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすリスクが高まります。脂質異常症の管理を徹底し、命を守るためにも日々の生活習慣改善が大切です。
脂質異常症の予防方法
脂質異常症を予防する方法は3つあります。
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食事習慣の改善
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定期的な有酸素運動
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定期的な健康診断
それぞれの方法を解説していきます。
食事習慣の改善
脂質異常症の予防には、飽和脂肪酸を制限し、不飽和脂肪酸を摂ることが大切です。飽和脂肪酸は肉、バター、生クリームなどに多く含まれ、摂り過ぎるとLDLコレステロールが上昇します。一方、不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸が含まれる魚介類やくるみを摂取するとLDLコレステロールの低下が期待できるでしょう。
中性脂肪を増やす甘い物やアルコールの摂取も制限し、野菜や魚、大豆製品を積極的に摂取することが血中脂質の改善に効果的です(4)。このように、日常的な食事での栄養バランスを見直すことが、脂質異常症予防に役立ちます。
定期的な有酸素運動
脂質異常症予防には、ウォーキングや水泳といった有酸素運動が効果的です。1日30分の運動を毎日続けることで、血中脂質を低下させ、動脈硬化のリスクを減らします(5)。また、30分を数回に分けて実施する方法でも良く、持続的な運動が脂質異常症予防に効果的です。運動はHDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減少させるため、体重管理にもつながり、脂質異常症に対する予防策となります。
定期的な健康診断
脂質異常症は自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断が早期発見に有効です。特に、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールの数値を確認し、リスクのある人はさらに精密検査が必要です。基礎疾患を持っている場合は、脂質異常症が進行しやすいため、健康診断の数値を管理することが重要になります。このように、定期的な健康診断に気を遣うことで脂質異常症のリスクを減らせるでしょう。
まとめ
脂質異常症は、血中の脂質が過剰になることで、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めます。食事習慣の乱れや運動不足、過度な飲酒や喫煙、糖尿病などの基礎疾患が主な原因です。飽和脂肪酸や糖分の過剰摂取はLDLコレステロールや中性脂肪を増加させ、運動不足は脂質代謝を低下させるため、これらの改善が予防に重要です。さらに、禁煙や適度な飲酒を心がけ、基礎疾患の管理も欠かせません。自覚症状が少ないため、定期的な健康診断を受け、早期発見と生活習慣の見直しが脂質異常症の進行を防ぎます。